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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.15
井戸に水を汲んで顔を洗う予定が………熊男のせいで滅茶苦茶だわ。あの後私と同じで井戸で顔を洗おうとした早起きのテテラが裏庭に来てしまった。
私がいたところは扉と井戸の―――庭の、中央あたり。隠れるところなどどこにもない、空けた平地。上半身裸の熊男と向き合って抱き締められていた(そこまでわからなかったわ………)私にテテラがなぜか興奮して家に逆戻りしていったのよ。
それを食い止めるのにもまた一苦労で………「お邪魔しました」はどういう意味よっ!その前に熊男はいい加減に私を離せばよかったのよ!!まあ、その後なにかとごたごたしたけどテテラを落ち着かせることが出来て、誰にも言わないことを約束させた。いい、誰にも言っては駄目よ?余計な問題は起こしてはいけないわ。
それから体調を聞きにまわって大丈夫みたいだから約束の朝食をみんなで食べる。そして―――今日はまあ、熊男の服を作ってあげるわよ。朝からあんなのでうろうろされたら困るし。その内に乾くまで全裸で木の枝を夜中に振り回していそう。夜中なら見えなくて大丈夫だとか平気で言いそう………そんなの、子どもに悪影響に決まってるわっ。
と、言うことで本日は町にも行って疲れていると思うから軽くだけ汗を流してもらって、後は昨日の野菜を確認して自由時間。お休みも必要よね。午後は自由よ。そう言うとまず駆け出していくのはやっぱりと言うのか、なんと言えばいいのかしらね。イーグとカトレーとモルフィーリが森へ駆け出していく。それについていくのがバナル。いつも助かるわ。
アーテはテテラお勉強。魔法もだし、お夕飯の料理も。それに裁縫はまだ終わっていないからそれらを終わらすためにやるみたいね。ロロはトッティとミミルを見てくれるみたい。ありがたいわ。さすがに針は危ないもの。エーラとマティスは………裏の近くで栽培してる薬草を摘んでくるのね?大丈夫だと思うけど、くれぐれも危ないところにはいかないでちょうだい。マティス、頼んだわよ。
「よし。じゃあ、まずうつ伏せに倒れててちょうだい」
「………倒れる必要はあるのか?」
「貴方の身長だと私が苦しいのよ。いっそ倒れていてほしいわ」
「いや、座るだけでいいだろう?倒れた方が邪魔だと思う」
「隅にでもいれば大丈夫よ。悪くてどこか踏まれるぐらいだわ」
「………座らせてくれ」
「作るのは私よ」
あら。黙ってしまったわね。いったいどう出るのかしら?少しふざけてみただけなのだけど―――あら。考え込んだわ。そんな腕を組んで悩むほど?嫌なら嫌だと突っぱねればいいのに。そのさい居候のくせにとか言いますけど。まあ、私もそこまで酷い事はしないわ。
考えてもみなさいよ。倒れている人の背中をどう図るのよ。その方が計りにくいじゃない。跨げと言うの?決意を固めて倒れこんだら踏んであげるわ。私にそういう趣味はないけど、ミミルの馬にぐらいにはなるのではないかしらね?
「で、どうするのよ。私は早く作りたいのだけど」
「やっぱり座らせてくれ。倒れるのはさすがに俺の体だと邪魔すぎる」
「………………邪魔だと自覚は、あるのね」
「この前カトレーを天井にぶつけそうになった」
「ちょっと」
何していたの?天井?天井ってけっこうあるわよね?私の倍ぐらいなのよ?熊男が子どもたちを肩車とかしても届かないわよ。なにしたの、白状なさい。今なら針山にでもしてあげるわっ!
「高い高い」
「………腕をあげても届くわけないでしょう?」
「いや、軽く投げた」
「ちゃっといつの話よ!!怪我はもちろんさせてないでしょうね!?」
「昨日、ホルティーナが部屋にこもった時だ。大丈夫、本当にすれすれだっただけで怪我もなにもない」
「あとでカトレーに聞きますからね。嘘だったら服なんてボロボロの布切れで渡してあげるわ」
「なら大丈夫だ。嘘は言っていない」
「後で後悔しても知らないわよ。とりあえず座って。もう始めるわ」
なにホッとしてるのよ。そんなに倒れるのが嫌だったの?私も邪魔だから嫌なのだけど。まあ、さっさとやってしまって終わらせましょう。はい、背筋を伸ばして。肩は詰めないで胸を少し張って………はい、腕を広げて。はっ?!………………
「一応、聞くのだけど………ズボン、も?」
「セットじゃないのか?」
「………腰幅………お尻の膨らみも考えるの?それと股………足………ズボン作るときはそれ脱いで貸しなさい。そうよ。服を計って作ればいいんじゃない。上もそうしましょう。なぜ考えなかったのかしら。ああ、みんなのサイズを知っていたからだわ」
「………………………脱がないからな?」
「なんでよ。その方が一っ番!楽じゃない」
「ここで変態にはなりたくない」
―――露出狂が何を言うの………?