続々登場じゃの
「オリア姉どこ行っただ?」
様子が明らかに変だった為、走っていったオリアを追いかけてきたヨコヅナ。
見失ってしまったオリアの姿を探す。
「この辺って確か危ない地区の近くだべな」
以前ヨコヅナも知らずに入り、大量のゴロツキに絡まれた貧困街の近くだ。
悪い想像がヨコヅナの頭に浮かぶ。
『ピィーーーーー!』
「この音!」
必死に走りながらオリアを探すヨコヅナの耳に、聞き覚えのある笛の音が届く。
「あっちだべか」
「オリア姉!大丈夫だか!?」
「ヨコ!?どうしてここに」
音を辿りヨコヅナが着いた場所には、予想通りオリアがいた。
聞こえた笛の音は、ニーコ村で助けを呼ぶ時に吹く笛の音なのである。
そしてオリアの状況は、ヨコヅナの頭に浮かんだ悪い想像に近かった。
怪我をしている子供と庇うように立つオリア、それを囲んでいる男達。
囲んでる男達は以前絡んできたゴロツキ達に似た風貌…。
「なんだぁテメ……っ!?」
「ロード会のや……っ!?」
「邪魔すんじゃ……っ!?」
似た風貌と言うよりも全く同じ、絡んで返り討ちにあったゴロツキ達だった。
「「「子連れ妖怪!!?」」」
ヨコヅナは数が多過ぎてゴロツキの顔など覚えていないが、ゴロツキ達はヨコヅナの事をしっかり覚えていたようだ。
しかも変な名前を付けられていた。
「……子連れでも妖怪でもないだよ」
名付けの理由は分かるが、一応否定しておくヨコヅナ。
「どどど、どうするよ?」
ヨコヅナを見て動揺しまるくゴロツキ。
「俺ら三人でどうにかなる相手じゃねぇだろ!」
「じゃ退却ってことで!」
「「異議なし!」」
ヨコヅナの姿を見て逃げ出そうとするゴロツキ三人だが、
「異議は有るだよ」
その言葉にビクリと動きを止めるゴロツキ達。ヨコヅナの言葉に明らかな怒気を感じ取ったからだ。
ここは道の行き止まり、オリアの後ろは壁で左右も壁、ゴロツキ達にとっての逃げ道はヨコヅナの後ろだけ。
「あんたら、オリア姉に何しただ?」
つまりゴロツキが無事逃げれるかはヨコヅナの次第、
「姉!?い、いや、その女には何もやってねぇよ」
「さっきいきなり現れたんだ」
「まだ、指一本触れてねえ」
ゴロツキ達の言っていることは本当なのだが、ヨコヅナがそれを信じれるわけもなく、
「本当だべか?オリア姉」
「……行かせてやって、私は大丈夫だから。ヨコが争う必要はないわ」
「…分かっただ」
オリアの言葉を聞いてヨコヅナを怒気を収める。
ヨコヅナの刺激しないように壁に沿うようにして、横をゆっくり通るゴロツキ達。
ゴロツキ達を無視してヨコヅナはオリア達に近づく。
オリアの後ろにいる十歳ぐらいの少年(にヨコヅナには見えた)は青白い肌をしていた。不健康とかいうレベルではなく混血の証だ。
「ありがとうヨコ。助かったわ」
「その子は大丈夫だべか?」
「イティどう?歩けそう」
「これぐらい平気だよ…そいつ誰?」
イティと呼ばれた少年?は、足を痛たそうにしながら立ち上がる。
ヨコヅナを見て不安そうな顔をするイティ。
「私と同郷で、弟分みたいな感じ」
「オラはヨコヅナ、宜しくだべ」
「……オークとの混血?」
冗談とかではなく真剣にそう聞いてくるイティ。
「いや、オラは混血じゃないだよ」
その言葉を聞いてイティは険しい顔になり、オリアの背に隠れる。
「大丈夫よイティ。ヨコは優しいから」
「ウチらに優しいとは限らないだろ」
「ヨコは、」
その時ヨコヅナの背後で破壊音が轟く。
ヨコヅナが振り返ると、ゴロツキの一人が破壊された壁に埋もれるように倒れていた。
「うちのモンに手出してダダで済むと思ってんのかい」
逃げようとしていたゴロツキの奥に三人の人影。
「何でここに!?」
「…イティに、怪我サシタ。ユルサナイ」
「ま、待てっぐえぁ」
赤銅色の肌をした大男が、ゴロツキを殴り飛ばす。
「た、頼む見逃してくれ」
「それは無理っすね」
「…クソったれが!!」
「往生際、悪いっすね!!」
「ぎゃーっ!!」
最後のゴロツキがやけくそで突破しようとするも、爪の鋭い女が切り裂く。
ヨコヅナに見逃してもらったのに、哀れにも倒れ伏すゴロツキ。
「…オリア姉、さがってるだ」
ゴロツキを倒した三人に対してヨコヅナは、オリアを守るように構える。
「大丈夫、身構える必要はないよヨコ」
だがヨコヅナとは逆に警戒心を緩めるオリア。
「デルファ!」
イティもさきほどの険しい表情を消して、嬉しそうに相手の名前を呼ぶ。
「オリア、イティ大丈夫かい?」
「イティは少し足を怪我したけど、私は何ともない。ヨコのおかげでね」
「そうかい、大したことないならよかったよ」
現れた最後の一人、フードを深く被った女がヨコヅナに近づく。
「アンタが二人を助けてくれたんだね、礼を言うよ」
「オラはオリア姉を追いかけて来ただけで、何もしてないだよ」
「オリア姉?……ああ!アンタがオリアが言ってた弟かい、話は聴いてるよ」
「…あんた、何者だべ?」
オリアに大丈夫と言われてもヨコヅナは警戒を解いてはいない。デルファと呼ばれたこの女が油断できない強者だと感じ取れたからだ。
感謝の気持ちも本当だろうし、ヨコヅナに敵意を向けているわけでもない。
だが、背後だった為見えていなかったが、初めの破壊音はこの女によるものだとヨコヅナは確信していた。
「恩人に対して失礼だったね」
女はそう言ってフードを取る。
「私はデルファ・ロード。オリアの仲間だよ」
デルファ・ロードと名乗った女の顔には、四つの目があった。




