vol.093 先代魔王 華月
魔王は大きな戦闘の音で目を覚ました
「久秀~?キキョウ~?ツバキ…はいないか。誰かいないの?」
「何ですか?魔王様…」
現れたのはキキョウの皮を被った八大将軍 "奇術師" 翔太だった
「…って、何でそんなお姿してるんですか!?」
今の今まで魔王が男だと思っていた翔太だが服がはだけた魔王の姿を見て、魔王が女だと気づき驚いていた
(…本当にこいつが魔王なのか?)
人間領では魔王のことは480年前から魔族領に君臨する男の王だと教えられるのだ
「…いつものことでしょ。それよりも、外がうるさいけど何かあった?」
「何者かが襲撃してきたようです」
「襲撃ねぇ…誰が対処してるの?」
「さぁ?そこまでは」
「じゃあ私はその襲撃者とやらの対処に行ってくるわ」
そう言って男の姿になった魔王は自室を出ていった
「久秀、蘭丸!2人が対処してたのね!」
「魔王様の睡眠を妨害して申し訳ありません」
「そこの金髪の男が悪いんでしょ。私は今、眠りを妨げられて機嫌が悪いの。私がやるわ」
魔王は目の前の男が自分の父親で先代魔王とは気づいていなかった。それもそうだ。先代魔王が死んだのは495年前。その頃の魔王は5歳なのだ
「魔王様、その方は…」
「光輝も下がってていいわ」
「そうではなく…」
「先手必勝!! 創造魔法 "疑似太陽"!!」
「…アマテラスと同じ技か…だが」
「嘘…」
せっかく生み出した疑似太陽は瞬時に消えてしまった
「魔法で生み出してるなら一時的に魔法の効果をかき消してしまえばいい」
「大丈夫か?」
「大丈夫に決まってるでしょ、久秀。私を誰だと思ってるの?」
「寝てばっかりのワガマ魔王」
「酷っ!泣くよ!」
「事実だろ…って伝え忘れてたけど…」
「何?まさか勝手にプリン食べたのバレた…?」
「プリン食べたのあんただったんかい!じゃなくて、そこの金髪の男が先代魔王だって言ってるけど」
「先代魔王?そんなわけないでしょ。大体500年前に死んだんだよ。確かツクヨミの力でも死後15年までの遺体しか蘇生できないって言ってたわよ」
正確にはツクヨミだけでなく冥界の主である鈴音の力も必要なのだが、そんなことは魔王の頭から抜け落ちていた
「あんた、何者だ」
「よくぞ聞いてくれた!我は…」
「お父様の名前を騙って私を騙せると思わないことね」
「Σ( ̄□ ̄) がーん。我が本物の先代魔王 華月なのに…」
「魔王がそんな発言するわけないでしょ」
「なぁ、それブーメランだぞ」
「私はいいのよ。まだまだ子供だし」
「子供扱いしないでって言ってたのはどこの誰だっけ?」
「蘭丸じゃない?」
「そんなこと、1度も言ってないですよ」
「とにかく、我が本物の先代魔王だということを証明しよう。お前の母親を呼んできてくれ」




