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幼女聖女 〜ぷにぷにほっぺ聖女の冒険譚〜  作者: ポムの狼
第六章「 迷宮都市」

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第56話 ボス討伐戦

「お前たち準備はいいか?」


 ボス部屋の前に待機していた討伐隊、補給部隊の全員が本日の司令塔『大山崩しの勇者ビオルノ』の合図で頷く。


「行くぞ!!」


 補給部隊のメンバーで力強く青銅の扉を押して開けると討伐部隊のメンバーたちが一気にボス部屋へと雪崩れ込んだ。


 激しい戦闘が続いた。


 討伐メンバーの誰かが倒れるたびに補給部隊のメンバーが走り、倒れた隊員をボス部屋の外に退避させる。アーロもその中の一人だった。誰かが倒れればとにかく走って助けに行くのが、今日のアーロの仕事だ。地味な仕事ではあるが、一人も死者を出さずにボス討伐を成功させるためには不可欠な役割である。

 アーロは自分の働きが討伐部隊に選ばれた勇者や聖女の先輩たちの命に関わるのだと思うと、責任の重さで全身の震えが止まらなかった。自分で戦っている時に体が震えたことなんか一度もなかったのに、人が戦っているのを見ているということはこんなにも恐ろしいことなんだということを初めて認識した。

 ――またボス討伐に参加するようなことがあれば、次は必ず討伐隊として参加したい。アーロはそう心に強く思った。


 回復魔法が使えるクッカは、ボス部屋の前の廊下で負傷した隊員の治療を行っていた。


「大丈夫! 私が必ず直しますから!」


 朦朧とする意識の負傷者にクッカは力強く声をかけた。


 目玉のボスは、目から光線を出して攻撃してきたり、近づいてきた人間に毒をまき散らしたりと、嫌な攻撃ばかりしてくるタイプのボスだった。

 今運ばれてきた人もボスの毒に足をやられ、両足がひどく爛れている。


 クッカは運ばれてくる隊員たちにひたすら回復魔法をかけ続けた。

 クッカの回復魔法は他の補給部隊のメンバーと違って詠唱を必要としないから素早く回復させることができたが、自分の呼吸に回復の効果をのせているので酸欠になりそうだった。途中から、めまいがして頭がくらくらし始めたが、クッカは自分のほっぺをパチンパチンと両手で叩いて気合を入れなおした。




 戦いも終盤に差し掛かり、目玉のボスはとどめを刺されまいと自分の周りを黒い毒の霧で覆い、誰にも近づけないようにしている。


 そこにプウが剣を振るい大きな風魔法を放って、一気に毒霧を部屋の隅へと吹き飛ばした。


「今だ! ライン!!」


 プウの合図で、ラインの強力な火炎矢がボスの目玉目掛けて飛んでいく。

 それに気が付いたボスは体を回転させて矢を避けようとしたが、ヘンリクの氷魔法で体を固められ身動きが取れない。ラインの放った矢はボスの目玉に命中した。


 ギャャャャャァァ!!!


 ボスは炎に包まれ、床をごろんごろんとしばらくのたうち回った後、パタリと動きを止めて動かなくなった。


「やったのか……?」


 ボスを包んでいた炎は消えたが、ボスはピクリとも動かなかった。


「「「うおおおおおおお!!!」」」


 歓声が上がる。討伐隊も補給部隊も皆が声をあげて喜んだ。


 クッカはすぐに走り出して討伐に参加したヘンリクとプウとラインとハイタッチをした。アーロのすぐに駆け寄り、一緒に喜びを嚙み締めた。アーロは感動でちょっとだけ泣いている。


「皆! よくやった! さっさと採るもの取って、帰って酒でも飲もう!!」


 リーダーのビオルノの声で全員が次の作業に移ろうとした――その時。


 ボスの瞼が開き、大きな紫色の瞳が最後の一撃を放ったラインをカっと見た。


「危ない!!」


 クッカはラインの前に防御魔法を展開した。ボスが目から強力な光線をラインに向かって放ってきたのだ。

 ボスの光線は止まらず、クッカの防御魔法にヒビが入り始める。


「だめ! もうちょっとだから!」


 クッカの防御魔法のヒビが大きくなり、いつ破られてしまっても不思議ではない。

 とっさのことで、他の討伐隊は完全に動きが遅れてしまっていた。そんな中、誰よりも早く対応したのがアーロだった。


「キヴィ! クッカを守れ!」


 クッカの防御が破られる寸前にキヴィがクッカとラインの前に立ち攻撃を受け止め、その間にアーロがボスまで走った。


「往生際が悪いんだよ!!!」


 最期の光を宿すボスの大きな目玉に向かってアーロがジャンプして自らの剣を突き刺した。


 ギェェェェェェ!!!


 今度こそ本当の断末魔の叫びをあげてボスは倒れたのだった。

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