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五個目:すれ違いにて失恋中


「次、頑張れよ」

 そう言って、彼はいつも笑顔で慰めてくれるのだ。



「靖之は幼馴染だから。――だから、一緒にいてくれるんだよ」

 泣きそうになったのを必死で隠し、彼女はそう言った。



 快晴の天気を見て、前回の失恋の仕方が吹っ切れたため、外で弁当を食おうと言い出した美衣に、靖之は笑顔で頷いた。外に出ると、照らしつける太陽が少し鬱陶しく感じた。


「太陽って殴れるかなあ」

「殴る前にその手が焼け融けるぞ」

「焦げるんじゃなくて?」

「融けるんだよ」


 手が融ける状態を想像した美衣は、それきり何も言わなくなった。

 考えていることが手に取るように分かった靖之は、その横顔を見て吹き出す。


「何人の顔見て笑ってんの!」

「いや、あー……お前がフラれて泣いている時のこと思い出して」

「しんゆーの不幸を笑うとは! なんたる所業!」


 そう言った時、小さな笑いの後――――沈黙。

 普段煩い美衣が何も話さないのは、目の前で笑っている靖之が実は怒っていることに気付いたからだ。


「それ、分かって言ってる?」

 だが、その口から出たのはただのツッコみ。

「分かっているとも」

 そう思ったから、美衣はドヤ顔で言った。その言葉に、更に靖之の怒りがヒートアップすることも考えないで。


 美衣は知らない。靖之が口に出した、意味を問うそれは、ツッコみではないことを。

 所業という言葉の意味について行ったのではなく、その前の〝親友〟に対して物を言ったことを。


 靖之は知らない。自分が恋慕している彼女が、本命に失恋したくて、わざとその気持ちを隠しいつも泣きついていることを。

 そして、今の会話で確認したこと。自分の気持ちを知っているかどうかについて、実はすれ違っていることも。

 また、クラスメイトはそのことに気付いていることも。


 二人は今日も失恋する。



これにて完結。エンド悩みました。

死亡エンドもありました。

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