エピローグ
勇者が魔王になり、魔王が勇者になり、さわがしくふたりの決着がついたあの日。それから、わずか三年後のある日。
一人の少女が、盾の国にそびえる城へ来た。彼女は着ている少女らしい服に似つかない無骨な大剣を背に負っており、駆け寄る王直属の兵士どもを剣の腹でなぎ倒しながら王のもとへ駆け、またたく間に王の首を跳ねた。
動揺、その後の混乱。一拍置いてから一挙に襲い来る兵士たちを単身ねじ伏せて、彼女は堂々と、今まで王の座していた玉座へ座った。
それは、彼女が盾の国の王になった日の出来事。人間の盾の国と、魔物の壁の国が一つになった日の、歴史が動いたきっかけの出来事。
彼女を前にした人間は、みな一様に彼女を――魔物のもつ強大な力を、畏怖した。そして思い知る。彼女が壁の国を統治することで、今まで自分たちは生かされていたのだと。あの壁は、魔物を壁の国へ追いやるための壁ではなく、盾の国を魔物から守るための壁だったのだ。
不思議なことに、彼女は三年前までこの国を守り、そして突然失踪した勇者によく似ていた。
彼女は穏やかに、そしてときに残酷に国を統治し、歴代で最も嫌われ、そして最も愛された王になった。
彼女は生涯独身だったが、傍らにはいつも、金の髪を持つ魔物の男と、茶色の髪を持つ人間の男がいた。




