大会の厳しさ
「はぁ、やっぱり厳しいか」
コーチになってから2週間。なかなか成長している様子がうかがえない。
レシーブはすぐうまくなるものではないというのはわかってるのだが、成長していない現実の厳しさを痛感する。
「おーいお前ら。とりあえずまずは体力を作らなくちゃ意味がない。」
「近くにでっかい公園があるだろ。あそこを十周してこい」
一気にため息や文句が体育館に響き渡る。
でも仕方がない。MBを中心に体力がない。
だが今は4月中旬、インターハイ予選は5月9日である。
時間がない。
「おーいお前らちょっと集まれ。」
最近のこいつらは声は出ている。
あとはレシーブができればとりあえず中堅ぐらいにはなれるだろう。
「お前らはレシーブが下手だ、だがこれはすぐにはどうにもならない。」
「だが!!練習をたくさんすれば期間が短くなる」
「ってことで、お前らは今日から外周の後、ずっとレシーブだ」
意外にもいつものため息や文句は出なかった。
こいつらも、よくわかっていたようだ。
「はぁー、やっぱうまくいくわけないか」
あれから2週間レシーブがうまくなってきたやつも出てきたが、まだチーム全体のレベルが上がったわけではない。
インターハイ予選の組み合わせ表が出るのは明日。
福岡は地区予選からになるからまずは地区予選で勝ち上がらなければならない。
地区予選の組み合わせ表が出た。
うちの高校名は片山高校。片山は第一回戦は同じレベルの高校と対戦する。
最大限とはいかなくても本気を出せば勝てる相手だ。
だが、うちの高校はシード校に当たる。そしてその高校の名前は
"有京高校"
春高全国大会決勝戦で俺が戦った時に敗れた因縁の相手。
と言いたいところだが当然今と同じ選手はいない。
と思っていたのだが。
もともと佐賀にある高校だったが今は福岡に移転している。
昔よりは劣っているらしいが去年の春高に出場している高校である。
さっそく俺は選手たちを呼んだ。
「お前ら、一回戦はお前らだったら勝てるはずの相手だ、だが油断するんじゃねぇぞ」
「そして一回戦を勝ち上がれば、次はシード校だ。」
今回は大きなため息が出た。
だが無理もない。うちはようやく中堅ぐらいになったばっかりで実力も経験もない。
だが俺はため息が出るのはわかるが俺は別の子を思っている。
「お前らよりずっと強い高校だ、たくさんの応援の中苦しい戦いだろう。」
「言いたくはないが、たぶん負けるだろう。
だがな、強い相手と戦えるってのは、これ以上ないほど強くなれるチャンスなんだぞ」
少しだけ、こいつらの表情が前向きになった気がした。
「よーし。やるかぁぁぁ!」
いつもは自称ムードメーカーだが、今回は“自称”が抜けていた。
本物のムードメーカーだ。
だが、やはり現実は残酷だ。
次回インターハイ予選( 1 )




