表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約は破棄されましたが、私は静かに身を引いただけです  作者: リリア・ノワール


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/62

第58話 広がる範囲

その知らせは、

大げさな形では届かなかった。


「……別の地域からも、

 同じような相談が来ています」


控えめな報告。


期待よりも、

確認に近い声だった。


私は、

書類から目を上げた。


「正式な依頼、

 というほどではありませんね」


「はい」


「話を聞いてほしい、

 という段階です」


それで、

十分だった。


私は、

すぐに答えを出さなかった。


広がる、ということは、

引き受ける、ということではない。


まずは、

距離を測る。


「現地で、

 同じ形を求めていますか」


「いえ。

 様子を知りたい、

 という程度です」


私は、

小さく頷いた。


「では」


静かに言う。


「こちらから

 何かを提示することは

 しません」


「必要なら、

 話は聞きます」


「ただし、

 関わり方は

 その都度考えます」


広げる前に、

輪郭を曖昧にする。


午後、

庭に出る。


空は高く、

風は穏やかだった。


私は、

歩きながら思う。


以前の私なら、

期待に応えようとしていた。


今は、

応えない選択も

自然に持てている。


「何か、

 増えそうですか」


庭で会った彼が、

そう尋ねた。


「少しだけ」


私は、

簡潔に答える。


「でも、

 急ぎません」


彼は、

短く頷いた。


「それで、

 十分です」


夕方、

机に向かう。


新しい書類は、

まだ一枚だけ。


白い紙が、

広がりを急がせない。


私は、

それをそのままにしておいた。


夜、

灯りを落とす前。


私は、

静かに思う。


範囲が広がるのは、

立場が上がることではない。


ただ、

届く距離が

少し伸びただけだ。


それを、

自分の大きさだと

勘違いしなければいい。


必要なら、

関わる。


必要でなければ、

引き受けない。


それだけの判断が、

自然にできるようになっている。


それが、

今日の変化だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ