表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/75

68

誤字・脱字等を修正いたしました。27.5.6

 唖然、としか出てこなかったわ。まさかここまで横暴っぷりを発揮させるとは誰が思いますか。軍の総指揮官と言っていたから少しは賢いと思ったけど………本当に軍事だけがすごいのならただの脳筋ね。得意分野は武術だけ。現実を教えてあげましょうか?殿下。


 今にも飛びかかろうとしている殿下をアーバンと熊男が止めに入っているので、今のうちに転移の呪文を唱えてアーテを送り出す。もちろん、転移石を持たせたので帰ってこれるわ。落とさない限り。


 本当はもう少し王都と近ければよかったのだけどね。近ければ近いほど危険だからできないわ。させたくないし。それに、南都の方まで噂が広がっていたら末期ね。それより………殿下の方が危険よ。これだけ時間があれば色々と怪しいのは出てくると思うのだけど。殿下を少し教育してみましょうか。これでまったく私の話に耳を傾けないなら問答無用でさようならをしましょう。


「殿下」


「なんだ!余は貴様の事は聞かん!!」


 どんどん見込みが薄くなるわ………ある意味ですごいかもしれない。


「貴方、次期国王とか言っておきながら民の声も聞かずに国を納める気でいるの?これだと毎日でも戦争が起きそうだわ」


「貴様あああっ!!」


「すぐに血が上っていくのだもの。嫌なことがあればすぐに怒り出すなんて子どもねえ」


 そして剣を抜く、と。帝王学は教えられなかったの?その前にちゃんとした教養は教えられたのかしら………熊男とアーバンが抑えているのを頑張っているからさらに頑張ってもらいましょうか。


「先程の質問だけど、王妃の生死についてよく考えたの?ハーフエルフを産み出した親として責められるのよ?しかもそれを隠して自分も隠れた。他からみればそれは逃げているようなものよ。国民にエルフとしても隠していたでしょうね?でないと、貴方の存在は生まれた瞬間からすでに死ぬような運命ね。王だってハーフエルフを隠して育てていたのだから酷評を得るのではないのかしら。だって、この世界のハーフエルフ迫害は当たり前なのだから。王がどのような責任を取るかかわからない」


「そんなことはない!!王は余や母を守るっ!!決して廃ることはない!!」


「では、なぜ王は追われている息子を助けないの?ハーフエルフの問題がすぐに片付けられないからでしょう?それにね、言わせてもらうけど王が正論であるなら自ら母子を切り捨てられても誰も文句なんて言われないわよ。それとは別で貴方が何かしらの方法で王になったとしても、今の貴方はすぐにこうして一つの問題にいちいち突っかかって囚われすぎる。一つに対して十を知る勢いじゃなければ王などやっていけないわ。王だからこそ国のすべてを最低限で見なきゃいけないのよ?ハーフエルフの迫害を廃止して暴動を起こした領地はどうやって納める気?ハーフエルフの迫害は止めようと言って民はすぐに受け入れてもらえるの?貴方が私の言葉に耳を傾けないように民の中にも貴方の言葉に耳を傾けないその存在は必ずどこかにいるわ」


 十人十色。すべてが同じなどとは思えないでしょう?


「そして、ハーフエルフが王になることで何千年その玉座に居座る気なの?ハーフエルフとエルフならその間の子も長寿でいられる。でも、世界はこの国だけではない。種族差別が他国に通用していたら貴方は各国から攻撃されるわ。通用しているかもわかりませんけど。エルフは諸国としてあるからいいとしても、さらに長寿のハーフエルフはエルフの倍よ?変わらない王って、どんなに栄えても根本的なものは根付いて変わらない。エルフではなくて他種族と子を得たとしても貴方だけが残るのよ?堪えられるの?愛するものが貴方を残して消えていく姿を。貴方がハーフエルフだからどう足掻いても貴方より先にみなは死ぬのよ?年数を決めて交代したとして、王を終えた貴方は何をするの?王宮生活でものんびりと満喫する気?エルフ、ハーフエルフの家系なら暗殺がない限り少なくても数千年もいるのよ?息子、孫、ひ孫。その人数が増えれば城に滞在する臣下もいるのに邪魔じゃない。別宅を用意したとしても土地が必要でしょう?それは国が出すの?建設にも費用がかかるのよ?その費用は民の徴税と言っていいわ。貴方、ちゃんと考えたの?複数のありとあらゆる可能な未来を描いたの?その未来はちゃんと他の人を考えてるの?王は?王妃は?臣下は?民は?ちゃんと考えてから行動しなさい!」


 ふう………スッキリしたわ。なんだかすっごく溜まっていたものを少し出した気がするわ。本当はまだいい足りないのだけど後半がもう当て付けだったわね。まあ、それらはまだ未来すぎて今は問題ではない。駄目ね。ヒートアップしてしまったわ。


 ―――まあ。おかげで少しは黙ってくれてようだけど。これは考えているとでも言うのかしらね?長すぎて右から左へ抜けていたら笑うわ。まさかそこまで馬鹿………とは思いたくないわよ。やめてちょうだい。


 とりあえず、まだ私の怒りは収まらないからもう少し言ってあげようとしたけど熊男に止められたわ。なによ。わざわざ下から私の口を塞がなくていいじゃない。貴方がこんな行動をするならこれ以上は言わないわよ。離しなさい。


「………よくこの短期間でそれだけ考えられたもんだな。後半八つ当たりにしか聞こえなかったけど」


「ホルティーナだから許せる。だが、殿下をあまり攻めないでくれ。確かに殿下の考えでは穴だらけだ。しかし、ハーフエルフが玉座につくことで国に変化は起こる。歴史の変化でなくても少しの修整ぐらいにある。これは俺たちの夢で願いだ。ハーフエルフの迫害を受ける俺の幼馴染みを黙って見て終わりにしたくはない。ホルティーナにと、そんな気持ちをもう背負ってほしくない」


「―――………………じゃあ、そのように動きなさいよ。目標だけたてて突っ走るのではなく、計画をたてて未来予想図を完成させなさい。これをするに当たってどんな事が起こり、どれだけの人が関わり、どのようにすれば変わっていけるのか。どう足掻けば最善に収まり、どうやって動けばどれ程の人が喜ぶのか。ハーフエルフはね、もう禁断の領域だから人数なんて少ないのよ。それなのにその少人数に救いの手を差し伸べる王って贔屓にしかみえないわ。しかも、ハーフエルフ自ら。イメージが悪くなるとしか思えない」


 時間がないことはわかる。焦っていたのもわかる。貴方も追われているのだから。けどね。バレるまでに時間はあったでしょう?私は殿下がどのように過ごしていたかも知らないけど、寝るときは必ず一人で時間がある。たった少ない時間でも、年数に伸ばせば長いのよ?


「あのね、私は殿下と一日お会いしました。ただこうなるからこうしろと言われて「はい」と簡単に言えなかった。その理由は散々言ってるけど、まるで未来が見えないから。未来が見えないのは当たり前だけど、未来を描くのは自由よ。ただその未来を描いた先が他人の私に伝わらない。伝わってこない。だから私は断るの」


 殿下。城で窮屈だった殿下。追われて肩身が狭い殿下。ここは安全だと思うから来たのでしょう?マーデクのお墨付きですもの。そして今、安全で休める場所にいるわ。今、貴方がすることはなに?


「余は………このように怒ってたしなめられた事はない」


「じゃあその人たちは愚者の鑑ね。殿下、いいことを教えてあげます」


 本当に若いのね………泣きそうな顔で必死すぎよ。もう少し、成長しなさい。


「怒ってくれる人はね、ちゃんと相手を見ているから怒れるのよ。怒られて嫌な気持ちと反発して怒りを持つ人はいるけど、その人が相手を見て、間違いに気付き、正すために怒ることで教えているの。ただ間違いだからと怒って怒鳴り散らすだけの言葉はただの八つ当よ」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ