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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第二章 各々の方針が固まる二日目
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第五十六話 冒険に出掛ける歩夢達 〜餅木歩夢編〜


〜餅木歩夢の視点〜


――――バルフの家、玄関口――――【現在時刻、8時3分】



 「んじゃあ、行ってくるぜ……母ちゃん」


 支度を終えたバルフは、歩夢と雅隆と共に”未知なる冒険”にへと出掛ける前に、一旦母親に向かって軽く会釈しながら玄関の扉の取手を握る―――。


 「ふふふ、バルフ。 しっかりと歩夢ちゃんと雅隆くんの手助けをして上げるのよぉ〜?」


 「あぁ、勿論だ。 恐らく、この中だと俺が一番”戦闘”に慣れてっから、もし歩夢と雅隆に攻撃しようとする輩が現れた場合には、俺が命を掛けてでも護ってやるさ……ッ」


 〈うわぁ〜っ! 流石バルフさんっ! とっても頼りになるなぁ〜〉


 バルフの宣言を聞いた歩夢と雅隆は、目を爛々と輝かせながらバルフの後ろを付いて行く。


 すると、バルフは一言だけ歩夢と雅隆に対して催促した―――。


 「ほら、歩夢と雅隆も俺の母ちゃんに対して、何か”礼の一言”でも掛けてやったらどうだ?」


 そうバルフに促された歩夢と雅隆は、ハッとした様子で慌てて振り返りながら『ドガイゴス』に向かって御辞儀をした。


 「あ、ごめんねっ! えっと、ドガイゴスさんっ! 僕達の為に美味しい料理を作ってくれて本当に有難うねっ! 特に昨日の《ドラゴン肉シチュー》は、本っ当に美味しかったよーっ!」


 と、歩夢がドガイゴスに向かって礼を言うと、続けて雅隆も感謝の言葉を贈る。


 「ドガイゴス殿。 拙者からも礼を言うで御座るよ。 見ず知らずの拙者達に優しく接して頂き、誠に感謝致しまするぞ……!!」


 「ふふふ、良いのよ〜っ♡ 私も貴方達みたいな可愛くて素直な子と一緒に居られて幸せだったわぁ〜♡ ふふふ、これからもバルフの事を、よろしくねっ♡」


 ドガイゴスは、可愛らしくウインクを決めると、精一杯の笑顔を向けながら歩夢と雅隆の事を、まるで我が子との別れの様に涙ぐみながら見詰める……。


 「うん! それじゃあ、ドガイゴスさんも元気でねー! バイバーイ!」


 「ドガイゴス殿。 拙者達が無事に旅から帰って来る日まで暫くの御別れですな……。 拙者達が無事に帰って来た暁には、またドラゴン肉シチューを振る舞って頂きたいで御座るよ! それでは、サラバ!」


 「……じゃあな。 母ちゃん」


 バルフはボソッと一言だけ告げると、ゆっくりとした足取りで歩夢と雅隆と共に、新たなる一歩を踏み出した―――。


 「ふふっ、気を付けて行って来るのよ……。 みんな……っ」


 ドガイゴスは、小さくハンカチを振りながらバルフと歩夢と雅隆の姿が見えなくなるまで、涙目になりながら健気に見送ったのだった……。



――――犬鬼族の村、出入り口付近――――【現在時刻、8時7分】



 こうして、村の出入り口に近付いた所で、バルフが振り向き様にポツリと呟いた……。


 「あばよ……。 必ず、生きて此処に帰って来るからな……。 だから、安心して待ってるんだぜ、母ちゃん……」


 〈バルフさん……。 本当にお母さんの事が大好きなんだね……っ!〉


 歩夢がニコニコと微笑ましく思っていると、とある一人の村人から陽気な口調で声を掛けられた。


 「お、バルフ。 また旅に出るんか? 気を付けて行ってな〜っ!」


 すると、その村人の顔を見た途端にバルフが嬉しそうな顔を浮かべながら、その村人の男に近寄っていく。


 「おぉ、お前は『ディートハルト』じゃねぇかよっ! 何だよ、とっくにこの村に帰って来てたのかよ〜っ! 本当は、お前とは積もる話も有るんだが、如何せん俺はこれから新たに仲間となった歩夢と雅隆と共に、"新たなる冒険の旅"に出掛ける事になったから、お前との話しはまた今度だなっ! んじゃな!」


 「ヘヘ、良い仲間達を持ったんだなバルフ! 達者でな〜っ!」


 歩夢と雅隆の顔を見詰めながら、ディートハルトは親指を突き立てると、そのまま爽やかに微笑んだ。


 「おうっ! やっぱ、お前は昔から変わらず”良い奴”だなっ! 村を出る前に久し振りに顔を合わせれて良かったぜ! んじゃな〜っ!」


 犬鬼族の《No.3》の実力を誇る幼馴染みのディートハルトから偶然にも見送られる事となったバルフは、俄然やる気がミナギって来る。


 「ヘヘ、まさかディートハルトとも出会えるとは、幸先が良いぜッ!」


 〈それにしても、《犬鬼族》なだけあって、ディートハルトさんって、モッフモフの白毛で、まるで”綿飴”みたいだなぁ〜〉


 ディートハルトの、まるで”大型のポメラニアン”みたいな風貌に対して、歩夢は思い掛けず少しだけ癒やされた―――。


 こうして、幸先良いスタートを切った歩夢達は、上機嫌で犬鬼族の村を出て行くのだった―――。



――――ポラ平原、中央部――――【現在時刻、8時49分】



 犬鬼族の村を出てから暫く歩いて、”ポラ平原中央部”に辿り着いた所で、バルフが”とある提案”を歩夢と雅隆に向かって伝えた。


 「うしっ! んじゃあ、一先ずこれから俺達は、此処から少しだけ遠くに在る『イラル王国』を目指そうじゃねぇかっ!」


 「イラル王国……ですか?」


 歩夢はキョトンと首を捻ると、畳み掛ける様にバルフがイラル王国についての詳細な説明を行った―――。


 「あぁ、そうだ。 何故、其処に俺が行きたいかっつーと、彼処には良い感じの《冒険者ギルド》が在ってなぁ! おまけに、王国の騎士団と手合わせも出来るからよぉ! だから、この世界で無事に過ごす為にも身体を鍛えたりギルドで”クエスト”を受注して金を稼いで、その稼いだ金で強い武器や防具とかを買おうぜって事だッ!」


 すると、そのバルフからの提案を聞いた途端に歩夢と雅隆が、ハシャイだ様子で手をブンブンと上下に振りながらコクコクと高速で頷いた。


 「わぁ〜っ! いいねぇ〜っ! 僕も、そのバルフさんの意見に大賛成だよ〜っ! ねっ、雅隆君もそれで良いよねっ?」


 「えぇ。 勿論ですともっ! そもそも、この世界に関して右も左も分からぬままの拙者達よりも、この世界の事を良く知ってるであろうバルフ殿に、これからの方針を決めて頂くのが、賢明な判断で御座るからなぁ〜っ!」


 こうして、二人からイラル王国へ向かう事の同意を得たバルフは、意気揚々と鼻歌を交じえながら大地を踏み締めると、その足でイラル王国迄の道程ミチノリを歩夢達に案内し始めた。


 「へへっ、イラル王国は此方(コッチ)だぜぇ〜っ?」


 「ふふっ、なんか上機嫌だねバルフさんっ♪」


 「いやいや、お前らも上機嫌の癖に良く言うぜぇ〜? それに、折角の旅なんだぜ? 精一杯楽しもうじゃねぇかぁ〜っ!」


 「ふふふ。 うん、確かにそうだね! よしっ、イラル王国へと出発だぁ〜っ! って、あれれ?」


 すると歩夢は、おでこに手を当てながら目を細めると、そのまま遠くの方に居る”不審な人物”に目を向けた……。


 「おや、急にどうしたのですかなぁ? 歩夢殿?」


 「あのね? みんな彼処を見てみて? 何でか分かんないけど"細身のピエロ"さんが居るんだよーっ!?」


 「細身のピエロ……ですと? どれどれ〜?」


 「んあ? こんな所に、”サーカス”なんかが在る筈がねぇんだけどな……? なんで、ピエロが居やがるんだぁ……?」


 「と言うか、そもそもこの世界にも”ピエロ”が居るものなんですなぁ〜」


 雅隆とバルフは、歩夢が指差した方向を見てみると、其処には確かに”道化師の格好”をした謎の不審な人物が立って居た……。


 「……むぅ、確かにどっからどう見てもピエロで御座るなぁ? しかも、なんか不気味な雰囲気で御座るな……」


 「んで、どうするんだよ? 奴に話し掛けてみるか?」


 「うーん。 試しに話し掛けてみよっか!」


 「マジかよ……。 まぁ、確かに俺も気になるしなぁ……」


 歩夢がそう決めると、バルフ達は恐る恐るピエロの方へと向かってゆく―――。

 すると次の瞬間には、その不審なピエロの男の方が近付いて来る歩夢達の姿に気が付くや否や、おどけた様な口調で歩夢達に語り掛けた。


 「おっよよ〜? 何ですかな〜っ? ボクちんに、何の御用ですかな〜っ?」


 「あ、えっと……! す、すみませんっ! 僕達は、ただ単にピエロさんの事が気になっただけですよっ! それでピエロさんは、こんな所で一体何をしていたんですか……?」


 すると、歩夢からの問い掛けに対してピエロの男は、軽く左右に首を傾げながら少しだけ頭を悩ませると、やがて歩夢達に向かって”とある事情”を打ち明けてくれた―――。


 「ボクちんが此処で何をしてるのかってぇ〜? うーん……。 そうだねぇ〜? どうやら、君達は優しそうだし、特別に打ち明けても良いかな〜? ねぇ、君達は《夢幻旅団》って知ってる?」


 「夢幻旅団……ですか? えっと、昨日バルフさんから聞いた《英傑旅団》と言うのは知ってるけど……?」


 すると、その歩夢の返答に対して、ピエロの男が自慢気に”自身の正体”を明かした―――。


 「ふっふふ! 何を隠そう、ボクちんってね? その夢幻旅団に所属している《No.21の道化師ヨイシー》本人なんだけどね? それで、困った事に夢幻旅団の団員ってみんな”手配書”が作られててね? だからボクちんは、一定の場所に留まり続ける事が出来なくて、仕方無く”放浪の旅”をしている理由ワケなんだよねぇ〜……」


 と、物悲しそうにヨイシーが肩を落としながら心情を吐露すると、その話を聞いたバルフが、興味深そうにヨイシーに話し掛けた。


 「ほう、夢幻旅団ねぇ……? 夢幻旅団ってのは、その昔に”俺の村”と”獣人族の奴等の村”を襲った厄介な連中だったよなぁ〜? まぁ、でもお前は《No.21》だから新入り君で、その事件には関わっていないのか……」


 「うん。 それに関してはボクちんは何もやってないよぉ〜。 ”別件”で指名手配されてるよぉ〜?」


 「ヘヘっ。 んで、ここからが”本題”なんだがよ……? もし、当てが無いってんなら俺達と一緒に”イラル王国”に来てくんねぇか?」


 と、バルフからの提案を聞いた途端にヨイシーは、びっくり仰天する。


 「どえ〜っ!?  ま、まさかボクちんの事をイラル王国に出頭させて、金を儲けるつもりじゃ〜っ!?」


 すると、そのヨイシーの反応に対して、バルフが慌てた様子で弁明する。


 「いやいや、早とちりすんなって! どうやら、お前は夢幻旅団の団員にしちゃあ意外と”良い奴っぽい”し、おまけに戦ったら俺達よりも強いんだろ?」


 「まぁ、確かにボクちんは”強い”けどさぁ〜? けど、イラル王国に行く事の”メリット”ってボクちんには有るのかなぁ〜?」


 すると、指名手配犯のヨイシーがイラル王国に赴く事のメリットを、バルフは丁寧な口調で説明した―――。


 「勿論メリットなら有るぜ? 先ずは、イラル王国に辿り着くまでの間だけで良いから俺達の”護衛”をして欲しいんだよ?」


 「んん〜? 護衛なら容易いけど、それがボクチンの”得”になるのぉ〜?」


 「へへへ。 んで、ここからがアンタの”メリットとなる話”なんだが、要するに俺達を護衛してくれたと言う”真実の善行”をイラル王国に居る沢山の人達に俺達が精一杯広めてやるんだ。 そうすれば少なくとも、”イラル王国内”だけはアンタはビクビクしないで何処でも自由に歩く事が出来るだろ?」


 すると、その提案の言葉を聞いたヨイシーは、目から大量の涙をドバドバと滝の様に垂れ流しながら、感謝の言葉をバルフに贈った。


 「おぉ……っ!? うぅ、犬鬼族の旦那ぁ……アンタ、とっても良い奴だな〜っ! まさか、ボクちんが他人から気を遣われるなんてイベントが起きるなんて夢にも思わなかったよ〜っ! オーケー、了解したよぉ〜っ! 君達の護衛の事ならボクちんに任せてね〜っ!」


 〈凄いやバルフさん……! 指名手配犯の人すらも、この様に手懐けちゃうだなんて……!〉


 歩夢は、バルフに対して感銘を受けながらヨイシーの下に笑顔で近寄った。


 「おうっ、頼りにしてるぜぇヨイシーっ! おっと、名を名乗るのを忘れてたな……。 俺の名はバルフだ。 宜しくなヨイシー!」


 そして、歩夢と雅隆も続け様にヨイシーに向かって自己紹介を始める。


 「僕は餅木歩夢だよ〜。 よろしくね、ヨイシーさんっ!」


 「拙者は、大宮雅隆で御座るッ! イラル王国迄の間、どうぞ宜しく頼むで御座るよッ!」


 すると歩夢達の名を聞き終えたヨイシーは、ニンマリと不気味な笑みを浮かべながら、手招きをする。


 「ハハッ、じゃあイラル王国まで、しっかりと君達の事を護衛して上げるから、このボクちんの”善行”の事はイラル王国の中だけじゃなくて、他の場所でもしっかりと世に広めておいてね〜っ!」


 「ふふっ、一時的とは言え、頼もしい仲間が加わっちゃったねっ☆」


 「ヘヘッ、だな! 歩夢!」


 かくして、浮かれ気味に歩夢達はイラル王国へと、夢幻旅団員のヨイシーと共に向かってゆくのだった―――。



【現在位置】

【始まりの大地ストファー】


【現在の日時】

【4月8日 9時11分 春】



【餅木歩夢】

【状態】:ウキウキ

【装備】:フリフリのワンピース 女性用の下着 鞄

【道具】:鞄の中に様々なコスプレ服

【スキル】:慈愛の涙

【思考】

1:これから僕達の冒険が始まるぞ〜っ☆

2:なんだか楽しみだな〜っ♪

3︰イラル王国へ出発だ〜っ♪

【基本方針】:イラル王国へと向かう。とにかく異世界を楽しむ。



【大宮雅隆】

【状態】:ウキウキ

【装備】:眼鏡 忍と書かれた白い服 リュック 自動翻訳装置

【道具】:リュックの中に様々なコスプレ服

【スキル】:永遠の瞬間移動

【思考】

1:頼もしい助っ人が入りましたなぁ〜っ!

2:夢幻旅団とは、中々に格好良いネーミングセンス!

3:その旅団に所属しているヨイシー殿も、かなりの手練なのであろうなぁ〜っ!

【基本方針】:イラル王国へと向かう。お金を稼ぐ。



【バルフ】

【状態】:上機嫌

【装備】:威嚇用の爪と牙 袋 自動翻訳装置

【道具】:母の写真 催眠玉5個 回復瓶10個

【スキル】:勇気の咆哮

【思考】

1:よし、気を引き締めて行くぜ〜ッ!

2:にしても、何で俺はヨイシーの事を護衛にしようと思ったんだっけ……?

3:まぁ、どうでも良いか!

【基本方針】:イラル王国へと向かう。歩夢と雅隆を護る。



【道化師ヨイシー】

【状態】:ニヤリ

【装備】:黄色と水色の道化師の服 道化師の袋

【道具】:ナイフ10本 赤いガラス玉、青いガラス玉、緑のガラス玉、各10個

【スキル】理想の道化師【効果】:任意の相手の思考を自由自在に操って意のままに利用する事が出来る。相手は利用されている事など一切気が付かない。

【思考】

1:ふふふ、精一杯ボクちんの”善行”を広めていって下さいねぇ〜……?

2:これで、少しばかりはボクちんの世間の風当たりも改善していく事でしょうね〜……?

3:とは言え、まだまだ利用させて貰いますよ? バルフさん、歩夢さん、雅隆さ〜ん……?

【基本方針】:イラル王国へと向かう。世界の各地に貼ってある自分の指名手配書を無くしたい。歩夢達の事を自分が意のままに操れる手下に迎えたい。



【現在位置】

【犬鬼族の村】



【ドガイゴス】

【状態】:寂しい

【装備】:エプロン 自動翻訳装置 双翼の腕章

【道具】:涙に塗れたハンカチ

【スキル】:母の愛

【思考】

1:寂しくなるわねぇ……。

2:どうか無事に……元気でね。

3:バルフ……歩夢ちゃん……雅隆くん……。

【基本方針】:バルフ達の帰りを待つ。



【ディートハルト】

【状態】:健康

【装備】:鉄の剣 鉄の弓 旅人の袋 自動翻訳装置

【道具】:閃光玉5個 痺れの矢30本 鉄の矢50本

【スキル】達人の構え【効果】:武器を構えた時に、自身の内に潜めている感覚が最大限にまで研ぎ澄まされ、鮮やかに攻撃や防御や回避等の行動を連続して起こす事が出来る。

【思考】

1:昨日、英傑旅団の人達から貰った、この自動翻訳装置って奴は、滅茶苦茶便利だなぁ〜。

2:これでやっと人間達とも、まともに話せるなぁ〜。

3:この装置の存在は、もっと犬鬼族に普及すべきだなぁ〜。

【基本方針】:自動翻訳装置の存在を犬鬼族の皆に普及する。バルフに感化されたので、もう一回旅に出る。


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