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第一章 09-05
また走り出そうとしている獅子に向かって、ユウは剣を構えた。もっと集中しなければと思ったとき、左足に激痛が走った。
噛まれてはいない、ちゃんと避けたはずだ。
見ると左足のすね部分に黒い液体のようなものがべっとりと付着している。その部分だけ衣類が溶けてしまっており、肌が見えている。
踏み出そうとしたが力が上手く入らない。やむなく頭上の枝をつかんで体を振り上げ、枝の上に避難した。手元の葉を千切って黒い液体をぬぐったがなかなか取れない。
一瞬考え込んだユウは、両手を合わせて一瞬目を閉じて念じると、あわせた両手が赤く輝いた。赤く輝く両手を自分の左足にかぶせると焼けるようなにおいがした。
黒い液体は固形物になって剥がれ落ちたが、その分ユウの左足は赤く焼け爛れてしまった。荒治療だがこれで毒はおさまるだろう。
この場に妹たちがいなくて、本当によかった。こんな危険な戦いに彼女たちを巻き込んではいけない。
この魔物を倒して、さらにその先の魔物たちを倒しきって、はやく妹たちをもとの世界に戻してやりたい。




