第16章 舞の運命
神威武蔵にも分かってもらったが、問題は舞をどうするかだ。
「舞さんはどうなるの?」
「…未来へ…俺たちの時代へ連れていく」
「えっ?」
「未来に行くことが姉さんの運命なら未来に行けるはず。そうじゃなきゃ未来へは行けない運命。例えばこの時代に姉さんが残りたいと思い、未来へは行かない運命とかね」
舞は迷った。
そして翔にこう答えた。
「幼いあなたはこれから先過酷な運命と戦わなければなりません。そんな弟を置いて自分だけ未来に行くことは出来ません。私の運命はこの時代で翔の知らないところで生きていくことです」
「…貴女ならそう言うと思いましたよ。この時代に残れば7年後には戦争が起こる。俺の運命は分かっているが、姉さんの運命はまだ、分からない。だが、生きていれば未来でまた会うことが出来るはず」
「そうね。その時まで私もどこかで生き延びて見せるわ。そしてマジカール王国に行ってあなたのいる何でも屋に会いに行くわ」
そう言って翔を抱きしめ、彼女は姿を消した。
「さて、俺たちも未来に帰るか」
「そうね」
と、ルーナが言った。
「師匠、あとは任せます」
「おう!これから幼い頃のお前をたっぷり苛めてやるぜ」
その言葉に翔は薄ら笑いした。
そして未来へと帰っていった。
現代…
多少の時間差はあるが、過去に行った日に翔たちは戻ってきた。
「ありがとう。じーさん…」
「なんのなんの」
「しかし戦争は終わって2年も経つのに翔の姉さんは会いに来ないということは…」
マリーが縁起でもないことを言いかけたので、ルーナと美奈子が慌てて彼女の口に手を当てた。
翔は無表情で皆に「会社に戻ろう」と言った。
それから5日後…
ペガサスに龍神隊の沖田蒼馬から手紙が届いた。
「あれ?誰にもこの国にいるなんて教えてないのに」
神威龍一殿へ
お久しぶりでございます。
沖田蒼馬です。
実は私は今、土方隊長の命令である人の護衛兼世話係を任されています。
その人は神威殿の事を知っておられる方で候
明日の昼頃その方とあなたの居られるお國へ参る所存で御座います。
龍神隊一番隊組長 沖田蒼馬
この手紙を読んで翔はまさか!と思った。
ペガサスの皆にも当然この手紙を読んでもらった。
「舞さんじゃないの?」
と美奈子が言った。
「だといんですけど」
そして次の日の午後1時過ぎ…
「隊長!」
「沖田さん!」
二人は握手して、ハグをした。
そしてもう一人二十代半ばくらいの女性が中に入ってきた。
そしてその顔を見た翔は彼女に「舞姉ちゃん?」と尋ねた。
彼女は照れながらうなずいた。
舞はあの後軍人になるため士官学校で訓練生となり、18歳の時に九乃一隊という隊に入隊。
名も如月銀と名乗っていた。
そして戦時中は副隊長を務めていた。
だが、九乃一隊の副隊長は戦時中に敵の爆弾攻撃をくらい、左腕と一時的に記憶を失ってしまったのだ。
彼女の左腕はそのため義足をつけている。
「軍医の松本幻斎先生が隊長の姉上を診ていたんですが、しばらくは記憶のほとんどを失っていたらしいです。ですが、去年くらいから記憶を少しずつ思い出し、先月頃から私たち龍神隊に会いたいと急にいいはじめたため私と土方隊長が銀さん…いえ、舞さんの見舞いに行きました。そして私たちに思い出したことをすべて話、ようやく舞さんは神威隊長に会う決心がついたため、私が護衛と世話係としてお供させていただきました」
「そうでしたか…ありがとうございます。沖田さん」
「隊長のためならなんてことありません」
「翔…」
「お姉ちゃん…」
二人は泣きながら翔が舞を優しく抱きしめた。
「まさか九乃一隊の如月副隊長がお姉ちゃんだったなんて…」
如月の姓を名乗ったのは、美奈子の兄武の事を今も愛しているからなのであろう。
「お姉ちゃんもずいぶん苦労されたようで…」
「翔の方こそ」
「良かったね翔くん」
ルーナがそう言った。
その後舞もペガサスに入社した。




