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幼女聖女 〜ぷにぷにほっぺ聖女の冒険譚〜  作者: ポムの狼
第六章「 迷宮都市」

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第54話 ヴィエノとアイラの悪だくみ

「聞いたか!? ボス討伐戦のメンバー!」


 迷宮都市クルホのヴオリ王国の人が集まる酒場はその話題一色であった。


「なんか銀の彗星がメンバーに入るかで、結構揉めたらしいな」


「俺もそれ聞いたよ。なんか風曲の二人が最後まで粘ったらしいんだけど、通信魔法で会議に参加していた陛下が結局認めなくて参加にはならなかったらしいぞ」


「それでも本隊の補給部隊には選ばれたんだろ? 初任には異例の大抜擢だよな」




 同じ酒場の部屋の隅。ヴィエノとアイラは暗がりに隠れるように酒をあおっていた。


「くそ!」


 ヴィエノは酒場のテーブルを力任せに叩いて悪態をついた。


「なんで、アーロなんかが補給部隊に選ばれるんだ!! 俺たちですら選ばれなかったのに!!」


 怒り狂っているヴィエノの肩にアイラがそっと手を置いた。


「兄さん、落ち着いて。テーブルに八つ当たりしても仕方がないでしょ」


「アイラは悔しくないのか!?」


「もちろん悔しいわ! あいつらの出発がもう一日遅ければ、先にボス部屋を見つけてたのは私たちなんだから」


 ヴィエノとアイラが目星をつけていた通路も銀の彗星が見つけた廊下へとつながる道ではあった。

 しかし、ヴィエノとアイラがボス部屋を見つけた時には、もうすでに風曲の刃が役所にボス部屋発見の報告を済ませた後のことだった。しかも、ヴィエノとアイラの道は遠回りの道。銀の彗星が見つけた道はショートカットルートと言ったところであろう。当然短い方の道が評価されるのは当たり前のことであった。


「あいつは昔から運だけはいいからな。そういうところが本当に腹立たしい」


 ヴィエノとアイラがそもそもなぜこんなにもアーロを目の敵にしているかというと、それは幼少時代のある出来事がきっかけであった。


 精霊術の使用には本人の素養もさることながら、まず精霊と契約を交わさないと何も始まらない。ヴィエノとアイラは自分たちと契約してくれる精霊をなかなか見つけられずに苛立ちを強めていた。

 そんな中、まだよちよち歩きしかできなかった一歳のアーロが自宅の庭で兄たちより先に小石精霊のキヴィと契約してしまったものだから、家じゅうが大騒ぎになった。

 父親がアーロを嬉しそうに抱き上げ、それを満面の笑みで見守る側妻のイラ。その隣で喜ぶ表情を浮かべながらも、どこか悲しそうな表情をする自分たちの母。

 母は側妻のイラとは大の親友であるし、アーロのことも自分の息子のようにかわいがってはいたが、隠せない想いがそこに現れているようで、子供ながらにヴィエノとアイラの心に深く焼き付いて離れなくなってしまったのだ。


――絶対アーロより活躍する勇者や聖女になる。


 ヴィエノとアイラは、それだけが生きる目的であったし、何としてでも達成しなければならない使命だった。



「ねぇ兄さん。アーロが補給部隊を辞退するようにできないかしら」


「……なにかいい考えでもあるのか? あいつも精霊も成長した。昔みたいにはいかないぞ」


「こんなのはどうかな」


 アイラはヴィエノに耳打ちをした。それを聞いたヴィエノは笑い出した。


「それは傑作だ! その話乗ったぞ。アーロの悔しがる顔が目に浮かぶな」


 二人は酒を飲みながら、計画を細部まで詰めた。



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