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Chapter1-22

遼太郎達はなんとか、その日の内に築城を終わらせて、織田家本隊の使いの人々に城を受け渡すことができたのだ。


その日はだいぶ遅くなってもしまったので、清洲へ戻るより近いころの集落に宿泊する流れとなる。


翌日ころに別れを告げ、尾張清洲へ戻ると使番より登城するように言付かり、遼太郎一人評定の間へ向かうのであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーー





「遼太郎っ!よくぞ!よく成し遂げてくれた!」


評定の間に入るや否や、久遠が駆け寄って遼太郎に抱きついて来る。


これには遼太郎もびっくり。あわあわとしていると、他の武将からの目線が刺さることに気が付き、久遠を無理矢理剥がす。


「なんと感謝をすれば良いのか、言葉が浮かばんが………、本当にありがとうだ。遼太郎」


「ああ、けどこればっかしは俺一人じゃ何も出来なかったからさ。雇った野武士の人たちへの報奨よろしくね」


久遠から最大級に感謝をしめされるが、自身一人では打ち倒せなかったこと、そして自身の指揮下で死なせてしまった人がいたことを思い、謙遜ではなく本音で答える。


「そうか、もちろん任せてくれ。それとお前の言っていた蜂須賀転子の方も滞りなく進めてあるからな」


久遠からの言葉で、今回の自身の役目を終えたことを感じたのか遼太郎の体がガクッと前のめりになり倒れそうになる。


「ふふ、疲れているのだな。わざわざ朝から登城させてすまない。それに話によると我らが鬼と呼ぶ化け物も出現したと聞く。本当にお疲れ様だ、遼太郎」


今度は久遠が遼太郎を抱き止める形なる。


(いい匂いがするなぁ、薄荷かぁ。久遠のいい匂いだな)


久遠に抱き止められながら遼太郎はそんなことを思う。


「とにかく、これで美濃攻略に専念できる。遼太郎、お前はしっかり休んでくれ」


「ああ、ありがとう。そうさせてもらうよ」


そう言って、報告することも終えた遼太郎は踵を返して退出しようとする。


すると、久遠から呼び止められる。


そして遼太郎は巾着袋を渡された。


「それは我からの個別の祝いだ。好きに使ってくれ」


遼太郎はその巾着袋を受けとる。中で擦れる音からどうやら金属、お金が入っているようだ。


「了解、ありがとさん。それじゃ先に戻ってるよ」


そうして遼太郎は退出して、ころの仕官と作戦成功のお祝いを三人しようかと考えるのであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーー





「遼太郎様ー!あ、あのこの度は仕官への口添え誠にありがとうございます!」


城門をくぐると、待っていたかのようにころが立っていた。


「あれ?早いね、もう知ってたのかぁ」


「ええ、今朝遼太郎様たちと入れ替わりで久遠様の知らせの使いが参りまして…、本当にどのようにお礼をすればよいか……」


「そんなのはいいって、あの作戦、戦を乗りきった仲間なんだからさ」


ころの言葉に遼太郎は首を振って断る。


「そうだよ、ころちゃん!でも、……えへへ!これからころちゃんと一緒に居られるね♪」


ひよがころの手をとって嬉しそうに上下に振る。


そう、久遠との取り決めではころが織田家に仕官する場合、そのあづかりを遼太郎がすることが条件なのであったのだ。


「そうだね、これからは遼太郎様の部隊、通称及川隊所属となりますね。ですからお、お頭今日からよろしくお願いします!」


ころが遼太郎の正式な部下となったことで、転子が遼太郎をお頭呼びする。


「それに、及川隊専用の長屋も作られたんですよ!これでころちゃんのお鍋が何時でも食べられるよ♪お鍋食べ放題~………じゅるる」


ひよが妄想のあまり涎を垂らしそうになる。そしてひよの言う通り久遠の屋敷よりは小さくはなるがそれでも平屋四つほどの大きさとかなりのものである。


「あはは、お鍋はつくってあげるけどちゃんと手伝ってよ~」


そんなひよにころが軽く突っ込みをする。


どうやら、遼太郎が評定の間に言っている間にひよ子が事務作業を進めておいてくれたらしい。そして遼太郎本人が知らぬ間に及川隊と言う部隊がしっかり確立されていたのだ。


(まぁ、仕方ないよな……、この世界で生活してくなら何かを伴って当然か…)


遼太郎は前方を楽しそうに歩く二人の後を追いながら一人考え込でいるところだった。


「お頭ー!これからころちゃんの及川隊入隊とか作戦成功を祝ってパァーっとやりませんか?」


ひよが振り向いて遼太郎に提案する。


「おっ、いいねぇ!俺もちょうど考えてたところでさ」


「あっ、あうぅ。ですがお頭~、豪勢にパァーとやるおぜぜがありませんよ~」


ひよの言葉に遼太郎が先ほど久遠からもらったものに気がつく。


「そう言えばさっき久遠からのこれもらったんだけど、これで足りるかな?」


そう言って遼太郎はひよに巾着袋を渡し、中を確認してもらう。


「………ひ、ひぃー!」


すると巾着袋を確認したひよから悲鳴が上がる。


「えっ!?どうした?何かを変なものでも入ってた?」


久遠ならやりかねない、そんな風に思う遼太郎であったが…


「違いますよぅ~、ほらころちゃんもこれ見て」


「んー、なになに巾着の中身がどうか……………ひぃ!」


ひよに引き続きころまでもが巾着袋の中を見て驚く。


(変なものじゃないのに何で驚くんだ?)


一人蚊帳の外の遼太郎である。


「お頭、これ小粒金がこの巾着にじゃらじゃら入っているんですけど………」


ようやく少し落ち着いたのかひよが遼太郎に尋ねてくる。


「え?小粒金……?お金だよね?これってそんなに凄いの?」


まだ、この世の常識や価値観に疎い遼太郎はそれがいまいちわからない。


「そうですけど…、小粒金ってこれで一粒で余裕で一ヶ月飲み食いできちゃうんですよ……?」


「へ?えええぇぇーー!!!?」


そう、それほど価値のある小粒金を巾着一袋単位で久遠はポンっと渡したのだ。今更ながらに織田家の財産力と言うものに驚く遼太郎であった。


「まぁ、価値のわからない俺がお金を管理するわけには行かないからな。ひよ、それ渡すからよろしく頼むよ!」


「ええぇぇーー!?」


遼太郎の軽い気持ちの言葉にひよが絶叫してしまう。


「ちょっ、お頭!そんなちょっと無責任なのは困りますよ!」


これには野武士生活の長い間ころが遼太郎を注意する。


「そんなことをいってもなぁ、わからないもんはなぁ……あはは」


遼太郎とて努力はするが、計算が得意なひよに任せる方が良いと心では思ってしまうのである


「もう、こんなのじゃ私たち路頭に迷っちゃいますよぉ…。貧乏まっしぐらです…」


ひよが困ったように口にする。


「今日はその辺のことしっかり教えさせていただきますので。いいよね?ひよ?」


「はい!お金がどれほど大事かお説教です!逃がしませんよ♪」


ころとひよが一致団結したように遼太郎に迫る。


「あはは、まぁほどほどに頼むよ…」


そう遼太郎が言うと、二人は顔を見合わせて笑いあって遼太郎の手を引いていく。









当初二人と出会った時に抱いていたであろう身分という壁、それをあの作戦を乗り越えたことでなくなったかのように思う遼太郎。


そして遼太郎はこの先の見えない未来に思いを馳せる。


(いったいこの先に何が起こるんだろうなあ)



先の分からない未来や、化け物の驚異、もしくは未知なる敵との遭遇の可能性に、遼太郎は少し不安になる。


しかし遼太郎今回一人ではなく、ひよところ、この時代の人たちと共に成し遂げたことを強く心に抱き止める。


(久遠に報いて、助けになってあげたいよな)


そしてこの地にやって来た際に拾ってくれた久遠ことを思い浮かべる。



遼太郎が、この時代での物語を面白くするのか、はたまた退屈なものとするのかは遼太郎次第であるのだ。



さぁ、物語の幕を開けよう!









原作ではここまでが1章となり、この後オープニングが流れます。下にそのオープニングのリンクを載せておきますので是非雰囲気を味わっていただけると嬉しいです。(公式の方は年齢制限でリンク表示出来ませんでした)



https://youtu.be/x7DiCN4O2to




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