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魔王軍の幹部になったけど事務仕事しかできません  作者: 悪一
2-1.魔王軍は遅れてる
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とっても地味なお話です

 兵站(へいたん)とは何か。


 そう問われてしまうと、出てくる言葉は「一言じゃ無理」がせいぜいである。

 第一素人には「兵站」という漢字がまずもって読めないし、当然そこから意味を推測することは不可能である。 


 恐ろしく単純化してしまえば、兵站というのは「支える」仕事である。


 そして何をどうやって支えるか。

 膨大な業務を抱える中で、どうやったら効率的で効果的かと頭を悩ませつつ、迫りくる納期と味方からの圧力に晒されながら、書類の束と白髪を増やしていくのである。


 ……あ、違うんですよソフィアさん。

 あなたの髪は銀ですから、大丈夫ですから。


 それにソフィアさんの綺麗な銀色の髪は私結構好きだからそんなに睨まないでくださいお願いしますなんでもしますから。


 コホン。


 何の話だっけ?

 そうそう、兵站ね。


 支えるのが俺らの仕事。戦う人たちの為に、俺らは全力で支える。


 最強の戦闘部隊には、それ相応の兵站部隊が必要なのだ。


 じゃあ最強の兵站、ってなんだろう。


 たぶんそれはどこぞの児童向けアニメのように、


「一口食べただけで元気百倍になるパンに手足を生やして歩かせついでにマントを付けて飛行させ、品質が悪くなったら随伴する自走パン工場で新しい(パン)を作って工場長の強肩でもってそれをぶん投げて交換する」


 ということである。


 大人になってから見るとふざけた絵面だ、と思うかもしれない。

 でも兵站という視線から真面目に考察すれば、あれほど効果的で効率的な兵站はない。


 つまるところ、兵站部隊が目指す先にあるのはアンパンである。


 これから毎日投げ込みして肩を鍛えて、戦闘部隊にアンパンを投げつけて愛と勇気でもって敵を倒してもらうのだ。


 そして今日もアンパンを食らう。


 明日もアンパンを食らう。


 明後日もアンパンを食らえ。


 明明後日もアンパンを食え。


 食えよ。


 アンパン食えよ。


 いいから食え。


 元気百倍になるんだからさ。


 アンパン食え。


 今日も今日とてアンパン。


 アンパン。


 アンパンアンパン。


 アンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンアンパンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパン。


 ……はい、ダメですね。流石に発狂します。


 ちなみにこれを肉の缶詰にするとスパムメールの語源になります。

 アメリカ兵も意外と苦労してるんですね。やっぱ戦争って難しいわ。


 このように、兵站は単純では済まない。


 いくらアンパンが美味しいからと言ってさすがに毎日は飽きる。

 クリームパンとかメロンパンとかレーズンパンを入れてバリエーションを増やさなくちゃいけない。


 でもバリエーション増やしたら食材の種類と量は膨大になり、それの手続きや運搬は複雑になるし、事故なんかも増えるだろう。


 その煩雑になった仕事を処理するための専門の部隊。


 それが我ら「魔王軍兵站局」というわけである。


「こんな感じで新任士官向けの教材作りたいんですけど、どうですかねソフィアさん」

「何を言っているかサッパリわかりません、アキラ様」


 ダメでした。


 あ、軍に所属する兵に対する教育も、立派な兵站の仕事のひとつです。





 この物語は、異世界に転移した俺、秋津アキラことごく普通の事務屋が、魔王軍における事務的困難を克服したり克服しなかったりする、とっても地味ぃーなお話である。


ストックないけど1日1回更新を心がけます。

心がけるだけなので更新が止まったら……たぶんそういうことです。気長にお待ちください。

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