表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/168

短いの


「さてと、一通り終わったべかな」

「まだです」


 そう言ってヨコヅナの前に立ったのは、


「コヒィーリア王女側近執事、ヤズミ・シン・ハスキーパ!一手お相手願います」

「……なんで参加してるだ?」



_____________________________


 何故ヤズミが手合わせに参加しているのかと言うと、


「ヤズミがヨコと手合わせして、もし無手で勝つこと事が出来たなら、今後黙って一人で外出しないことを約束しましょう」

「本当ですか!?」

「本当よ。足の裏意外が地面につくと負けというルールだけど、問題ないかしら」

「双方同じ条件なのでしたら問題ありません」

「クククッ、コヒィーリア王女も人が悪い。そんな無理難題を」

「……ふん、男一人膝をつかせるのを無理難題とは、所詮貴様はその程度か」

「私は訓練用の剣を用いてもヨコヅナ様に負けましたからね。無手では何度やっても勝つことはできないでしょう」

「ほう…では私が勝てば、ラビスより有能と証明できるわけだな」

「ヤズミがヨコヅナ様に膝をつかせる事が出来たなら、二度と逆らうような事を言わないと約束しますよ、クククッ」

「……その言葉、後悔するなよ」

「代わりにヤズミが負けた時は、ちゃんこ鍋屋で無償で下働きをしてもらいます」

「…その交換条件はおかしくないか?」

「おかしくありませんよ。実際戦うのはヨコヅナ様なのですから、ヨコヅナ様にも利がなくてはいけませんので」

「しかし私はコヒィーリア王女の側近」

「面白いわね、それ。期間限定なら構わないわ」

「な!、姫様!?ですが……」

「自信が無いのなら、止めてもいいわよ」

「クククッ、所詮ヤズミはその程度ですか」

「やります!やってやる!!」



 というようなやり取りがあったからである。

_______________________________


「恨みはありませんが、少々痛い思いをしてもらうことになります。ご容赦を」


 ヤズミの目は本気だ。それも当然、負ければコヒィーリアの側近から、一時的にとはいえ外されるのだから。


「………はぁ~、一度だけだべ」


 気が進まないながらも、手合わせに応じるヨコヅナ。


「ヨコヅナとあの側近執事の手合わせか…、中々見物の戦いですね」


 シレっとコヒィーリアの隣に立つメガロ。


「すり足の鍛錬はもういいのかしら」


 無様な負け方をして早々に手合わせが終わったメガロは、すり足の鍛錬を行っていたのだが、コヒィーリアが見向きもしてくれないので一緒に観戦することにしたのだ。


「見るのもまた鍛錬になりますので」

「それもそうね」


 コヒィーリアは視線をヨコヅナ達に戻す。


「姫様、ラビス、約束を反故にされるようなことはないように」

「御託はいいので、はやく初めてください」

「…ちっ、実力の違いを見せてやる」


 そう言ってヤズミはヨコヅナに向き直り構えをとる。


「あの構えはケンシン流!?」


 メガロが言う通り、ヤズミはケンシン流の基本的な打撃重視の構えだ。

 

「以前は妙な技を使っていたが…」


 建国祭の時、ちゃんこ鍋の屋台の前で取り押さえられたことを思い出すメガロ。


「メインの戦い方でないのは確かね、でもヤズミのケンシン流の腕前は師範代クラスの上をいくわ」


 以前ヤズミ自身が言っていたように、コヒィーリア王女の側近は、護衛としての役割もこなさなくてはいけない。

 構えを見ただけで、その実力が一般兵とは段違いなのが分かり、ヨコヅナも気を引き締めて構える。


「………残念ですね。やる価値がなくなりました」


 ラビスが無表情で呟く。


「ヤズミでは相手にもならないと言いたいのかしら?」


 この手合わせを提案したコヒィーリアは、ヤズミが勝つことを無理難題とまでは思っていない、そう思っているならあんな賭けを認めはしない。

 

「コヒィーリア王女でも実際に見ていない以上、そういう認識になりますか。……それともお忘れなのですか?」

「……何をかしら?」


 ヤズミもコヒィーリアも勘違いをしている。

 無理難題と言ったのは、ラビス自身が勝てないからではない。

 

「ヨコヅナ様は手合わせで、()()()()()()()()()()()()()()()のですよ」




「参ります!」


 ヤズミはケンシン流【瞬歩】で前に出る。

 コヒィーリアに師範代クラスと言わせるだけあって、ヤズミの【瞬歩】はまさに目にも止まらぬ速さだ。

 速攻で間合いに入り、先手を取ろうという考えのヤズミは……


「ぎゃっ!?」


 盛大に転んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ