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26sideアーテ

誤字・脱字を修正いたしました。27.4.12

「そちらの、若い二人。少々、いいかね?」


 急に声と肩を叩かれて私は驚きに持っていた布を手から落としてしまった。地面にパサリと音をたてて落ちてしまった布を慌てて拾い上げて汚れていないか確かめる。


 布売りの店主にすごく睨まれたが汚れがなかった事に安堵する。これが昨日雨など降って土がぬかるんでいれば買わなければならなかっただろう。………そう思うといきなり声をかけてきた人物に腹が立ってくる。


 振り向けばそこには真っ白な髪を短くフードに入れ、少し長めのローブから簡素だがしっかりと丈夫そうで上質の布地が見えた。私でもわかる上質だ。


 今手にしていた布なんか糸がたまに飛び出ていたりと少し品質が悪い。触り心地だってちょっとごわっとしている。冬物だから、と言うのもあるけど、この見た目お爺さんの衣服と比べれば違いはわかる。


 一緒にきているマティクはすぐに私と並んで睨みを利かせてくれた。この子は私より若いし、少しだけ小さいけどいつも表情がない分、怒った顔はすごく怖い。なんだか得体のしれない恐怖をマティクはできるのだ。でも、そんなマティクにものともせず老人は話しかける。


「君たちは孤児だろう?もしかしてホルティーナ様のところのいる子達ではないかね?できたらお話ししたい。もちろん、断ってくれてもいい」


 ホルティーナ様を知ってる?それになぜ私たちが孤児だと分かるのだろうか?


 私とマティクの髪色もちろん、違う。けど両親の髪色が別々でそれぞれ違う色を受け継いでいる、と髪色の判断をするのなら別に違うのも納得できると私は思う。いや顔のパーツがどうとか言われたら私ではなにも言い返せない。違うのは確かなのだから。


 じゃあ、なんでホルティーナ様を知っているか………ホルティーナ様は私がやって来た七年間、結界から出る素振りを一度も見せていない。夜こっそりなら分からないかもしれないけど、そんな事はされない。


 次々とだした言葉を打ち消せば………納得できる答えが頭に浮かんだ。この老人も同じ場所にいたのではないのか。そうだとしたら名前を知っていても違和感はないしおかしくもない。


「長い話ですか?」


「………聞くの?」


「その前にどうして私たちがホルティーナ様の知人と思ったのですか?」


「懐かしい魔力を感じてね。冬に近づくと布を買いに行って次に食料を買いにいく。その時、絶対に転移石を持たせてくれるんだ。貴重な代物だろうに、町へいく人数分、しっかり渡す方だ。待っている間に森で保存用の肉を狩りにいったりして、帰ったらみんなで出迎えてくださるんだよ」


「………………名前、聞きたい」


「こりゃ忘れてたね。私はマーデク・アヴリーベ。王国魔術師の、先生をやっておるよ」











「時間は大丈夫か?」


「見学していいと、言ってくださってます。大丈夫です」


「すまんねえ。勘定はわしに持たせてくれ」


「助かる」


 腰が痛いのか、ゆっくりと腰かける老人―――マーデクさんを椅子に座らせて私たちは近くのお店に座る。オープンカフェだったらしく、店員がマーデクさんを見て一番近くの椅子を用意してくれた。言われもしないのにマーデクさんを親切に労ってくれるのでとてもありがたい。


 私がこの人の話を聞こうと思ったのは………まあ、気になったからかな?ホルティーナ様を知っているようだし、『アヴリーベ』も知っていて。これがなんなのか、よく知りたいとも思ったからこの人の話を聞きたいと思えたのだ。


「それで………早速で悪いが私たちに話しかけたのはなぜでしょう?ただ同じ仲間を見つけて世間話、ではありませんよね?」


「不躾では悪いが、ホルティーナ様にお逢いしたいのじゃ。今、王都で事件が起きておってな。人を探しておる」


「ホルティーナ様と関係、あるの?」


「ホルティーナ様はとても博識じゃ。年老いたわしでも敵わぬ、海よりも広く、森より深く知恵を持っておる。わしは知恵がほしい」


「申し訳ありませんが、それだけでは無理ですよ」


「―――今、王国の第一王子が迫害を受け、国を追われたんじゃ。その方は王都でなくてはならない存在での………見つけて守らねばならぬ。ホルティーナ様は多大な魔力を持っておられるので………その王子を探してほしいのじゃ」


「………………もう少し」


「マティク坊は侮れんな。しかし、これ以上は国に使える身ゆえ話せん」


「………………すみません。私では、判断できません。ホルティーナ様に聞いてみないとわかりません、ね」


 ホルティーナ様………聞いて下さったとして手を貸すのか―――まったく分からないけど。





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