Heven and Hell
「ありがとうございました、ゲオラさん」
『いやいやバスケス殿。こちらこそ』
「期間が終わったわけですけど、どうでしたか?」
『レグの評価を聞いていると、カガミ君はなかなか見込みがあるようだな。獄職員としての』
「そうですか」
『複雑か?』
「いえ、そんな気はしていましたから」
『ベルモの方はどうだ?』
「彼女、なかなか優しい心を持っていたようですね。自分では気づいていなかったようですが」
『そうか』
「驚かれないんですね」
『予想通りだったからな。心の奥底ぐらい簡単に見える。あいつには優しさが残っていた』
「彼女、泣いたそうです」
『涙を流す悪魔なんて失格だな』
「じゃあ、良いのですね?」
『本人がそう望んでいるのだろう?』
「はい」
『なら異論はない。もともとその為の天地交換だ』
「では、カガミの方も」
『地獄の存在意義を見出したようだ。第一こちらに来て一週間足らずの天使が罪人をああも簡単に処罰できるわけがない。レグ曰く、間違いなく地獄向きなそうだ』
「ならばカガミも」
『うむ、こちらで引き取ろう。本人もそうしたいと言っている』
「天地交換留学はひとまず成功、という事ですかね」
『そうだな。本来いるべき場所に身を置くというのは大切な事だ。ベルモもそうだ。天国に毒されたわけではない。本来そちらにいるべき存在なのだ。もっと早くこうしてやるべきだった』
「天国と地獄が交わるのに、まず時間がかかりましたからね」
『互いの偏見もあるからな。その偏見もまだ色濃く残っている』
「ゆっくり。ゆっくり行きましょう。互いの世界が少しでも良くなるように」
『そうだな。時間はいくらでもある。いくらでもあるからといって胡坐をかいているわけにもいかない。我らに出来る事をしていかなければ』
「そうですね。まだ、いるのでしょう。そう思う者達が」
『真に天使として遣える、という意味ではあまりにも姑息な奴らが多すぎるがな。まあベルモのような奴もまだいるだろうし、今後出てくる事だろう。そちらも同じであろう』
「ええ。では、また相談させて下さい。やらなければいけない事は気付いていないだけで、いろいろあるはずでからね」
『そうだな。またよろしく頼む』
「こちらこそ」
『……ところで、バスケス殿』
「なんでしょう」
『主は、独り身だと聞いているが』
「ええ」
『その席に、我が座る事は叶うだろうか』
「ふふ。邪神王とも呼ばれるような方が、なんとも弱気な発言ですね」
『駄目か?』
「邪神と女神が結ばれるなんて、そうそう簡単な事ではありませんよ」
『時間はいくらでもある』
「確かに。でもそれなら」
『何だ?』
「まずはその御姿をお見せくださいな」
『これは大変失礼した』
俺とあたしの天国地獄(完)




