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おててつないで……鬼

目が覚める。

よし、今朝は潜り込んで来てないな。内鍵を増やしといてよかった!あんな格好で近くにいられたら理性がヤバい。

ぶっちゃけて言うと、なんでもないフリをしてるけど、香苗が俺に好意を抱いてるのはなんとなくわかってはいるんだ。

さすがにそこまで鈍感ではないつもり。

香苗は相当に可愛いと思う。スタイルだっていいし、はっきり言って、何度か手が伸びそうになったことはある。けど俺は手を出さない。出せない。だから鉄の意思で耐えたけどな。

こんなこと調子に乗るから本人には絶対に言えないけどな。

そいえば昨日はあれから部屋から出てこなかったな。珍しい。まぁ、どうせ次の撮影のプロットでも考えてんだろうな。


起きてからポケーっとしながらスマホを見てると姫川からきたメッセージを思い出した。


「あっ!からあげ!」


急いで下に降りると母さんが珍しく弁当を作ろうとしてるとこだった。ヤバい!母さんはデートとか父さんとのラブイベントがあった次の日は、いつもは父さんと香苗のしか弁当作らないのに、とんでもない上機嫌で俺の分まで作るんだった!しかもなんか見られると恥ずかしい弁当を!


「母さんちょっと待った!俺の弁当いらない!」


「え?なんでー?どしたのー?」


「今日友達が唐揚げ様を持ってきてくれるから、ご飯とパンだけもっていくから」


「友達?女の子?なんでまた?」


「そりゃ女の子だろ。昨日昼飯コッペパンしか買えなかったら唐揚げ様をくれてさ。旨かったからまた食いたいって言ったら今日持ってきてくれるみたい」


「みたいってあんた…」


「そーゆーわけだから!よろしく!顔洗ってくるわ」


「これは早急に香苗ちゃんに料理教えないと…」


ん?なんか言ったか?まぁいいか。朝から小言聞きたくないしな。

顔を洗って制服に着替えてリビングに行くとご飯とパンが準備してあった。が、何故か涙目の香苗が抱えて離さない!


「このご飯とパンが欲しがったら唐揚げの出元をおしえなさぁーい!」


「え?姫川だけど?」


「こうちゃんのクラスの委員長の?」


「そうだけど」


「なんてこと!また増えたのぉ…。まさか唐揚げで気を引いてくるなんてっ!」


「何が増えたのかしらんが唐揚げは俺が頼んだからだぞ?母さんから聞いたろ?」


「そーゆーことじゃないのよぅ!お義母さんっ!」


「言いたい事はわかったわ!まかせて!今夜から頑張りましょう!」


「はいっ!先生!」ヒシッ!


なんか抱き合ってるし。朝から濃いなぁ…。まぁいいや、そのスキにご飯とパンをバックに入れて、さっさと学校に行こうと靴を履いていると、


ピンポーン♪


また後藤か!?これが続くと腐った人に勘違いされてしまう!止めさせなければと思い玄関を開けるとそこには西宮がいた。なぜ?


「おはよっ光輝君♪きちゃった!」


来ちゃったかぁ~


「こうちゃん今日は誰が来たの!?」

「こら光輝!ご飯食べてないでしょ!?」


やべぇ!せっかくこっそり行くために飯抜いて出てこようとしたのに!


「まずい!行くぞ西宮!やつらが来たらめんどくさくなる!」


言って西宮の手を掴んで駆け足で家を出ていく。


「えっ?ちょ、ちょっと!?」


最初の曲がり角を曲がった所で足を緩めて振り返って西宮に謝罪する。


「いきなり走って悪かったな。あのまま捕まってたら絶対にめんどくさい事になってたから仕方なくだったんだ」


「うん」


「にしてもくそっ!こっそり出てこようとして朝飯食ってこなかったから腹減ったな。ちょっとコンビニ寄っていいか?」


「うん」


「じゃあ行くか!」


「うん」


で、歩き出そうとすると左手が動かずに止まる。ん?

やべぇ!ずっと手繋いだままだった!


「悪い西宮!つい握ったまま来ちまった!」


「うん」


「西宮?」


「うん」


顔を覗きこむと耳まで真っ赤になっていた。あー、そりゃそうか。告白した相手に手を握られればそうなるかー!返事もちゃんとしてないのにやっちまったー!


「あー、じゃあ離すぞ?」


「うん……っだめ!」


「え?」


「離さないで…人目に着くような場所まででいいからこのまま繋いでいて?やっぱり付き合ってないから…ダメ?」


真っ赤になったまま俺の手を離すものかと握りしめながら空いてる手は胸元でギュッと握りしめて、潤んだ瞳で必死に見つめてくる。


あーもう!そんな顔されたら断れねぇじゃわねーか!


「あ、あーまぁ、いい…けど…。じゃあ、行く…か?」


「うん…うんっ!」


嬉しそうな顔だなぁ…。答をだせないことに罪悪感が募る…。手を繋いだまま歩きだすとこんなことを聞いてきた


「そういえば朝逃げたす程の事なんて何があったの?」


「あぁ、それな。今日姫川が唐揚げ様持ってきてくれるからご飯パンだけで良いって言ったら、母さんが変な勘違いして、香苗がわめきだしてな。それから逃げてきたんイタッ!……ちょっと西宮?手が痛いんだけど?」


何故か握る力がどんどん増してきてるが、言っても手を緩めてくれない。


「ん?どおしたのかな?」


「いや、手がね?痛いなぁーって」


「そう?気のせいじゃない?」


なんか冷や汗出てきた


「いやいやいや、西宮さん怒っていらっしゃる?」


「怒ってないよ?そっかぁ。夏希ちゃんの唐揚げかぁ。夏希ちゃん料理上手だもんねぇ」


「そうなんだよ。昨日食った唐揚げ様が上手くてな!また食いたくて頼んだんだよってイタイイタイイタタイッ!西宮っ!手っ!」


「ふふっ何かなあ?」


ひいっ!鬼がいるっ!

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