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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.12
………………………………………………………………はっ!?そう危ないっ。あまりの事に理解できなくて現実が見れそうになかったわ!なんとか気を取り直してもう一度目の前の人物………熊男を、見る。
今日も二手に別れて作業しようと考えていたのよ。まだ食料が足りないからトッティ以外の男の子チームで行ってもらって、女の子チームは狩りと裁縫をしようと思ったの。よし、段取りは覚えてる。
しかし、残念な事に昨日の熊男の顔は思い出せない。確かにじっくりとか見ていなかったわ。見る必要はないと思っていたし、見ても………ねえ?問題ないもの。だから、忘れたというのは正しい。まあ覚えていてエメラルドグリーンの瞳だったわね、ぐらいよ。
「あなた昨日と同一人物でいいのかしら………?」
「間違いない。熊と呼ばれガトラと名付けられた」
間違ってない、わね。でも昨日の記憶を当然持っている私たちは混乱ぎみよ。なんたってこの熊男………熊に戻ってるんですもの。毛むくじゃらが元に戻ってる。戻ってる―――…
一 日 で 戻 っ て る !?
「ありえないわ!」
「さすがに………なにと思う」
「あれ、夜のうちにもじゃもじゃ?」
「ロロやめろ。なんか想像したっ」
「………」
「マティクも驚いてるね。珍しい………」
「テ、テテラが驚くのはそっちなの!?」
「熊だ!!熊パパが戻ってきた!」
「熊パパだー!!熊パパー!!」
「熊さんパパー!」
「熊パパ、やだ」
「っ………ほりゅ、てぃーなしゃまあ!」
ああ。ミミルとトッティは逆戻りなのね。飛び付いて二人してめそめそし始めてしまったわ。少しは慣れたと思っていたのに………………こんな、急に変わったら子どもなら驚いてしまうかも。
アーテは呆れながら。ロロとバナルが面白半分。マティクに驚くテテラとそれに驚くエーラ。イーグとカトレーとモルフィーリはいつも通りね。むしろ新たな名前が出来上がったわ。『熊パパ』は呼びにくいと思うの。
控えめな阿鼻叫喚に朝食はにぎやかなものに早変わり。熊パパ争奪戦にカトレーとモルフィーリが勝って隣を陣取り、その目の前をイーグか陣取る。ミミルとトッティが戦線離脱しているのでアーテがすでに別のテーブルに私たちの朝食を用意してくれた。さすがね。それにしてもなんでまた………
なんとか朝食を食べ終われば男の子チームを送り出す。大きめな籠に果物と野菜を別々に一つづつ。中くらいの籠には粉ものを。小さめの籠には調味料となる草を買ってきてもらう。みなに背負ってもらって、はい。これがお金。それと昨日の毛皮。たぶん高値で売れないかしら?
「みんな買うものは大丈夫ね?」
揃って返事をしてくれるのだけど、一番に返事を返してくれたのがイーグとカトレー。なんだか心配してしまうわ。この子達も数回は行っているし、大丈夫だとは思うのだけどね。不安は拭えない。
「危ないことはしては駄目よ?わからなければバナルに頼りなさい」
もう一度揃ってお返事。大丈夫、と思っておきましょう。今日は王都に近い町の『ホウボーラ』。お野菜と果物の流通が多い西側の町。粉ものが少し高いけど、ここのお野菜は美味しいのでいつもここにしてる。最後に転移石を持たせていつもの説明を口にする。
いってらっしゃい、と声をかけて転移の呪文へ。完成したら子どもの回りに円陣を描いて範囲指定。出来上がれば子どもたちは一瞬にして私が思い描いた門の付近へ飛ぶ。成功ね。
「さあ。こっちはアーテ、テテラ、エーラ。それに熊………貴方ね。少数だけど昨日実践を見たから頼りにしていいと思うわ」
「名前、呼べばいいのに」
「熊なら呼べるわ。言っておくけど、貴方は手出ししてきちゃ駄目。ギリギリまでこの子たちにやらせて」
「………援護でも駄目か?今日は人数も少ない」
「ある程度ならいいわよ。それよりもあなたの姿で敵が遠ざかったらまた剃ってちょうだい」
「剃った方がいいか?」
「それよりなんで一日で生えてくるのよ。あり得ないてしょう!」
「起きたら生えてた?言われるまで俺は気づいていない」
「自分の事でしょう!?気づかないなんて鈍すぎよ」
「まるで痴話喧嘩みたいね、アーテ」
「あ、テテラ!そう言うのを言ったらだいたい聞こえてるから言っちゃ駄目でしょっ」
「………………い、行かないの?」
「テテラっ!」
もうっ!あなた達も早く行ってらっしゃい!




