第1話 パドックで固まっちゃったレガレイラちゃん
(作者的にはエリッククラプトンよりリッチーブラックモアの方が断然推し)
場面は冬の中山競馬場。千葉県船橋市。
「どうしよう、2年連続で有馬に選ばれちゃった。しかも今回は一番人気」
令和7年末の有馬記念。中山競馬場のパドックで不安げに周囲を見渡すレガレイラちゃん。今年4歳になったばかりだ。
「うわ、周りは全員牡馬(ぼば。オス馬のこと)だ。女の子は私1人。みんなすごい目で私を睨んでいる」
観客席に目をやるレガレイラちゃん。
「レイラ、負けたら承知しねえぞ」
「お前が勝たないと、年を越せねえんだよ」
有馬記念二連覇の牝馬となる事を期待する観客達。
どうして大人はこうも無責任なのだ。私はただ一生懸命走ってきただけ。有馬に選ばれたのも一番人気になったのも、私が決めたんじゃない。もし私が負けても、それは馬券を買ったみんなの責任のはず。
「オバさん、去年の勝ちはマグレじゃないとこを見せて下さいね」
3番人気のミュージアムマイル君が突っかかってきた。今売り出し中の3歳牡馬だ。
「オバさん?」
「去年の有馬じゃメスの3歳馬でしたから、重量ハンデがマイナス4キロでしたね? 今年は僕と同じマイナス2キロだからガチンコ勝負です」
3歳馬はマイナス2キロ、牝馬はマイナス2キロなので、去年レイラちゃんはマイナス4キロのハンデが与えられていたのだ。それでも有馬で牝馬が勝つのは至難の業。
他の牡馬達が追い討ちをかける様に言う。
「レイラ、今年はみんながお前をマークしているからな。コースから押し出されないように気をつけろよ」
「先行内枠は許さねえぜ」
(有馬の中山競馬場では、スタート後間もなくの第1コーナーで、馬場の硬くて走り易いインコーナーに入った方が有利と言われる)
男達に囲まれて、紅一点のレイラちゃんは軽い恐怖感を覚える。
「(嫌だ、私、走りたくない……)」
パドックでしゃがみ込んでしまう彼女。
「何やってんだ、とっとと走る準備をしろよ!」
「一発かまされてえのか!」
容赦ない観客の罵声。すると……
「ほ~らレイラちゃん怖くないよ、立ってごらん。お姉ちゃんと一緒に歩こう」
どこからともなく近づいてきた金髪の牝馬。彼女はいったい何者なのか? 敵か味方か?
うわぁ、まったく次が読めないミステリアスな展開だぁ……つづく




