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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第二章 各々の方針が固まる二日目
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第八十二話 アメリア王国 〜加藤陽太編〜


〜加藤陽太の視点〜


――――アメリア王国



 「さてと、着いたわよ。 此処が明日、魔法を司る者達の祭典『ウィザードフェスティバル』が開催される『アメリア王国』よ……!」


 加藤陽太と黒魔女シーニは、翌日にウィザードフェスティバルが開催されると言われているアメリア王国に辿り着いていた。


 「へー、何か魔法使いっぽい人達が沢山歩いていますね〜。 所で、この世界では魔法使いとか魔女との違いってあるんですかね?」


 「いえ、特に無いわね。 基本的には『魔法杖』や『魔導書』等を使う事には変わり無いし、そもそも陽太の様に『素手』で魔法を繰り出せる人って、かなり希少なのよね……」


 「へぇ、そうなんですね……。 やっぱり僕って、この世界では結構特殊な部類に入るみたいですね……。 あ、それとシーニさんが持っているその『魔石』って、一体どんな効果が有るんですか?」


 「魔石の事が知りたいの? 一応教えておくと、魔石と言うのは、所持者の内なる魔力を高めてくれる上に、魔法杖に嵌めると『魔石の色に応じた多種多様の強力な魔法』を繰り出せる様になる便利なアイテムよ。 ほら、例えばコレ」


 すると、シーニは懐から『至極色の魔石』を取り出すと、そのまま陽太に手渡した。


 「これが、さっき貴方に向けて使った至極色の魔石よ。 この魔石の効果の御陰で、貴方の体内から大量の魔力を吸収する事が出来たって事よ」


 「なるほど……。 あ、そう言えばシーニさんって、魔石を使わなくても魔法を使う事が出来るんですか?」


 「そうねぇ……? 今迄の私だったら、魔石を使わないと弱々しい魔法しか出す事が出来なかったんだけど、今の私は陽太から凄まじい量の魔力を頂いたから、多分魔石を使わなくても強力な魔法が使えるかもね……? ふふっ♡」


 すると、シーニが僅かに微笑んだかと思うと、不意に手に持っている『何の魔石も嵌め込んでいない魔法杖』を陽太に向かって突き付けて、そのまま躊躇なく陽太に対して魔法【ブラックアウト】を繰り出し始めた……!


 「黙って喰らいなさい陽太っ! 【ブラックアウト】ッ!」


 「えっ、急に何事ですかシーニさんっ!?」


 すると、そのシーニから発せられた詠唱を聞いた陽太は、途端に視界が真っ暗になると何故か脳内がグルグルと振り回されている様な感覚に陥った……。


 「あれ……何だか、頭がクラクラすりゅう……? それに、何も……見えないぃ?」


 「ふふっ、どうやら魔石に頼らなくても、私が放った魔法の効果がしっかりと発動してくれたみたいね? はぁ〜、良かった♡」


 「にゃにも……、良くないぐるるるるりゅぅ〜……」


 すると、不意に呂律が回らなくなった陽太は、バタンッと倒れると、そのまま段々と意識を失って仕舞った……。


 「あらやだ。 やり過ぎちゃったみたいね……?」


 そして、それからかなりの時間が経って、(ヨウヤく陽太は目を覚ます……。


 パチ……パチッ。


 「あれ……? ここは?」


 陽太が目を覚ますと、何故か目の前には黒魔女シーニの『豊満な胸』があった……。


 「えっ、胸? なんで、シーニさんの胸を下から覗き込んでるんだ僕は……?」


 すると、思わず疑問の声を出した陽太に対して、直ぐにシーニが返答した。


 「それは『私の膝の上に貴方の頭を乗せてるからよ』。 さっき貴方が倒れた場所の近くに、丁度良く『ベンチ』が在ったものだから、此処で座りながら陽太が目を覚ますのを待っていたのよ。 『膝枕』をしながらね」


 「……それにしても、一体何で僕は気を失ったんだっけか……?」


 「あら、それも忘れちゃったの? 私が貴方に【ブラックアウト】を繰り出したから眠って仕舞ったのよ。 ブラックアウトと言うのは魔法の一種でね? 効果を教えておくと、任意の相手の意識を瞬時に失わせるって奴なのよね」


 「へぇ〜、そうなんですか……。 ふわぁ〜……」


 陽太は、目を擦りながら大きく欠伸アクビをした……。


 そして、ふと周りを見回してみると、何やら通りすがりの魔法使い達が此方を見ながら微笑ましそうに会話をしていた……。


 ヒソヒソ……ヒソヒソ……。


 通りすがりの魔法使い達がコショコショ話をしている事に気が付いた陽太は、少しだけ顔を赤らめながら黒魔女シーニに問い掛けた……。


 「もしかしてこれって、膝枕をしている僕達の事を見て『恋人同士』が、まっ昼間から人目を気にせずにイチャついてるって勘違いされているんじゃ……っ!?」


 すると、その陽太の考えに対して、黒魔女シーニが一蹴した。


 「そんな訳ないでしょ。 陽太は背が小さいから、仲睦まじそうな私達の姿を見て『姉弟』だと思っているんじゃないかしら? そもそも、他人から見られる目ってそんなものよ?」


 「あっ、そっかぁ……。 姉弟かぁ……」


 姉弟と言う単語を聞いた陽太は、ふと現世での自身の生い立ちについて思い耽ってみた……。


 この異世界に転生する前の陽太は一人っ子だったので、姉弟がいる友達の事がとても羨ましかった……。


 せめて、弟や妹でも欲しかったのだが、親が高齢出産と言う事も有り、遂に陽太の希望が叶う事は無かった……。


 そして自分が親孝行をする前に、不慮の事故によって死んで仕舞った事を悔いながらも、陽太は静かに黒魔女シーニの可憐な顔を眺め続ける……。


 すると、現世での出来事を断片的に思い出した陽太は、何だか不思議な気持ちになりながら、シーニに向かって『とある御願い』をした……。


 「シーニさん……。 もう少しだけ『膝枕』を続けてくれるかなぁ……? 何だか、シーニさんの近くに居ると落ち着くんだよね……。 何だろう? 姉が居るのってこんな気持ちなのかなって思っちゃって……」


 「ふふっ、そんなに私の膝の上が心地良くなったの? まぁ、これからも私に貴方の魔力を吸い取らせてくれるって約束してくれるなら別に良いけど?」


 「うん。 約束するよ。 だから御願いします……っ! 後ちょっとだけ膝枕をし続けて下さい……っ!」


 「ふ〜ん。 そこまで御願いされちゃったら流石に断る訳には行かないわね。 但し、日が落ちる頃までには起きてよね?」


 「うん。 分かったよ」


 「ふふっ、弟が居るのってこんな感じなのかしらね? それも、小学生ぐらいの小さな弟くん……」


 「えっ!? 僕は、背は低いですけど、これでも一応『高校生』なんですけどっ!?」


 「へぇ? 詰まり、陽太って16歳ぐらいなの? って事は、私は『15歳』だから貴方の方が年上なのね? なんか変な感じね……」


 「えっ!? シーニさんって、僕より年下だったの……ッ!?」


 衝撃的な事実を知った陽太は、思わず驚きの声を上げた……。


 「ふふっ♡ まぁ、一歳程度の違いしか無いのだから特に気にしなくても良いわよ? それよりも、このまま眠りたければ眠っても良いわよ陽太?」


 「えっ、良いんですか? それなら、御言葉に甘えちゃおうかなぁ……」


 「ふふっ、ゆっくりと休むのよ陽太……?」


 「うん……。 すー……すー……」


 かくして、黒魔女シーニは、陽太の頭をゆっくりと撫でながら、彼を深い眠りに就かせたのであった……。



【現在位置】

【アメリア王国】


【現在の日時】

【4月8日 13時52分 春】



【加藤陽太】

【状態】:睡眠

【装備】:スクールブレザー

【道具】:無し

【スキル】:大魔道士

【思考】

1:心地良いなぁ……。

2:…………。

3:Zzz……。

【基本方針】:少しだけ眠る。



【黒魔女シーニ】

【状態】:穏やかな気持ち

【装備】:黒のローブ 黒のトンガリ帽子 蒼の魔法杖

【道具】:深紅の魔石 至極色の魔石 漆黒の魔石

【スキル】:魔石生成

【思考】

1:ふふっ、小動物の様に可愛らしい寝顔ね。

2:ずっと歩き続けてたから疲れちゃってたのかしら?

3:ゆっくりと、私の膝の上で眠ると良いわよ。

【基本方針】:陽太を撫でる。陽太が起きるまで周囲を警戒する。


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