表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プレイヤーキラー  作者: 狗
欲望と野望
19/75

ロビンとの会談

 法律とは人間の作ったもので、国家が国民に対しこうであってほしいという表れだ。

警察は国民の為にいるのではない、国家の為国民を管理すべく存在するのだ。

拘束力と細部まで届く法令が、完成度を上げていく。

人間の作った物ゆえ、完璧ではなくアクシデントが起こるたびにアップグレードされていく。


 法律を破る事を犯罪と定義する。

しかし、法律は大多数の他人の価値観の集合体だ。

それに従い本能などを殺す事が人としてのモラルや常識である。

確かに全員が本能むき出しで生活すれば、人間という種はここまで発展してないだろう。


 

 意識せずとも人の価値は平等ではない。

基本的に、恋人と知らぬ他人が困っていたら恋人を助けるだろう。

では大切な物を守るためなら、法律を破る事は悪ではないのだろうか?


 子供や恋人の為、他人を殺すのは悪であろう。

しかしスイッチ一つ押すだけで自分の子供が死なず、だれか知らない子供が死ぬとしたら……

俺はそこでスイッチを押さない親は、清い人間ではなく自分で物も考えられない馬鹿と思う。

法律という他人の思想を妄信し、絶対正義と考える。もはや宗教だ。



 人生は一度きり、最後の時が来るまで自分を主人公とした生き方をしてほしい。

あくまで俺の思想で正しいかどうかは問題ではないが


 BY スカライト市長 狸

 

 三又の槍を持った、赤鎧隊長と対峙する俺。

周囲の兵も竜騎に騎乗し、緊張は和らいだが隊列は変えずいつでも戦闘状態に入れる。



「我が名は、イルマリと申します。このロビン将軍近衛赤備え隊の隊長をしている。先程名乗り返せず失礼いたした」



「イルマリ隊長よろしく頼む、ただ旧知の仲というだけではなく火急の用事だ。分かっているとは思うが、俺も冒険者だ用事というのはそれに準ずる。ロビンの命に係わると言えば重要度が分かるか?」



「っな! それは誠の話でしたら確かに一大事……宜しければ内容をお聞かせ願えぬか?」



「それは理由あって言えない、冒険者特有の掟の様な物だ」



「確かに私も掟は命をかけても守る。分かりました後はロビン様とお話しください。無力な我らに代わり何卒、殿を頼みます」



 正確に理由をあげるなら、事実無根の嘘だからなんだが。

この手の固いタイプは掟とか軍規とかいっとけば、簡単に引くだろう。

しかもこの嘘なら、ロビンと2人で会えるはず。


 嘘をついた理由だが……

この要塞内に限らず、トリンという副首都が注目する場の会話だ。

必ず兵同士で噂になり、この要塞内の兵は俺と面識があり英雄扱いだ。

噂話の中で兵達は、自分自身の知り合いである俺を必ず持ち上げる。

噂の有名人と身内感を出すはずだ。


 後はロビンをもう一回騙せばいいだけだ。

んで俺が信憑性を出すような行動をなんかして、理由つければいい。

その時俺はロビンの命を救った同格になっているだろう。





 嘘が功を奏して、場所を変える事になった。

トリン最高峰と呼ばれる宿屋、いやもはやホテルに俺はいた。

俺はロビーの30メーター以上上にある天井を眺める。

内部の装飾もとても美しく、カラフルなステンドグラスが天井を覆っている。

ステンドグラスから差し込む光は、訪れる人々を癒しの世界に導いているようだ。



「す、すげぇ。なんだここは」



 全てが大理石らしき石で出来た、壮麗で巨大な建築様式の宿屋。

現代の技術と真逆だが、現代の技術では出せない良さがある。

古い寺というか、威圧感があるが優しく落ち着くというべきか。

ただただ美しくそこにいるだけで、歴史上の英雄になったと錯覚させられる。



「狸様でしたね、ロビン様が最上階でお待ちですこちらの魔法陣にお乗りください。本日は最上階スイートは全て貸し切りとなっております」



 ホテルマンらしき上品な礼をする従業員に促されるままに魔法陣にのる。

魔法陣の真ん中に数字が書いてある。

一番奥の10番の魔法陣の前には、赤いフルプレートの兵が50人程警邏に当たっていた。

ロビーの客の中にも明らかにロビンの手の者が沢山いる。

つまり間違いなく、ここにロビンがいるという裏付けだ。

会釈する赤備えの兵に俺も会釈し、魔法陣に乗る



 一瞬で景色が変わり、大きな50メートルプールがすっぽり入るくらいの大きさの湖が現れる。

その真っ白な浜辺に俺はいた。

よく見ると、真ん中にバリ島のようなヤシと木でできた家が湖の上に立っている。

島から木でできたカヌーが、自動で俺の前に向かってくる。



「ロビンは高位の魔法使いとかいってたな、このホテルも……魔法って奴はなんでもありか」



 俺がぼやいていると、船の上に白い紙を見つける。

波は無く透き通った湖に白い砂、そこに漂流したような純白のカヌー。



「乗ってくれお久しぶり BYロビン」



 言われたままに乗り、カヌーは島に進んでいく。

湖は透き通って底にある綺麗なサンゴ礁やカラフルな小魚が見える。

底まで6メートル以上はあるからレーンでもけん引でもない。

動力はやっぱり魔法なのだろうか。



 島に着くと、そこには整った口ひげと顎髭を生やした30台のダンディな男がいた。

間違いなく初日にあったカーボーイだ。しかしこれはアバター。

中身はそこらの親が金持ちのボンボンだ、アバターで魔法職選んだみたいだな。



「よくきたね、今はロビンって名前で将軍をやってる」



「おぅ、久々だな俺は」



「BOFの狸だろ、宇宙連合一級特別指名手配犯の」



「!!」



 しまった、嵌められた丸腰の上退路は湖だ。

魔法使い相手に背を向けて泳ぐわけにもいかない、なら素手で制圧するしかない!

俺がロビンい飛びかかろうとすると同時に、湖が荒れ大波で湖の中に吹っ飛ばされる。

水面から泳いで島に戻る、ロビンは一切濡れていない。



「申し訳ないね、最初にかましとかないとやりにくいからさ。敵意はないよ」



「これは俺がお前を舐めてた罰だ、気にしねぇ。要件はなんだ」



 少しの沈黙の後、ロビンがニヤッと笑う。

俺は湖の水で頭が冷静になり、ロビンの動向を座りながら見据える。



「話が早くて助かるね、話は単純だこの星の支配をしたい。そして貴方を仲間に入れたい」



 ロビンが投げたタオルを受け取り、顔を拭いく。

俺の星を支配する野望も、全てチョンバレしてると思って間違いないな。

予想以上に切れる男だ。



「俺の事はもう大体知ってるみてーだな」



「君程の犯罪者はそうそういないけど、有名人が来ると初心者のふりして唾つけてるね」



「星に来た初日からバレてたわけか。軍服も全部知った上で交換したのか、まんまとやられたぜ。ようやるわ」



 ロビンは温かい紅茶を、どこからだしたのか俺に差し出した。

俺は受け取ると、一気に飲み干す。

熱くて喉が焼けそうだが、やせ我慢だ。



「風邪ひかせたら悪いからね、紅茶を一気飲みする人初めて見たよ」



「体は丈夫だ、んでどうやって星取る気だ」



「軍だね、自慢じゃないが火器や航空兵器が出る前の戦争戦術はここに全部入っている」



 ロビンは右手を鉄砲の様にし、片目を瞑りながら人差し指で自分のこめかみを刺す。

ダンディな男がやるとなんでも様になる。



「全部って、これまでどんだけ戦線あると思ってんだ。流石にそりゃお前の勘違いだ」



「親が軍人でね、家庭は恵まれて愛を持って育ったんだ。外に出れない分、基地に住んでたのもあって、ずっと戦争の勉強をした時にだね」



「暇つぶしのボンボンだって自己紹介か?」



 馬鹿にしたように俺はロビンを見る。

最初は面と食らったがやっぱり俺の予想は当たっていたか。

ロビンは俺の野次を気にせず、話していく。



「産まれ付き体が弱くて不老不死手術できる体力もなくてね、発作で去年死んだんだ。」



「……は?」



「この未来を予測していたんだ。古い戦争の本の、校閲こうえつをする仕事を体が壊れても辞めなかった。それで寿命が減った事もあるけど、このブリテン星のアバターを買うお金もできたしね。」



「記憶をダウンロードしたこのアバターが今の自分の全てって事さ、だから必ずこの星を支配して家族に会いに行く。その為に使える事は犯罪者だろうが何でも使う! この決意は揺るがない!」



気迫が伝わってくる、そうかこいつにも譲れない理由があるのか。



「俺の目的はBOFの解放と復活だ、それでいいなら手を貸そう」



「交渉成立だね」



 ロビンが笑顔で、右手を俺に差し出してきた。

握手らしいが、俺は手を出さない。そして重々しく告げる。



「いや、まだだ。まだ足りない」



「足りない? 何が目的なのかな?」



「戦ってもらおう、喧嘩するか一緒に女抱かなねーと兄弟の近道はねー。今回は実力をみせてもらう」



 ロビンは目を広げたかとおもうと、目を瞑り下を向き静かにう。

そして目力を込め俺の目を見ると言はなった。



「傀儡にするには君は大きい男だ、負けた方が下につくこれは男の約束だ」



俺はにやっと笑い上機嫌で答える。



「BOF・家族どちらも達成するが、男同士の会話はやっぱこうじゃねーとな。これから頼むぜ、これが本当の握手だ」



俺から右手を出し、ロビンは俺の手をがっちり握る。

そして笑いあいながら、お互いの話をした。



明日の朝、草原でトリン全市民が注目する決闘前夜であった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ