第14章 決められた運命
幼い翔はすぐに緊急手術が行われた。
翔たちや舞、武蔵たちは待合室にいた。
しばらく無言が続いたが、武蔵が翔達に問い詰めてきた。
「いい加減答えろ!なぜ俺を知っている?」
「それは…」
「おい、お前やもう一人の女以外、髪を黒くしているが(ジジイは白いが)、異国の者じゃね~か!知らね~のか?この国に異人がいたら捕縛され拷問を受けるんだぜ」
「…信じてもらえないかもしれない…でもこれから言う言葉に嘘偽りのない真実です」
翔は悲しんでいる舞の顔をチラッと見て、答え始めた。
「僕は…いや、僕たちは10年後の未来から来ました」
「未来から来ただと?」
「はい。このイムターさんが10年くらい前までなら過去へ行けるという魔法が使えるんです」
「はあ?このジジイが?」
「本当です。そして僕の名前は大空翔…今緊急手術で生死を懸けて戦っているのが幼い頃の僕です。僕と舞さんが似ているのはやはり姉弟だからでしょう」
「嘘言わないで!」
「嘘ではありません」
「じゃあ、翔の誕生日は?私たちの両親の名前は?あなたが未来から来た翔なら答えれるでしょう」
「…誕生日は4月23日…つまり今日…両親の名前は幼かったし、仕事で忙しいから、名前どころかあまり両親との思い出はありません。僕の面倒は姉さんが見てくれました。姉さんの名前は父や母、さらに武さんが舞と呼んでいたから覚えていました」
「(この子、武を知っている)」
「その武は私の兄です。貴女の事はいろいろとよく聞かされました」
「確かに似ている…」
「混乱されるのは無理もありません」
「じゃあ、お前らは何しに来た?」
「僕の知っている歴史では姉さんは父さんや母さんと共に死んだと、そちらの武蔵さんから聞きました。でも武蔵さんが亡くなる前、今は会えなくてもやがて時の中で会えると言われました」
「(この子は両親の名前は知らないが、武は知っていた。さらに武の妹までここにいる。もし何かの目的で私に近づいてきたのなら、両親の名前も調べるはず)」
「姉さん、これを」
翔が渡したのは舞から誕生日祝いで貰ったお守りだった。
「(ずいぶんボロボロだけど、これは確かに私が作って今日渡したお守り)ちょっと中身をみていいかしら?」
「もちろんです」
お守りの中には紙が入っていた。
広げるとじがかいてあった。
「愛する翔が幸せになれますように」
そう書かれていた。
「(この字は私の字)」
「そのお守りのおかげで戦争で生き延びることが出来ました」
「戦争!」
「はい。僕が13歳の時に…僕も戦に参加し、多くの人間を殺めてきました」
「!」
さすがに舞も驚いた。
「数えきれないほど敵を殺し、そして多くの仲間を失いました…勝ったのはジャパール…その後、ジャパールは他国と交流を深め、平和な国に時代になりました。誰でも他国へ行くことが出来るようになり、僕はマジカール王国にあるペガサスという名の何でも屋で仕事しています。あそこの老人とその近くの少女は違いますが、他の方はペガサスの従業員。他の従業員の皆もいい人たちばかりです」
「それは良かったわ」
「僕は姉さんに感謝しています。あっ、3歳か4歳くらいの時の右太ももの火傷もまだ残っています。僕が3歳か4歳くらいの時はボロアパートに住んでいたけど、火事で僕だけが逃げ遅れた。そして助けに来てくれたのが姉さんでしたよね。なんとなく覚えています」
「私も背中を火傷したわ。私も背中の火傷の跡が残っているのよ」
「そうですか…本当にいろいろありがとうございました!」
舞はお守りを返し、翔の言うことを信じることにした。
だが、武蔵はまだ信じていない。
彼を信じさせなければ幼い翔は弟子にならない。
翔たちは武蔵を信じさせ、幼い翔を弟子入りさせるのが彼らの運命である。
ジャパールは2年前にドラール王国との戦で勝利し、他国と交流を深め平和な国を目指している。
ジャパールは昔から他国と仲が悪かった訳ではない。
千年前、魔族たちとの戦いが起きた時は他の国(まだ国名などなかったが)と協力して戦っている。
その後も他国と交流を深めていた。
だが、400年くらい前、ジャパールはバートル王国という大きな国と戦を始めた。
ジャパールは軍人だけでなく、魔法が使える魔法使いや格闘技の達人をも戦に参加させたが、敗北が見えると、魔法使いや格闘家たちは敵に寝返り、謀反を起こした。
だが徳川家高により、勝利したのはジャパールであった。
その徳川家高がジャパールを支配し、軍以外の一般市民は魔法の研究をすることが許されなくなった。
ジャパールは鎖国を貫き、400年間完全な独立国となった。
ちなみに人類の魔法や言葉は魔族たちが使っていたものだ。
この世界の言葉はエイギル語という言葉を使って話す(もちろん昔のジャパール人も使っていた)
お金はこの世界ではマーネと呼ばれ、これも現在は共通しているが、昔のジャパールは自分たちの国のお金を使っていた。




