第一章 03-06
仮に彼女たち3人を転送したとしても、かえって兄の足手まといになるのではないか、それに女の子3人が戦うといってもなにかと無理があるし、魔物と戦うことを前提に育ててきた兄とは状況が全く違う。
一方で戦術に詳しいコヤネの剣の腕とセンスはなかなかで、マヤの瞬発力と体力と動物的な感覚は相当なものであるし、足が弱いとはいえ超ポジティブで薬草などの知識も豊富なウズメもみんなの助けになるかもしれない。
この選択が吉と出るか凶と出るか、家族というものに賭けてみてもよいと考えることにした。
「あと1時間でまた月が顔を出す。そのタイミングで転送を行う。それまでに急いで準備をしよう。
とはいえ、異世界には何も持っていけないから、腹ごしらえだな。みんなで夕食を食べよう。」
階下のダイニングで夕食をとりながら、父は簡単に異世界の説明をした。国の中の各村や街の配置、人々のくらしぶり、食事や服装。人々は全体的に穏やかで平和主義、中央の城には王がいて国を治めている。現実世界と大きく異なるのは、魔物がいるということ。
「RPGみたいね。まさにゲームの世界みたい。」
勉強好きの優等生タイプだが、実は生粋の格闘ゲームオタクの長女が嬉しそうに言った。
「そうかもしれないな、数値化されているわけではないが、自分自身のダメージや能力レベル的なものが不思議と自分で理解できると兄が言っていた。」
「この鶏肉ソテーおいしいね。ねぇ、向こうにも鶏とか牛とかいるの?」
鶏肉のソテーにトマトソースをのせて、口いっぱいにほおばりながらマヤが言う。
「そうだな、家畜や農産物はほぼ同じかな。食べ物にはあまり困らないと思う。
怪我や病気治療は薬草などが森や山に豊富にあるのでそれを利用したり、もしくは魔法を活用したりする。古来からに伝わる魔法が多く、術に長けた魔道師が王のもとに何人かいる。
ちょっとした魔法なら一般人も使えたりもする。
ユウにもいくつか教えてあるので、合流したら教えてもらうといい。
学校には兄のいる留学先の学校に通うことになったことにしておこう。なんらかの戻る手立てはあるはずだ。4人そろって必ずここに戻ってきて欲しい。」




