トラブル
思いがけない遭遇だった。
「ああ・・・彩都?」
「こいつです!このいたずら好きそうなツラの野郎」
てめえ、俺の印象いきなり悪くすんなよ。
「なるほど、くれぐれもいたずらはやめてくださいね?」
彩都についてくるこの女・・・。一体なんなんだ。
しかしここは作り笑いをして穏便に済ませよう。さりげなく俺は彩都の方へ足を踏み出し、そのお姉さんの脇腹に俺の左腕が当たるも、なんとか彩都と合流できた。俺らは再会できた喜びから思わず抱きしめ合ってしまった。
「・・・仲がよろしそうでなにより・・・ですね」
この声は男性・・・。男に男同士で抱きしめ合ってるところ見られたよ。
身長俺より10センチは高そうだった。
「てか、ここどこだよ!?」俺は彩都から三歩離れて叫んだ。
「修希・・・。ここはな、俺の・・・」
「ええっ!?」何今の語り!!俺の何!?何!!
俺が目を大きくしているのを見た20代前半・・・10代?・・・っぽい女は、ひとまとめするかのように言った。
「まあ、ここさむいですし。さっそく神殿の方へ参りましょう。申し訳ありません、高菜修希どの。なぜかあなただけ私たちの誘導が効かなくて。なぜかこの部屋・・・に?」
あ、今冷静に俺が出てきた部屋のドアに表示されている言葉と絵を見た途端、なんだか冷や汗が止まらなくなってきた。
『関係者以外立ち入り禁止。許可なきものの立ち入りを厳しく罰する』
と。
いや、俺は悪くないでしょ?はいろうと思ってここに来たわけじゃないんだからさ。まあ、中はいろんな意味でたくさんの驚きがあったけれど。まさか重要な部屋だったなんて。
「本来ならこの部屋の無断侵入は懲役ものなんですがねえ・・・。たとえ事故なんだとしても」
「はあ!?このメガネ!俺はだなあ・・・、いきなり地面に吸い込まれたと思ったら・・・」
男に思い切り怒鳴りつけた。
今まで俺の性格は冷めていると思ってきている元の世界のやつらたちは、俺がこんなに怒鳴っているところなんて見たことないだろう。しかし、知らない世界に来てしまい、しかも約一時間で犯罪ザタ・・。
俺は微塵も『罪を犯した』という意識がなかったため、そんなことより、早く太陽の光を浴びたい気分でいっぱいだった。
結局、俺の処置は『大神官』と呼ばれている男に委ねるらしい。女・・・レイナさんというらしいが、『呼び出したのはあの方なので、今回は大丈夫だと思いますよ?』と笑顔で俺に行ってきた。
当然だろう、と俺がホッと息をつくと、前を歩く彩都と男・・・アーテルに気づかれないように、彼女は口元を俺の右耳に寄せてきた。その吐息は暖かかった。それと耳元で大きな声を出されるとも思ったが。
しかし、彼女はとても小さな声で行ってきたのだった。
「中で・・・何を見たとしても、わからないフリをするのですよ」