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第一章 06-03
白いマントの勇者が馬にのったまま数歩前に出てピタッと止まり、右手をすっと上にあげた。
「民よ、今日この場に集まってくれて心から感謝する。
われらは魔王征伐のため、今この国を発つ。
行く先々で魔族を滅ぼし魔王を退治して、この地へ必ず戻る。」
凛とした声はマイクもないのに広場の端まで響き渡った。
勇者が右手を下ろすと、また歓声が沸きあがり、陽気な音楽が流れた。
勇者一行は広場の端からゆっくりと観客の前を進み出した。
「それにしても、勇者さまはすごい方だ。」
先ほどの村人が独り言のように話し出した。
「昨夜も西の森で魔物をたくさんやっつけて、村人を守ったらしい。
それだけではないぞ、北の森でも夜中に戦って30匹以上の魔物を片付けたらしい。」
それを聞いてマヤが
「え? それって私たち...」
そう言いかけたのでコヤネがあわててマヤの口を手でふさいだ。




