第4話 クッカ初めての人命救助
「誰か!! 助けてくれ!!」
助けを求める声はどんどん近づいているようだった。クッカとひげパパは走る速度を上げた。
「街道の方から声がするみたいだな。クッカ、ちょっと急ぐから抱っこするぞ」
ひげパパはクッカをひょいと抱っこして、猛スピードで走った。ほっぺが風圧でプルプル震える速さだった。
しばらく走ると商人の馬車と思われる馬車が街道に止まっていた。それを取り囲むように、剣で武装した複数な男たちが見受けられる。おそらく盗賊といったところだろうか。
ひげパパはクッカを降ろして、的確な指示を出す。
「盗賊の制圧は俺がやる。クッカは襲われている人を安全な所まで避難させるんだ」
「了解、ひげパパ」
馬車の前で身なりの良い男性に盗賊の男が今にも剣を振り下ろそうしている。ひげパパは瞬時にその盗賊の後ろに回り込み、背中に斧の柄肩を叩き込んだ。
盗賊が一人倒れ、初めて他の盗賊たちはひげパパの存在に気がついたようだ。
「誰だお前!」
と盗賊の一人が聞く。
ひげパパは斧をくるくると回し構え、にやりと笑った。
「俺か? 通りすがりの元勇者だ!」
(ひげパパ、かっちょいい!!!)
ひげパパは次々と盗賊たちを倒していく。すごいよ、ひげパパ!
ついついひげパパの活躍に魅入ってしまったクッカだったが、我に返って身なりの良い男性を助けに行った。
「大丈夫ですか? ここは危険ですので、少し離れましょう」
男性は震えながら馬車の前方を指差した。
「まだ、息子が捕まったままなんだ」
「おい! 元勇者とやら! 止まれ! こいつがどうなってもいいのか!?」
盗賊の野太い声を聞いてクッカは振り返った。そこにはクッカと同じ位の年頃の男の子が盗賊に捕まってしくしくと泣いていた。
盗賊は幼い男の子を抱きかかえ、くびにナイフを押し当てている。
ひげパパはたらりと汗を流して動けなくなってしまった。
「ひげパパ、ここは私が」
「止めろ! クッカ!」
ひげパパの制止を無視して、クッカは盗賊に近づいた。
「その子を離しなさい! さもないと、私がお前の事をボコボコにするよ!」
「はっはっは、できるもんならやってみな」
盗賊は4歳女児のクッカを見て、完全に油断しているようだ。
ひげパパ相手では首からナイフを離さなかったが、クッカは倒せると踏んだのか、ナイフを首元から外し戦闘の構えになった。
今だ!!
クッカは地面を強く蹴って、一気に盗賊との距離をつめる。
盗賊はクッカをナイフで刺そうとナイフを持った手を前に突き出してきた。
既の所で身をかわし、ナイフを避け、クッカは盗賊のナイフを持った方の腕を掴み、強く引っ張った。
盗賊は自分の攻撃の勢いと引っ張られた勢いで前に倒れた。倒れた拍子に地面に手をついて、人質の男の子は逃げ出すことができた。
クッカは盗賊の隙を見逃さず、盗賊の背中に斧の柄肩を叩き込んでやった。
盗賊がばたりと音をたてて倒れる。
ひげパパとクッカの完全勝利だった。
「クッカ!」
「ひげパパ!」
ひげパパが両手を広げて駆け寄ってきたので、クッカは腕の中に飛び込んだ。
ひげパパはクッカの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「すごいじゃないか、クッカ! 落ち着いていたし、さっき教えた技もばっちりだったぞ」
ひげパパに褒められるとクッカはついついぷにぷにほっぺが緩んでしまうのだ。
「イェレ、血が出てるじゃないか!」
向こうでは身なりの良い男性が男の子の怪我を心配していた。
「見せてください!」
ひげパパの腕の中から飛び出して、クッカは男の子に駆け寄った。
男の子は首を少し切ったようで、首からたらたらと血が流れていた。
クッカは以前にエリサの傷を治したのと同じ魔法で、男の子の傷を塞いだ。
男の子は痛まなくなった自分の首を触り驚いた。
「すごい! 魔法が使えるの?」
「そうだよ」
男の子は目を輝かせているが、クッカは大人の対応だ。
「ありがとう!」
男の子がぎゅうっとクッカを抱きしめたので、クッカはよしよしと言って男の子の頭を撫でた。
ぷにぷにほっぺとぷにぷにほっぺがくっついて、大人たちは微笑み、温かい空気が辺りを包んでいた。
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作者から一言
読んでいただきありがとうございます!
次回はいよいよクッカが旅立ちますぞ!!!
応援お願いいたします(^O^)/




