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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第二章 各々の方針が固まる二日目
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第七十七話 機械人形アロエア 〜賞金首ザマ編〜


〜賞金首ザマの視点〜


――――終焉の大地ゴイサ



 実家に帰る為に、始まりの大地ストファーへと向かっている最中の『賞金首ザマ』と、そのザマの事を護衛している『落第騎士テイル』の二人は、周囲を警戒しつつ順調に帰路を辿ってると……。


 「んん? おい、見てみろよテイル。 彼処に何か居ねぇか……?」


 ザマは、草陰の方に指を差しながら、テイルに向かってそう呟く……。


 「え、本当ですかザマ様……っ!? 一体何処に何が居るって言うんですか……っ!?」


 「分からねぇのか? ほら、アレだよアレッ!」


 ザマは、苛ついた口調になりながら、茂みの物陰にひっそりと佇んでいる『少女の姿をしているアンティーク人形』に対して何度も指を差した。


 「……えっ? あれは、ただの人形では?」


 「いや、アレは『ただの人形』じゃねぇぞ、テイル。 俺には分かるんだ」


 そう言いながらザマは、ひっそりと佇んでいる人形に近付いて、そのまま優しくそっと拾い上げると、ギロリと目付きを鋭くしながら人形の瞳を見詰めると、とある事を確信した……!


 「やっぱりだ……。 おい、テイル。 この人形は『生きているぞ』……!」


 「い、生きている……? ハッ! もしかして、ザマ様……。 このアンティーク人形って、所謂『人形族』って奴なんですか……っ!?」


 テイルから発せられた、『人形族』と言う単語に対して、ザマは頷きながら人形を抱きかかえた。


 「あぁ、そうとしか思えない。 見ろよこの、透き通った瞳を……。 吸い込まれそうな程に綺麗な瞳をしてるだろ?」


 「た、確かにっ! とても、作り物とは思えない程に綺麗ですね……っ! まるで、『本物の瞳』の様だ……っ!」


 「と言う訳だ。 ほら、お嬢さん。 『人形の振り』をしていないで、そろそろ俺達に自己紹介してくれよ?」


 ザマは、何もかも御見通しかの様な口調で、アンティーク人形に向かって自己紹介を促し始めた。


 すると、そのザマの声に反応したのか、突如としてそのアンティーク人形がガタガタと震え出す……!


 「ヒッ! う、動いた……っ!?」


 その光景を見たテイルは、怯えた様子で身構えたものの、その一方でザマは、動き始めている人形の瞳の奥を、怯む様子もなく無言で見詰め続けていた……。


 すると、その瞬間だった。

 遂に、その人形がザマに向かって喋り始めた……!


 「へぇ〜。 どうやら、アンタ達は『悪い人間』じゃ無いみたいね?」


 綺麗な顔立ちをしているアンティーク人形の正体は、ザマの推察通りに、この世界に存在している種族の中でも、特に希少視されていると言われている『人形族』の少女だった……。


 「うわぁっ!? ザマ様、この人形が喋り出しましたよ……っ! 本当に生きてたのかっ!?」


 と、驚愕しているテイルとは対象的に、ザマは冷静な態度を取りながら人形族の彼女に対して自己紹介を行った。


 「俺の名はザマ。 んで、こっちの奴がテイルだ。 で、君の名前は?」


 「私は『アロエア』。 機械人形アロエアよ」


 すると、その事を聞いたザマは、少しだけ驚く……!


 「機械人形だってッ!? これまた、珍しいぜッ! 一般的な普通の人形族って奴は、産まれた時から『意思』を持って行動するんだが、機械人形はそれとは事情が違うんだったよな……」


 「あら、良く御存知ね? 貴方は、勉強熱心なのかしらね〜?」


 「まぁな。 それよりも、機械人形とは普通の人形族の奴等とは違って、何処にでも居る様な正に『なんの意思も持ってない只の人形』に対して『魂を吹き込む』と言う、特殊な方法を使う事によって意思が芽生え始めるんだ……。 だから、機械人形と言うのは所謂、誰かの手によって『作られた命』なんだよな……!」


 「むぅ、悪かったわねっ! 『作られた命』でっ! でも、この私に命を吹き込んでくれた『御主人様』にはとっても感謝しているのよ。 だって、その人が私に命を与えてくれなかったら、私はこんなにも素晴らしい世界の風景を見る事が出来なかったんだものっ!」


 そう言い放った機械人形アロエアの瞳は、何処か誇らしげに光り輝いていた……。


 「それは良かったなアロエア。 ほら、テイルも身構えてないで、こっちに来いよっ!」


 「は、はいッ!」


 テイルは、顔を引き攣りながらも少しづつ機械人形の少女の下へと近付くと、とある質問を投げ掛けた。


 「そ、それで……。 えっと、貴女に命を吹き込んだって言うその『御主人様』って、今は一体何処ら辺に居るんですかね? そもそも、何で貴女は、こんな所に居たんですか?」


 「なに、テイルだっけ? アンタ、突然レディに対してグイグイ来すぎじゃない? ほんっと、男子ってデリカシーが無いんだから……」


 機械人形アロエアは、やれやれと呆れ果てた様な表情とポーズをしながら、テイルの事を一蹴した。


 「ザマ様。 何かこの人形、癪に触りますね……。 ぶっ壊しちゃいますか?」


 「いやいや、落ち着けってテイルッ! 先ずは、彼女の目的を聞こうじゃないかっ! えっと、アロエア? 君は、一体此処で何をしようとしてたんだ?」


 慌てた様子でザマが機械人形アロエアに向かって、そう問い掛けると、アロエアは顔を俯きながら言葉を発した……。


 「……私は、ただ単に御主人様の事を捜していただけよ……。 でも、今まさに貴方達が、私の近くに突然やって来たもんだから慌てて普通の人形の振りをしてたって訳なのよ……」


 「そうだったのか……。 それで、その捜している最中の御主人様って言うのが、君に命を吹き込んだ奴と同一人物って言う認識で合ってるよな?」


 「そうよ。 私に命を吹き込んでくれた御主人様は、つい数日前に私を置いて何処かへと『失踪』しちゃったの……。 だから、こうして残された私は失踪した御主人様の手掛かりを追い求めて必死に捜索している真っ最中って話なのよ……」


 「なるほどね……。 そんな事情があったんだな……」


 アロエアから詳しい事情を聞いたザマは、途端に彼女に対して協力をして上げようと思い立った。


 もしかしたら、自分の家が在る始まりの大地ストファーまで辿り着く間に、偶然にもアロエアの御主人様と出逢う事が有るかも知れない。


 それに、その道中で聞き込みをしていれば、何れはその御主人様の居場所を突き止める事が出来る『クリティカル』な情報も得られるかも知れないと思ったザマは、直ぐに彼女の小さな手を強く掴みながら、熱い口調で問い掛けた。


 「よしっ! もし良ければ、俺達も協力させてくれないか? 俺達は、これから『始まりの大地ストファー』まで行くんだが、其処に辿り着くのは、かなりの長旅になると思うんだ。 だから、その俺達の旅に君も付いて来てくれないか?」


 「……えっ!? それってもしかして、『私に協力するから黙って俺の後を付いて来い』って事っ!? キャ〜ッ、男らしくて素敵ぃ〜っ! 嬉しいっ! ありがとうねっ!」


 「流石に其処まで言ってないが……。 まぁ、良いか。 テイルも、アロエアが同行しても良いよな?」


 すると、テイルが困惑しながら、ザマに向かって返答した。


 「い、良いんですかザマ様? 家に帰るまでの面倒事が無駄に増えるだけだと思うんですが……」


 「まぁ、この位は別に平気だろ。 それに、機械人形と一緒に行動を共にする事なんか中々出来無い『レアな体験』なんだぞ? これも何かの縁だと思おうぜ?」


 「そうよっ! 良い事を言うわねザマっ! 私と貴方達が此処で出会ったのは『運命』なのよっ! まさに、『デスティニー』って事なのよ!  言い換えれば、『天からの巡り合わせ』なのよっ!」


 「いや、しつこい……っ! もう、分かりましたよ……。 僕は、ザマ様の意見に従うだけですからね……」


 すると、そのテイルの言葉を聞いたアロエアは、嬉しそうにしながら、フワフワと宙に浮き始めると、ザマとテイルの事を手招きする。


 「ふふっ、それじゃ、ザマとテイルッ! 今直ぐに、私の後に付いて来なさ〜いっ! 私が、このパーティの『リーダー』なんだからねっ!」


 「ははっ、アロエアって案外がめつい性格してんだな〜っ! 俺は好きだぜ、気が強い女ってのもっ!」


 「ちょっと、ザマァ〜っ!? アンタも、デリカシーってもんが欠如してるのかしら〜っ!?」


 「おいおい、折角褒めてやったってのに、そりゃあねぇだろぉ〜?」


 「ふふっ、冗談よっ♪ 実を言うと、私もアンタの事を気に入ってるからっ♪」


 「おぉ、それは嬉しいねぇ〜? んで、テイルの事はどうだ?」


 すると、口元を緩めながらアロエアはテイルに向かって言い放った……。


 「ぷぷっ! テイルは、ザマとは違って何か『メンタル』とかが弱そ〜っ! 腕っぷしは有るんだろうけど、内面に難ありって感じぃ〜?」


 「あ? 斬り殺してやりましょうか?」


 煽られたテイルは、自身の腰元に着けている剣に手を伸ばす……。


 「ほらっ! そう言う所だって! 煽られたら直ぐに反撃に出ようとしてるっ! ザマは煽られても、多分笑って許してくれるのにっ!」


 「ははっ、俺は単に、機械人形ってのが物珍しいから、手を出せない『小心者』ってだけだぜ? んで、お前等は良い加減、仲良く接しろよな〜?」


 「分かったわっ♪ ふふっ、て事でヨロシクねっ! ザマと、テイルっ♪ 此処の、終焉の大地ゴイサから、始まりの大地ストファー迄の間に、絶対に御主人様の居場所を突き止めてみせるわよっ!」


 と言う訳で、ザマとテイルは偶然にも新たに仲間に加わった『機械人形アロエア』の御主人様を捜索するのを手伝う事になったのだった。



【現在位置】

【終焉の大地ゴイサ】


【現在の日時】

【4月8日 9時57分 春】



【賞金首ザマ】

【状態】:健康

【装備】:シマシマの服

【道具】:自分の手配書

【スキル】:無し

【思考】

1:着々と仲間が増えていくなぁ〜っ!

2:仲間は多い方が良いからな!

3:取り敢えず争い事は、お前等に任せたからな!

【基本方針】:家に帰る。アロエアの御主人様を捜す。戦闘はテイルとアロエアに任せる。



【落第騎士テイル】

【状態】:ムカムカ

【装備】:ボロボロの鎧 雷鳴の剣

【道具】:無し

【スキル】:稲妻斬り

【思考】

1:この機械人形……。

2:気に食わないですね……。

3:叩き壊してやりたい気分ですよ……。

【基本方針】:ザマを護衛する。アロエアが気に食わない。夢幻旅団に入団したい。



【機械人形アロエア】

【状態】:元気

【装備】:赤と黒のゴスロリ服

【道具】:無し

【スキル】強制自己再生【効果】:どんなに酷いダメージを負ったとしても、時間が経てば経つ程に、徐々に損傷したダメージ箇所が再生する様になる。

【思考】

1:せいぜい、私の為に頑張るのよっ! ザマ、テイル!

2:勿論、私も精一杯頑張るからっ!

3:御主人様……。 貴方の事を必ず見付け出しますっ!

【基本方針】:御主人様である『人形遣いデルフィネ』を見付け出す。仲間の『殺人人形ヴァールト』の事も見付け出す。


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