第一章 04-01
月明かりが森の木々を静かに照らし、虫の声やふくろうなど夜の鳥の静かな泣き声も聞こえる。
集落から少し離れたこの森は北側の山地に隣接し、西の森のような果樹園などはなく人の住む気配がない。
「ドサッ」
何かが落ちてきたような鈍い音がし、続いて小さな叫び声、
「キャッ」
「ちょっとーなによー痛いじゃないの!落とさなくてもいいじゃない。」
「ドサッ」
「ドサッ」
「うぁー」
「何これ、ちょっと待って」
鳥たちが逃げていく羽音や小動物たちが姿を隠すために走り去る音がし、虫の音は止んだ。
「ウズメ、マヤ、みんないる?大丈夫?」
「うん。」
「いるよー。ここどこなの?暗いね、落ち葉がいっぱいある。」
月明かりがあるとはいえ、真っ暗な森の中は気味がわるい。
どうやら背の高さくらいの位置から落とされたようだが、幸いなことに落ち葉のおかげで怪我などはせずにすんだようだ。背の高い木々には葉が覆い茂り、月明かりをところどころにさえぎり、夜露に濡れた葉が時折きらりと輝く。
「んとね、ちょっとみんな落ち着こう。うん、よく考えてみよう。」
自分の頬をぺちぺちと叩きながら、コヤネが誰に語るでもなく一人で頷いている。どうやら普段は沈着冷静な彼女が一番動揺しているようだ。
「ちょっと上から見てくる。」
そう言うと、マヤが手近な枝をつかんでささっと木の上に登った。




