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からみざけ  作者: 雪之
8/8

08.先週の店内

本日、時間差で二話投稿しています。こちらは二話目の小話です。

「いらっしゃいませー! あ、さっきはすいませんでした」


「いや、こっちこそ忙しいとこに」


「いえいえ、大歓迎ですよ! あれ、すみれこさんは?」


「…………とりあえず、生一つ」


「ハーイ、今日はもう酔っちゃったとか?」


「いや……やらかした」


「あ、潰れました?」


「……俺のほうが、やらかした」


「もしかして……告ったんですか?」


「なんで分かるんだよ……」


「一応客商売すからね、結構分かるほうなんですよ。上手くいかなかったんすか?」


「今日は解散って、追い返された」


「追い返すって……まさか、家とか?」


「どこも混んでるからって普通に家に連れてかれた。俺、そもそも対象じゃないのか……」


「いやいやいや! それはないですって!」


「やっぱり男と別れたばっかだったし」


「やっぱりって、よく分かりましたね。モテ男の直感?」


「モテてなんてねーよ、話してたらなんとなく思っただけ。このタイミングじゃ付け込んだと思われたか……」


「あれ? こーすけさんだけだ。すみれこさん、来てないんですか?」


「……もう一度説明する気力がないから店長、頼んだ」


「えーと……家に招待されて告白したら解散になった、かな」


「わー、答えはどうだったんですか?」


「保留だって。ですよね?」


「来週来んのかな……来ないだろうな」


「だいじょーぶですよ、来ますよ。だってすみれこさん、こーすけさんのこと好きだと思いますもん」


「慰めてくれなくていいぞ、覚悟しとくから」


「うわー、後ろ向きジメジメ男は嫌われますよー?」


「今日くらいジメジメさせてくれ……」


「でも、オレも脈ありだと思いますよ。じゃなきゃあんなに酔っぱらいませんって」


「あれは普通に弱くて加減知らないだけだろ」


「酔うってことは、安心できてるんじゃないですかー?」


「初めて会った時、普通に路上で飲んでたがな」


「うっかり酔っちゃうのと自分で酔うのは違いますよ。わたしだって合コンでは控えますもん」


「そういうのを教えてやってくれ。知らなすぎんだろ」


「知らないとこが可愛いくせに?」


「店長、おかわり」


「なににします? シャンシャンガフ?」


「なにをどう聞けばそんな名前になったんだろうな」


「可愛いじゃないすか。あ、そろそろ札返しておいて」


「はぁーい」


「もうそんな時間だったか?」


「さっきのラッシュで品切れ続出なんですよ。この後はもうほとんど来ませんし。なんでじっくり付き合いますよ」


「……はぁ、今日はもう飲むしかないか」


「で、なににします?」


「ニヤつくなよ……そーだな、シャンシャンガフ三人分。一杯付き合ってくれ」


「まいど!」


「やったぁー!」


「来週振られたらもう来れないからな」


「じゃあ来週も平気ですねー。はい、かんぱい」


「だといいんだがな……乾杯」

お読みいただき、ありがとうございました。

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