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魔王軍の幹部になったけど事務仕事しかできません  作者: 悪一
1-3.全ては魔王のために
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呼び方って重要ですよね

 ハイヴァール方面臨時前線司令部のある、ベルガモット陣地。ハイヴァール陣地が人類軍の猛撃に晒されて放棄されたため、今やここが最前線である。


 そこで一頭の飛竜が、一人の女性を降ろしていた。


 兵站局のメンバー、ソフィア・ヴォルフである。

 彼女はここで降りて、前線の兵站を指揮する。


「ありがとうございます、ダウニッシュ様!」

「なに、気にする必要はない。これも仕事のうちだ。礼ならソフィアくんの上司に言いたまえ。陛下をお救いすることができるのは、彼のおかげでもあるのだからな!」

「はい!」


 前線に近いだけあって、陣地は騒がしく、故にソフィアは声を張り上げて会話する。


「――それと、カルツェット様!」


 そして彼女は、飛竜に同乗していたレオナ・カルツェットを呼んだ。


「ん、なに?」

「その……、御武運を! 必ず帰ってきてください!」

「…………」


 レオナは、ソフィアの言葉に一瞬目を丸めた。


 アキラの言葉ではないが、彼女たちは犬猫の仲であり、仲は決してよくはない。

 それなのに、ソフィアはレオナに対して、皮肉も何も交えずに武運と無事を祈ったのだから。


 彼女の態度が変わったことに、レオナは思わず笑みを浮かべた。


「ねぇ、ソフィアちゃん!」

「な、なんでしょう?」

「私のこと名前で、レオナって呼んでよ!」


 仲良くなりたいという、レオナの純粋な願いだった。


 が、


「嫌です!!」


 ソフィアは殆どノータイムで全力で拒否した。


「なんで!? ちょっと雰囲気的に呼んでくれる流れだったじゃん!」

「私はあなたのこと苦手なので!」

「酷くない!? それって『嫌い』って意味だよね!?」


 困惑するレオナを余所に、ソフィアはいい笑顔で叫んだ。


「すみません。でも嫌いではなくても、私は他人のことを姓で呼ぶことしかできないんです!」

 

 と。


 照れ隠しなのかな?

 と、レオナは考えなかった。


 私のことを他人呼ばわりって酷いな。

 とも考えなかった。


 いつもの彼女ならそう思ったかもしれないが、今の彼女はそう考えなかった。

 なぜならこの時レオナは、『彼』のふとした呟きを思い出したからである。


 それはレオナと彼が、初めて出会った時のことだ。


「ソフィアちゃん! 実は伝えなきゃいけないことあるんだ!」

「今度はなんですか?」

「私ね、余程目上じゃない限り他人を『名前』で呼ぶんだよ!」


 元気よくそう言った後、レオナはダウニッシュの背中を叩いて出発の合図をする。

 飛竜が羽ばたき砂塵が舞い上がる中、レオナの言葉を受け取ったソフィアは、


「……はぁ。って、は?」


 筆舌し難い珍妙な顔をしていた。


 それがどうしたのだ、という顔である。彼女は暫く、レオナの言葉の意味を掴み損ねていた。


 そんな困惑し続ける物わかりが悪いソフィアに対して、レオナは飛竜の羽ばたく音に負けじと大声で叫んだ。


「意味はアキラちゃんに聞けば分かるよ!」

「……はい? あの、それってどういう――」


 ソフィアの疑問の言葉は、飛竜の羽音に掻き消され、レオナには終ぞ届くことはなかった。

 急速に遠ざかる飛竜を眺めながら、彼女は暫し考え込む。


『私ね、余程目上じゃない限り「名前」で呼ぶんだよ!』


『意味はアキラちゃんに聞けば分かるよ!』


 レオナ・カルツェットの台詞を一言一句思い出し、頭の中で咀嚼して……、


「…………あっ。えっ、あの、えぇ!?」


 ソフィアは、事の重大さをようやく理解した。

・人類軍兵器解説的な何か。きっと読まなくても大丈夫。

 妄想設定ばっち来いの人だけ読んでくださいね。



【戦車】

 無限軌道による不整地踏破能力と、対魔像砲による強力な攻撃力、魔術攻撃をものともしない装甲が特徴。地球の戦車とは違って、塹壕突破兵器として開発されたわけではない。魔族の魔術攻撃に耐えつつ対魔像砲(≒対戦車砲)を前線へ運ぶための「対魔像自走砲」とも言うべき代物で、開発にあたってはまずもって装甲が優先された。

 だからたぶん見た目はチャーチル・ガン・キャリアみたいな感じになってる。シュール。




 ちょいちょいこんな感じで人類軍・魔王軍兵器について解説(妄想設定公開)するかも。いらなかったら言ってね。善処します。

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