表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で王子の暗殺頼まれました  作者: 菱沼あゆ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/149

此処は魔王の城である

 


「なんか緊張してきたな……」


 塔の中の石の螺旋階段を登りながら、タモンが言う。


「なにかが出てきそうで」

と言う彼に、未悠はその後ろをついて歩きながら、


 いや、此処、貴方の城ですよ……と思っていた。


 城っていうか、塔だが。


 先頭は相変わらず、やる気満々のリチャード、次がタモン、未悠。


 そして、後ろを守るという理由により、リチャードの部下たちの順だった。


「とりあえず、てっぺんの部屋は血塗れで凄惨ですが」

と未悠が言うと、


「望むところだ」

とリチャードは頷く。


 いや、まあ、血塗れなだけですけどね、と思いながら、みんなの話し声と靴音以外に音がしていないか耳を澄ます。


 例えば、ケモノの声とか、と思ったが、みんなの話す声が騒がしく、石造りなので反響するため、なにも聞こえない。


 いまいち緊張感ないな、タモン様以外、と思っている間に、最上階に着いていた。


「此処が魔王の部屋か」

とリチャードが舌なめずりしそうな顔で呟く。


 いや、ただの悪魔だったはずなんですが。


 それも、女たらしの悪魔という意味の、と思いながら、リチャードが剣を構え、木の扉を開けるのを見ていた。


 アーチ型の簡素な扉が開いた、そこに――


 血まみれのベッドはなかった。


「え?」

と未悠とタモンが声を上げる。


 ベッドには、パリッとした真っ白なシーツがかかっていたからだ。


「あれっ? 塔間違えました?」

と思わず、未悠が言うと、


「何個もあるのか、こんな塔」

とリチャードが言い、タモンは首を傾げる。


 そのとき、

「誰だ」

と声がした。


「誰だ。

 私の城に勝手に入ってきた奴は」


 よく響くその声に聞き覚えがある気がして、未悠は振り返る。


 そこに――


   魔王は居た。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ