二章幕間
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「総理。アメリカから衛星通信が繋がっています。至急、話がしたいと」
「分かった」
あの二度の地震から一ヶ月ほどが経った。
自衛隊によって通信網は拡大し、情報も様々得ることが出来ている。
…………俄には信じられない事態だ。
世界中に見たこともない化け物が現れ、人間を殺戮している……同時に人間の筋力は強化され、超能力ともいうべき特殊な能力に目覚める者もいる。
混乱を極めていた。今までの常識は崩れ去り、世界は新たな秩序を必要としている。
私は電話の受話器をとった。
「総理!」
「何があった?」
相手はアメリカ政府で日本政府とのパイプ役として働いてもらっている日本人職員の一人だった。正確に素早く伝えるために、連絡役として現在働いてもらっている。
「総理、アメリカは現在未知の軍勢から攻撃を受けています。戦争状態です!」
「なに?」
未知の軍勢と戦争……?ただでさえ新規の情報が多く混乱している中でまた特大のネタが転がり込んできたな……。
彼の話では、太平洋側から大船の船団が接近し、大量の、軍隊とも言うべき集団が混乱に乗じて上陸したらしい。
交渉の余地もなく、見たことのない服装の集団は、近隣の住民を殺害し、陣地を築き上げてしまったと。
「未だに押し返せていないのか?」
アメリカは世界一の軍事大国だ。そんなアメリカと直接戦争をするなど……最新鋭の軍事力を持ってすれば一捻りでは無いのか……?
そうであってくれなければ我が国としても困るが……。
「はい……こちらの銃火器は申し分なく通用していますが……モンスターの対処にも追われており、戦力が分断してしまっている状況です。……それに、侵略者達は魔法を使ってくるのです」
魔法……。怪物の出現といい、ファンタジー小説でも読んでいる気分だ。
話によると、その侵略者達は巨大な火の玉を投げつけ、津波を起こし、雷を操るらしく、大きな損害を被っているようだ。
「銃火器による高速の弾丸や、弾道ミサイルなど、対処が難しい攻撃で損害を与えられてはいますが、見えない壁の様なものが各所に張り巡らされ、生半可な攻撃では防がれてしまいます!」
現代兵器はきちんと通用しているが、相手も黙ってはいない、ということか……陸海空それぞれからの攻撃により、少しずつ撃退しているものの、未だ苦戦中らしい。
ヘリコプターのような低速で飛行する航空機は簡単に撃ち落とされてしまうし、高速飛行が可能な戦闘機は、主要な基地の滑走路が巨大地震や地殻変動によってボロボロになり大半が使えなくなった。
そもそも地震災害の対策をしていない地域は壊滅的な被害を受けている。戦闘機そのものが使える状態に無い場合が多いだろう。
垂直離陸型のものや、空母からの離陸は可能なものの、数は少ない。
その上、現れたモンスターも厄介だ。海には巨大なモンスターが存在しており、空母も含めてだが海からの攻撃があまり上手くいっていないと。大型の戦艦も破壊されてしまうので、迂闊に沖に船を出すことが出来なくなってしまっているらしい。
何故か侵略者の船はそのモンスターに襲われず、味方の船、潜水艦がことごとく潰されると……。港付近からちまちまと攻撃をするしかないらしい。
そして……
「総理、日本もおそらく侵略を受けます。この侵略者達は太平洋の真ん中に出現した大陸から来ていることが確認できました。全方位に同じ様な船団を送っていると推測され、オーストラリアでは先ほど船を確認したとのことです」
衛生写真でその大陸の確認は取れている。よもや人が住んでいるとは思っていなかったが……未知の侵略者が全方位に戦争を仕掛けている、か……。どうやら凶暴な野心の持ち主らしい。
平時なら我が自衛隊は撃退の準備を万全に完了する訓練を受けてはいるが……。今はどこも混乱を極めている。果たしてどれだけ対処できるか……。まずは上陸前に交渉を持ちかけるのが得策か。
「分かった。情報ありがとう。我々も侵略者の対策を推し進めるとする」
未知の災害に未知の侵略者か…………。
「ふぅ…………」
なんてことだ。これが現実などと……未だに信じられない自分がいる。…………人類は生き残ることが出来るのだろうか。私に何が出来る?そもそもこの規模の想定外の事態に私がしなければならないことなど……。
……いかん、弱気になるな……私に休んでいる暇はないぞ。やるべきことをやる。国民の幸福を願わずして何が総理か。
「閣僚各位および関係者に通達。三十分後に緊急の国家安全保障会議を開く」
今の私には国民を救う責任と力がある。一人でも多くの国民を救うのだ。




