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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第一章 各々の思惑が始まる一日目
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第十三話 新たなる二人の転生者 〜女神セウン編〜


〜旋風の女神セウンの視点〜


――――天界――――【現在時刻、不明】



 天界の儀式を経て、晴れて人間から男神に”ランクアップ”した拓哉は、浮かれ気味にセウンに語り掛ける。


 「いやぁ〜、然し……! ヘヘっ、中々実感が湧きにくいもんだが、どうやら本当に俺は”神様”になれたんだなぁ〜っ!」


 〈うふふっ、タクヤったらまるで子供みたいにハシャいじゃって……。 全く、可愛いんだから……っ♡〉


 と、セウンが内に秘める”母性”を爆発させていると、何処からともなく”謎の二人組”が天界に運び込まれて来た……。


 ドササ……ッ!


 「おわっ!? な、何の音だ……ッ!?」


 〈あら? アレは恐らく、現世で”亡くなった人”が自動的に天界に運び込まれて来たのね……?〉


 すると、セウンは先程迄の微笑ましい表情とは打って変わり、真面目な面構えにガラッと表情を切り替えると、小声で拓哉に話し掛けた。


 「えっと、喜んでる所で悪いけどタクヤ? どうやら、早速、”天界のお仕事の時間”が来たみたいよ?」


 「あぁ? 天界の仕事だとぉ……?」


 「えぇ、そうよタクヤ! さっ、これが貴方と私の”初仕事”よ……っ! 先ずは、この二人の詳しい”死因”を調べるわよ……! だから、私の後に付いて来なさいタクヤ!」


 素早い対応を見せるセウンは、二人組の死因を詳しく調べる為にも”死因監視室”と言う名の場所の下に、タクヤの手を引っ張りながら案内する。


 「はぁ!? い、いきなり何なんだよ……ッ!?」


 「いいから、黙って付いて来なさいタクヤッ!」


 「お、おう……! 良く分かんねぇけど、取り敢えず付いて行きゃあ良いんだなッ!」


 「ふふっ、聞き分けの良い子ね……!」


 〈……本来なら、現世での死者は神様が”直接”連れて来ないと天界に現れない筈なんだけど、元々の”天界の管理者”だったソアボが、忽然と天界から姿を消しちゃったもんだから、現段階の現世での死者は自動的に天界にへと運び込まれる”仕組み”に切り替わっちゃっているのね……〉


 と、一瞬にして現状を把握した様子のセウンは、死因監視室のドアを開けると、セウンはタクヤの腕を強引に引っ張りながら、食い気味に”モニター”の方へと駆け寄った。


 〈良かった……! 先程迄の天界の乱れに影響されて、もしかしたら壊れちゃってるのかと思ってたけど、ちゃんと”機能”しているわね……っ!〉


 満遍なく地上を映している天界のモニターが、幸いな事に故障していない事を確認したセウンは、ホッと胸を撫で下ろした。


 「お、おいセウン……! えっと、この沢山画面が付いている何か凄そうな装置で、この二人の死因を調べれば良いって事なんだな……!?」


 「あら、やけに察しが良いわねっ! そうよ! ほら、詳しい“操作説明“は私が教えて上げるから! サクっと二人の死因を調べちゃいましょうっ!」


 「お、おぉ! 了解したぜッ!」


 タクヤはそう言うと、慣れない手付きでセウンに教えられた通りに死因監視装置を動かすと、天界に急に現れた二人組の死因を、一瞬にして”突き止める”事に成功した。


 「……!? ぼ、暴走したト、”トラック”に、二人共轢かれているぞ……っ!?」


 「えぇ。 どうやら、これが彼等の”死因”みたいね……。 あら、この二人は”友達”だったのでしょうね……。 ほら、死ぬまでずっと一緒に何か買い物しているわよ……?」


 「んん? 買い物だと?」


 そうセウンが指差した画面を、タクヤもジッと見詰めてみると、其処には確かに天界に現れた二人が一緒に楽しそうに買い物をしている場面が映っていた。


 〈この人達もトラックに轢かれる数分程前までは、こんなにも嬉しそうに買い物をしていたのに……。 運命ってのは”残酷”なものね……〉


 「う~ん。 なんとも言えない気分になってくるなぁ〜……。 まぁ、取り敢えず、気を失ったまま放っとくのは可哀相だから、そろそろあの二人を起こしてあげようぜ……!」


 「えぇ。 そうね……!」


 そう言うと、タクヤとセウンは、倒れている二人の下に駆け寄ると、そのまま頬をぺしぺしっと軽く叩く。


 ペチペチと頬を軽く叩かれた二人は、うなされたかの様にゆっくりと瞼を開け始めた。


 〈あら、ヨウヤく目が覚めたみたいね……?〉


 すると、目を開いた”眼鏡の男”がセウン達の顔を見るや否や、仰天したかの様に飛び起きた。


 「むっ! だ、誰で御座るか……ッ!? 拙者の頬をペチペチ叩いている不届き者は……!!」


 すると、続け様に眼鏡の男の隣で倒れていた”女装少年”も瞼を擦りながら起き上がった。


 「うーん、もう起きたよ〜、ママ~。 だから僕のほっぺたを叩くのをやめてよ〜……。 むにゃ〜……」


 〈あらあら、寝ぼけちゃってるみたいで可愛らしぃ〜……っ♡ それに、女装少年だなんて”萌えの塊”じゃないのよぉ〜っ♡〉


 セウンは、ニコニコと笑みを浮かべながら、女装少年にコソッと耳打ちする。


 「うふふ、私は君の”ママ”じゃないわよ?」


 と、耳元で囁いたセウンの声を聞いた女装少年は、驚いたかの様に、セウンの顔を凝視した。


 「ほえぇッ!? び、美人なお姉さん……っ!? お、お姉さん達は一体誰……っ!?」


 〈まぁっ! 美人だなんて照れちゃうわねぇ〜っ!〉


 「おっ! やっと二人共起きたみたいだなッ! それじゃあ、よく聞いとけよ! 此処は、正真正銘の”天界”だぜ……ッ!」


 と、拓哉が意気揚々と説明すると、その言葉を聞いた二人組は思わず一斉に驚きの声を上げた。


 「「て、天界ッッッ!!??」」


 すると、セウンは現状が良く理解出来ていない二人に対して、事の顚末を優しく教えてあげた。


 「………って、事なのよっ! いやぁ〜、災難だったわねぇ貴方達……」


 「むむぅ……。 誠に信じられない現状で御座るが……。 然しながら、夢とも形容し難いこの現状は……。 矢張り、彼女が言う様に”現実”なので御座るのか……!?」


 「じゃあ本当に、僕達はトラックに撥ねられて死んじゃったんだね……?」


 「なんと、無念な事で御座るなぁ……」


 眼鏡を掛けた男と女装をしている少年が、(ウツムきながら力無く話し込んでいる。


 すると、その落ち込んでいる二人に対して、タクヤが軽い口調で話し掛ける。


 「いや然し、トラックとは、また”ベタ”だねぇ〜……。 んで、アンタ等は一体どう言う”関係”で……?」


 タクヤは疑問に思った事を、二人に聞いてみた。


 「あっ! ぼ、僕達は、”大手コスプレサークル”の一員で、普段はコミケとか……アニメ関連のイベントの時に、コスプレしながら参加したりとか色々な事をやっています……!」


 「ほぉ? コスプレねぇ……?」


 「あっ! 因みに、僕の名前は『餅木歩夢(モチギアユム)』と申します……! えっと、今は女の子みたいな格好をしていますが、僕の性別は正真正銘”男”です……! 所謂、”男の娘”と言うやつですかねぇ……? あっ、因みに今年で”成人”です……!」


 「えぇ!? 俺の”年上”だったのかよ! 意外だなぁ……」


 謎の女装っ子は、まさかのタクヤの年上だった。


 そして、続け様に眼鏡を掛けた男が自己紹介を始めた。


 「コホン。 拙者は『大宮雅隆(オオミヤマサタカ)』と申す者で御座る……! 拙者は”美乳剣舞”と言うゲームに登場する、敵キャラの忍びの者のコスプレを得意としてるで御座るよ……!」


 すると、美乳剣舞と言う聞き馴染みの有る言葉を聞いたセウンは、ふと物思いに耽った。


 〈あら、美乳剣舞って言ったら、我等が『ミカ様』が”原案”、”イラスト”、”音源”、”アテレコ”、”シナリオ”を一人で担当して制作している有名ゲームじゃないの……。 まさか、こんな所でその名を聞くなんてね……〉


 セウンは、カツての”天界第一位神”『至大至高の女神ミカ』の現世での活躍ぶりに思わず感心していた。


 〈うふふっ、流石はミカ様ね。 下界の民達の心を掌握するのは”御手の物”って訳ね……!〉


 すると、しみじみと思い耽っているセウンとは打って変わり、拓哉は雅隆に向かって問い掛ける。


 「ほぉ。 要するに、アンタ等はコスプレイヤーなのか……! んで、”大手サークル”なら勿論の事アンタ等の他にもメンバーは居るんだよな?」


 「おぉ、そうですぞ! 他には、拙者の”兄上”も有名なコスプレイヤーとして、サークルに参加しているで御座るよ!」


 「なるほどなぁ……! オッケー、じゃあそろそろ雑談はこの辺にしといて、これから異世界に転生するにあたって、何か”欲しいスキル”があったら言ってみてくれねぇかな?」


 すると、そのタクヤの問い掛けに対して、歩夢と雅隆は腕を組みながら深く考え込む……。


 「えっ、スキルですかぁ……? うーん、何が良いんでしょうか……?」


 「うむむ……。 良しっ! 決めましたぞぉ〜っ! ならば、拙者は”目にも留まらぬ速さ”で異世界を縦横無尽に移動したいで御座るぞ……!」


 「じゃ、じゃあ僕は、異世界のモンスター達と”心を通わせる”事が出来る様になりたいです……っ!」


 「んん……? そんなんで良いのかよ?」


 タクヤは、そんな二人の素朴な回答に少しばかり肩透かしを食らっていた。


 「えっ? な、なにかお気に召しませんでしたか……?」


 すると、その回答に満足いかなかったタクヤは改めて二人に問い掛けた。


 「うーん、折角だから、相手を即死させる様な”チート技”とか、そう言う感じの奴を要求してくれたって別に良いんだぜ……?」


 すると、その拓哉の言葉に対して、雅隆と歩夢は首を横に振りながら、改めて自分自身の気持ちを拓哉に伝えた。


 「いえいえ、拙者は多くは望みませぬぞ。 異世界で瞬間移動出来る様な、そんな”便利なスキル”さえ有ればそれで充分で御座るよ!」


 「僕も、モンスターと仲良くなれればそれで良いですよ!」


 「ほぉ、そうか。 まぁ、分かったぜ! じゃあ、そんな感じのスキルをアンタ等に授けるぜ!」


 〈ふふっ、私が思ってたよりも遥かに良い子みたいねこの子達……!〉


 すると、そのタクヤ達の会話を聞いていたセウンが、ボソッと補足を入れてくれた。


 「えっと因みに、疲れない移動方法だと、【永遠の瞬間移動】と言うスキルが有るわね。 何時でも何処でも気にせずに”瞬間移動”が出来るスキルよ……!」


 「おぉ!? そんじゃ、雅隆に授けるスキルは、それで決まりだなぁ〜っ! んで、モンスターと心を通わせるスキルは?」


 「うん、モンスターと心を通わせるスキルの名は【慈愛の涙】よ。 このスキルは、どんなに凶悪なモンスター相手でも簡単に懐かせる事が出来る様になるのっ! おまけに、このスキルの所有者が”涙を流す”と、必ず心優しい誰かが助けに来てくれると言う”オマケ効果”も付与して有るからねっ!」


 「ヘヘ、詳しい説明サンキュなセウン! よっしゃ……! んじゃあ、大宮雅隆には【永遠の瞬間移動】を……! そして、餅木歩夢には【慈愛の涙】を……! 授与するぜぇーーッッッ!!」


 そうタクヤが叫ぶと、彼の掌からポウッ……と、2つの”神々しい球体”が現れた。


 〈まぁっ! 綺麗〜っ♡〉


 と、セウンが見惚れていると、やがて、その2つの神々しい球体は、歩夢と雅隆の身体に触れるとそのままポワッ……と、静かに沈んでいった。


 「こ、これがスキル授与なんですかぁ……!?」


 「何か、とても”神秘的”で御座るなぁ……!」


 「うしっ! コレで一応”能力授与”は終了だ……! んじゃあ、俺は、この”転生者監視装置”のモニターからアンタ達がどう異世界をエンジョイするのか、ゆっくりとモニタリングしてるからな〜! それじゃ、異世界でも頑張れよ〜っ!」


 「い、異世界かぁ……! 何だかドキドキするね雅隆君っ!」


 「な、何だか、ドキドキするで御座るなぁ歩夢殿……! それでは、神様達も、どうか御達者で……!」


 「おお! アンタ達も達者でな〜!」


 「頑張るのよ〜! 私達は天界から貴方達の事を応援してるからね〜!」


 ビュン――――――ッッッ!!!


 ワープゲートから異世界に転送されてゆく二人を見届けたセウンとタクヤは、一仕事を終えてホッと一息吐いた。


 「おっ、どうやら無事に送り届けられたみてぇだなぁ! ふぃ〜っ! 俺達の天界での初仕事は、どうやら無事に成功出来たみてぇだなっ!」


 「ふふっ、お疲れ様タクヤ。 天界での仕事はどうだった?」


 「まぁ、ちょっとばかし疲れたかなぁ……! んっ! セウンほら見てみろよ! 早速、此処のモニターに歩夢と雅隆が映ってんぞ……!」


 異世界に辿り着いた歩夢と雅隆の姿を眺めながら、セウンとタクヤはゆっくりと椅子に座る。


 「あっ、本当ねぇ! 良かったぁ……! 無事に異世界に辿り着けたみたいね……っ!」


 「ヘヘっ! 天界の神様の仕事と言うのも案外悪くねぇのかもなぁ……!」


 「ふふっ、そうねタクヤ……。 って、あれっ……?」


 「ん? どうしたんだセウン?」


 〈え……っ? こ、この画面に映っているのって……!?〉


 転生者監視装置を眺めていたセウンが、突如として血相を変えながらタクヤに話し掛ける。


 「……!? タ、タクヤ……! こ、此処の画面を……見て!」


 「……? 急にどうしたんだ一体……? 何か変な物でも映ってんのか―――」


 すると、そのセウンが指を震わせながら差している画面を覗き込んだタクヤは、一瞬にして驚愕の表情を浮かべた。


 何故なら、タクヤ達が見た転生者監視装置の画面の中の一つに、自分達の良く知っている顔の人物、『竜胆園鯛造(リンドウエンタイゾウ)』の姿がはっきりと映っていたからだ……。


 「えっ……? と、”父さん”……?」




【現在位置】

【天界、転生者監視装置室】


【現在の日時】

【不明】



【慈悲の男神タクヤ】

【状態】:驚愕

【装備】:純白の羽衣 純白の指輪と腕輪 男神の袋

【道具】:男神の袋に色々入ってます

【スキル】:上級スキル能力授与

【思考】

1:この姿は……父さん!?

2:10年前の交通事故の時に異世界転生してたんか……!

3:あれっ? この父さんの近くに居る、この”獣耳の剣士風の女性”は一体誰なんだ……?

【基本方針】:歩夢と雅隆の動向を追う。父さんの動向も追う。

※歩夢と雅隆を異世界に転生させる事に成功しました。

※竜胆園鯛造が異世界に居る事を知りました。



【旋風の女神セウン】

【状態】:感激

【装備】:翠の羽衣 翠の指輪と腕輪 女神の袋

【道具】:女神の袋に入ってます

【スキル】:旋風の危機察知

【思考】

1:うぅ……貴方ったら、異世界で今まで生きていたのね……。

2:再び、貴方の姿が見れて嬉しいよぉ……。

3:それで、その隣に居る”獣耳の女”は一体誰なの……?

【基本方針】:天界を護る。夫の動向を追う。拓哉をサポートする。

※歩夢と雅隆を異世界に転生させる事に成功しました。

※竜胆園鯛造が異世界に居る事を知りました。



【現在位置】

【始まりの大地ストファー、ポラ平原】


【現在の日時】

【4月7日 14時9分】



【大宮雅隆】

【状態】:感動

【装備】:眼鏡 漢字一文字で忍と書かれた白の服 リュック

【道具】:リュックの中に様々なコスプレ服が入ってます

【スキル】永遠の瞬間移動【効果】:何時でも何処でも好きなタイミングで瞬間移動が出来る様になる。因みに、体力消費も魔力消費も精神力消費も何も必要なく発動出来る。

【思考】

1:な、なんで御座るか〜っ! この素晴らしき景色は〜ッ!!

2:うぅ……出来る事なら、この景色を”兄上”と一緒に見たかった……!

3:む? 何やら彼処で何者かが倒れている様子で御座るが、これは早速、歩夢殿の”スキル”が活かされる時が……?

【基本方針】:歩夢と一緒に異世界を満喫する。目の前で倒れている人を手当てする。

※スキル永遠の瞬間移動を取得しました。



【餅木歩夢】

【状態】:呆然

【装備】:フリフリのワンピース 鞄

【道具】:鞄に様々なコスプレ服が入ってます

【スキル】慈愛の涙【効果】:このスキルを取得している者は、どんなに凶悪なモンスター相手でも簡単に手懐ける事が出来る。更に、このスキルの取得者が涙を流すと、その瞬間に心優しい誰かが助けに駆け付けてくれる様になる。

【思考】

1:す……凄いぃ……ッ!

2:これが、異世界……?

3:あ、誰かが倒れてる……! 助けなくちゃ……!

【基本方針】:雅隆と一緒に異世界を楽しむ。目の前で倒れている人を手当てする。

※スキル慈愛の涙を取得しました。


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