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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第一章 各々の思惑が始まる一日目
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第二十一話 死神と純粋な死神 〜田川晋也編〜


〜田川晋也の視点〜


――――終焉の大地ゴイサ、空疎大草原――――【現在時刻、17時10分】



 嘗て、天界の神だったと言う『クリス』と名乗る”紳士服の男”と運悪く邂逅した晋也は、そのクリスの口から"この世界を滅ぼす”と言う恐ろしい計画をカミングアウトされた事に依って、ダラダラと冷や汗を掻きながら、そのクリスの顔色を伺って慎重に聞き返した……。


 「な、何だって……? こ、この世界を滅ぼす……だって!?」


 〈お、俺の”聞き間違い”じゃねぇよな……?〉


 晋也は恐る恐るクリスの返答を待っていると、クリスは微笑ましげな口調で、そっと口を開く。


 「フフフ……。 そんなに畏まらないで頂きたいですねぇ? まぁまぁ、安心して下さいよ。 もし、貴方様がこのワタクシと協力して下さるのであれば、此方も貴方様には”一切の危害”を加えない事を”御約束”致しますよ?」


 〈何だと……? あ、怪しいなぁ〜……。 だけど、今の俺にはコイツと”手を組む”以外の選択肢も残されてねぇしなぁ……〉


 晋也は、頭を抱えながら思考を巡らした。


 すると、その悩んでいる晋也の姿を見て、クリスは顎に手を当てながら問い掛ける。


 「おやおや、そんなに悩ましい話でしたかねぇ? ふむふむ所で、どうやら貴方様には”尋ね人”がいる様子ですが?」


 「えっ!? な、何故それを……!?」


 尋ね人と言う言葉を聞いた晋也は、虚を衝かれたかの様に視線を上げると、そのまま訝しげにクリスの顔を見詰めた……。


 「フフフ、どうやら”図星”の様ですねぇ? 良いですか? このワタクシの前では”隠し事”なんぞは何の意味も成さない事を心得て下さいねぇ? フフフ、それにワタクシと協力して下さるなら、その尋ね人を見付ける事の御手伝いも”特別に”して差し上げますよ?」


 「なにっ!? こ、『琴子』の捜索を手伝ってくれるってのかッ!?」


 藁にもすがる思いの晋也は、思わずクリスに対して琴子の”名前”を喋ってしまった。


 「ふむ? なるほど、どうやら晋也さんの探している人の名は”琴子さん”と言うのですね? 分かりました。 では、この世界を滅ぼす時に、ついうっかり琴子さんを殺して仕舞わぬ様に、ワタクシも細心の注意を払いましょうとも……! フフフ……!」


 すると、クリスはニッコリと”不快な笑み”を浮かべながら、おどけた様に話す。


 そのクリスの姿を見た晋也は、余りの陽気さに対して不気味に思いながらも、生唾を呑み込みながらクリスに向かって静かに聞き返した。


 「そ、それで、本当なんだよな……? もし、この世界に琴子が居た場合には、本当に琴子の事を助けてくれるんだな……?」


 「えぇ……勿論ですとも。 ですが、然しながら晋也さん? 貴方がワタクシを”裏切らなければ”の話ですけどねぇ……。 フフフ……!」


 〈こ、怖ぇ……っ! 口元は笑ってるのに、目が死んでる様に曇ってるから、表情が全く読めねぇ……ッ!〉


 クリスが何を考えているのかを理解出来ない様子の晋也は、半ば諦めたかの様に言葉を漏らす。


 「わ、分かりましたよ……。 えっと……でも、そもそも俺は一体何をすれば良いんですかね……? 自分で言うのは何だけど、あんまり役に立つ事は出来ないと思うんですが……」


 「まぁまぁ、そう悲観なさらずに……。 では、一先ずこのワタクシの”最終目標”の事を説明しておきましょうかねぇ?」


 「なに? さ、最終……目標だって……?」


 すると、クリスはコホンっと咳払いをすると、ゆっくりと自分の”真の目的”を晋也に向けて語り出した。


 「要するに、この世界の発展した”国々”や、この世界で長閑に暮らしている何の罪も無い”生物”の事を一つ一つ滅ぼしてゆく事によって、天界からその様な”惨状”を目撃している筈の神々が黙っていられないとワタクシは”仮定”しているのですよ……」


 「な、なるほど……? そ、それで……?」


 「そして、その後ワタクシの”破壊活動”を止めに来た憎き天界の神々と”交渉”……いえ、”返り討ち”にする事に依って、ワタクシは晴れて誰も居なくなった天界にて”男神”として返り咲くのですよ……! フフフハハハハッッッ!!!」


 「て、天界の神々を返り討ちにして、男神に返り咲くだって……!?」


 「えぇ、そうです。 天界を支配している神々を倒し、ワタクシは何食わぬ顔で天界へと戻り、そしてそのまま天界を乗っ取って、このワタクシが望む”新たなる世界”をこの手で創り上げるのですよ……! フフフッ!」


 「そ、そうか……。 まぁ、そう言う事なら、琴子と俺さえ助けてくれるのなら、喜んで協力するけどさ……」


 クリスの真の目的を知った晋也は、ホッと胸を撫で下ろした。


 「フフフ……。 貴方様の様な”禍々しいオーラ”を発している人が協力してくれるなら百人力ですねぇ……。 フフフ……!」


 〈ひゃ、百人力? いやぁ〜、そう言われると何だか照れるなぁ〜……〉


 すると、ふと晋也はクリスの手元に視線を落とすと、そのクリスが手にしている”水晶玉”の事がヤケに気になり出し始めた……。


 「あれ、因みにそのクリスさんが手に持ってる水晶玉は、一体何なんですか……?」


 「フフフ……。 この水晶玉の事が気になるのですか? 実はコレは、この水晶玉越しに相手の姿を見ると、その相手の身体から放たれている”オーラの色”が分かると言う優れものでしてねぇ……?」


 「へ、へぇ……。 それは凄いな……。 要するに、遠目からその人物の内面を確認する事が出来る”便利品”って事なのか……?」


 「フフフ! 御名答ですよ晋也さん! 例えばですが、その者から”白に近いオーラ”が漂って見えた場合には、その者が”正義感に溢れている人物”だと言う事が解るのですよ……」


 「そ、そうなのか? へぇ〜、そんじゃ、俺には一体どんな感じで、その水晶玉に映ってたんだよ……?」


 晋也は、興味津々に自身のオーラの色をクリスに聞いてみると、クリスは嬉しそうに口を開いた。


 「フフフ……! あらら、”それ”を聞いちゃいましたかぁ……! 実はですね? 晋也さんのオーラの色は”ドス黒い漆黒の色”だったのですよ……ッ!」


 〈え、マジかよ……。 いや、だけどそれが”順当”なのかな……〉


 すると、クリスから自身の内面から放たれているオーラの色を聞いた晋也は、不覚にも納得してしまった。


 「やっぱり、そうなんだな……。 いや俺は昔から根っからの”不幸体質”でさ……。 その上、何も悪くない他人の事も巻き込んで”殺しちまった”から、それで俺のオーラの色はドス黒い色に映ったのかもな……?」


 すると、晋也の口から”不幸体質”だと言う事を告白されたクリスは、ニヤリと嗤った……。


 「ワオ、不幸体質ですか……! フム、晋也さんの、その”唯一無二の力”は、この世界を滅ぼすのに”最適な能力”ですねぇ! フフフ……晋也さん! このワタクシと協力して、共にこの世界の奴等を”殺害”したり、王国を滅ぼしてやりましょう……ッ!」


 「だ、だけどそうは言われてもさぁ……っ!? 俺に、人殺しだなんて……ッ」


 晋也は葛藤した様子で、頭を抱えながら首をブンブンと横に振り回す……。


 「いえいえ……! ”晋也さん自身”が手を汚す必要は御座いませんよ……! 飽く迄、貴方様のその不幸体質を”最大限利用”して、相手を”不慮な事故”で殺して差し上げれば宜しいのですよ……? フフフ……!」


 「ふ、不慮の事故で他人を殺す……か。 確かに、それなら特に今迄の俺の人生で通って来た道と何ら”変わりは無い”か……」


 晋也は、クリスからそんな”悪魔的な発想”を聞かされると、次第に晋也の脳裏に”琴子”の顔が浮かび上がって来た……。


 〈琴子……。 よくよく考えてみれば、お前がテロに巻き込まれたのも俺の”不幸体質”の所為なんだよな……?〉


 〈そうだ……。 俺がやるべき事は、クリスさんの事を"天界の男神”に仕立て上げて、俺と琴子が”幸せに暮らせる世界”を創り上げて貰う事なんだ……〉


 〈そうか……。 だとしたら、俺に与えられた選択肢は”一つ“しかねぇんだ……ッ!〉


 と、覚悟を決めた晋也は、クリスに向かって威勢良く言葉を発した。


 「俺、そんな事するのは、本当は嫌だけどさぁ……ッ! でも、これも琴子の為なんだよな……? だったら、やってやるよ……俺はッ! 琴子を守る為にも、この世界を壊して新たなる世界をクリスさんに創って貰うぜ……ッ!」


 「フフフ! 良いでしょう、このワタクシが天界の神に戻る事が出来た暁には、晋也さんと琴子さんが幸せに暮らせる世界を特別に創って差し上げますよ……。 フフフ!」


 そして、晋也とクリスは互いに固い握手を交わした……。


 〈それに、クリスさんが再び天界の神になれれば、もし仮に琴子が亡くなってたとしても”神の力”を使って生き返らせる事も出来るかも知れねぇしな……!〉


 「フフフ。 さてとそれでは先ずは、この大地にて本拠地を構えて居る、通称《悪鬼旅団》なる集団に対して”喧嘩”でも売りましょうかねぇ……!」


 「ん? 悪鬼、旅団……? し、しかも、喧嘩を売るだって……?」


 「フフフ……。 安心して下さい晋也さん。 そして、ワタクシの力で悪鬼旅団内の”権限”を持っている団員達を皆殺しにし、その勢いで”悪鬼旅団そのもの”をワタクシ達が乗っ取り、ゆくゆくは悪鬼旅団が占領している街や国の民達を利用する事と致しましょうかねぇ……。 フフフ……!」


 「そ、其処まで壮大な計画を考えてるんだな……。 でも、俺はクリスさんみたいに戦えないんですが……?」


 「あぁ、安心して下さい。 ”肉弾戦”はワタクシが担当致しますので、晋也さんはワタクシが先程も申した通りに、人畜無害な村や街や国の人達を”不慮の事故”で皆殺しにして下さいね……? ”期待”していますよ?」


 クリスは、にこやかに晋也の両肩をポンポンっと叩いた。


 「はい、分かりました……。 俺、クリスさんの為にも、精一杯頑張ります……。 この俺の、【極度の不幸体質】を上手く利用して……。 琴子を守る為にも……! 俺は、この世界を滅ぼしてみせます……ッ!」


 すると、その晋也の瞳の奥を見詰めていたクリスは、思わず感嘆の声を漏らした。


 「おぉ……っ! 本当に素晴らしい”瞳”をしていますよ晋也さん……ッ! 貴方様は、この世界に来る迄の間に、一体どれ程の”絶望”を体験したんでしょうかねぇ……? 並みの人間には決して生み出す事の出来無い、”純粋な狂気”が瞳の奥に宿っていますよ……!」


 「……………」


 そのクリスの言葉を聞いた晋也は、押し黙ってしまった……。


 然し、クリスはそんな晋也の姿を気に掛ける事無く、話を続けた。


 「フフフ……! では晋也さん、お互いに協力し合って、この世界に”終止符”を打ちましょうねぇ……!」


 「えぇ……! 俺達ならきっとやれる筈です……!」


 そして、僅かにだが”互いの心が通じ合った”様な気がしたクリスと晋也は、悪鬼旅団の本拠地が在る場所に向かう為にも、この終焉の大地ゴイサの”空疎大草原”から抜け出す事にした。


 「この空疎大草原は、”悪意に満ちた感情”さえ抱いていれば、簡単に抜け出す事が出来るのですよ? さぁ、このワタクシの手を取って互いの”新たなる一歩”を踏み出しましょう……!」


 〈新たなる一歩か……! 待ってろよ琴子! 俺、クリスさんの為に頑張るからさッ! だから、琴子も何処かで俺の事を”応援”しててくれよなッ!〉


 かくして、この”終焉の地”にて、一人の『死神』と一人の『純粋な死神』が運命的な因果によって巡り合って仕舞った……。


 そして、この歪な二人の存在が、後にこの世界を”大きく揺るがす”事になるのは、もはや誰の目にも明らかなのだった……。


 

【現在位置】

【終焉の大地ゴイサ】


【現在の日時】

【4月7日 17時25分 春】



【田川晋也】

【状態】:やる気満々

【装備】:学校の制服

【道具】:無し

【スキル】:生まれ付きの極度の不幸体質

【思考】

1:さてと……。

2:言われた通りに、悪鬼旅団とやらを乗っ取りに行くか……。

3:琴子……。 お前の事は俺達が絶対に守ってやるからな……。

【基本方針】:琴子には危害を与えない様にする。逆に琴子達以外の人達は死んだって構わない。一先ず悪鬼旅団本拠地ヘ向かう。

※琴子の事を想い、クリスと協力関係を結ぶ事にしました。

※空疎大草原を抜け出しました。



【死神クリス】

【状態】:わくわく

【装備】:漆黒のシルクハット 漆黒の紳士服 漆黒のステッキ

【道具】:水晶玉

【スキル】:瞬殺の審判

【思考】

1:フフフ……! 頼りにしていますよ晋也さん……。

2:ワタクシは、”約束を守る男”ですから、必ず晋也さんと琴子さんが幸せに暮らせる世界を創り出して差し上げますからねぇ……!

3:フフフ……! さぁ頑張って、安全な村や街や国を内側から滅ぼして下さいねぇ……! フフフ……!

【基本方針】:天界の神々を殺して男神に返り咲く。破壊活動中に誤って琴子とその仲間達を殺さない様に気を付ける。悪鬼旅団を乗っ取る。

※晋也と協力関係を結ぶ事に成功しました。

※空疎大草原を抜け出しました。


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