2-11 救済の福音
すみません。昨日予約投稿するの忘れてました。
なので、今日は18時にもう1話投稿します。
「……分かった。そこまで言うなら、皆を奴隷にするよ」
『?!』
そこまでして、俺の傍に居る事を望んでくれるのなら、俺としても嬉しくない筈がない。
勿論、答えはイエスだ。
それを聞くと、ディータが「ぅし!」と小さくガッツポーズをする。
ヤマトは微笑み、双子ドライアドは、お互いにハイタッチ。
魔人族の男と兎人の女は無表情だったが、僅かに口角が上がっていた。
ドワーフの男は、何度も地面に擦り付けて、頭を下げながら「有難うごぜぃやす」と礼を言い、コロボックルは、人族の男性ーーヤマトとは別の、超身長でガタイの良い美丈夫ーーと抱き合いながら、滂沱の涙を流していた。
見かけによらず、あのデカい男は涙脆そうだ。
包帯ぐるぐる巻きは………………うん。表情は見えないけど、多分?喜んでるかな?
そう思ったのだが、どうやら違ったようだ。
俺が苦笑しつつ、皆の様子を伺っていると、包帯ぐるぐる巻き男(女?)が、何やらボソボソと話し出した。
「ぁ……ぅ……」
「ん?どうかしたのか?」
傍にいたディータが、彼(彼女?)の口に耳を近づけ、言葉を拾う。
ディータの顔が、見る見る暗くなる。
「?」
言葉がこちらまで届かないので、全く何を喋ってるのか、俺には分からない。
一通り包帯ぐるぐる巻きから、話を聞き終わったディータが、こちらを振り向く。
その顔は、先程までの歓喜に満ちた顔と違って、不安そうだった。
「……こいつが言うには、本当に自分も、奴隷になってもいいのか、と……」
「ん?どう言う事?俺は自分の言った言葉には、ちゃんと責任は持つつもりだよ?」
「いや……その……こいつは見ての通り、こんなんだから…………本人も、どうせ役に立たないだろうし、そんなんならいっその事……」
そこで、ディータが言わんとしてる事の意味を理解した。
「ああ、なるほど。それなら……」
しかし、俺の言葉は、ディータによって遮られた。
「た、頼む!こいつの面倒は、ちゃんと俺が責任を持つ!だからっ!」
「わ、私も!私もこんなんだけど、彼女のフォローはする、します!ね!兄さん?」
「ああ!ちゃんとすると約束する!」
包帯ぐるぐる巻きは、どうやら女性らしい。
いや、まあ今気にする所は、そこじゃないんだけど。
皆が、彼女を庇う。
自分達が面倒を見るから、一緒にいさせて欲しいと。
仲間思いの、いい奴らだ。
…………だだ、人の話は最後まで聞いて欲しい。
「分かった分かった。取り敢えず落ち着いて」
このままでは、話が進まない。
何とか皆を宥めて、黙らせる。
「別に俺は、彼女だけを除け者にしようだなんて、思ってないよ?」
「……本当か?」
疑り深いなー。
「ほんとほんと。無問題!」
「も、もー……??」
「あー……うん。そこは気にしないで」
地球ネタ?です。はい。
「コホン。気を取り直して、その事なら本当に問題ないよ。何せ、今から治す(・・)から」
「…………………………は?」
ディータが、「何言ってんだ?こいつ」って顔をする。
他も、似たり寄ったりな表情だ。
まあ、気持ちは分からなくはない。
この世界の『一般常識』では、まず有り得ない事だからね。
「まあまあ。取り敢えず、先ずは皆一箇所に集まってくれる?」
だからこそ、百聞は一見に如かず。
聞くよりも、実際に見た方が早い。
皆は、俺が今から何をするか理解出来てなかったが、それでも俺の言う事に従い、一塊になる。
それを確認した俺は、皆に向けてある『魔法名』を口にした。
「〈救済の福音〉」
【救済の福音】ーー欠損すらも治す事が出来る、最上級回復魔法。
この世界にある【回復魔法】には、怪我を治す〈治癒魔法〉と、毒を中和する〈解毒魔法〉の二種類がある。
そのどちらも下級から上級まであり、それにより、治し方の度合いが違ってくる。
しかし、怪我を治す方の〈|治癒魔法〉は、あくまでも『傷』を癒すもの。
例えば、肉がごっそり抉られていたり、体の部位が切り落とされ、その部位が消失したなどでは、治す事は不可能だ(但し、部位が残っていれば、そこにくっつけてヒールをかければ治す事が可能)。
それに、時間が経ちすぎてる傷も治す事は難しい。
だからこそ、この世界の住人にとっては、『部位欠損』を治す事は不可能であり、その考えが一般常識であった。
…………………………そう。この時までは。
十人の上空に魔法陣が浮かぶ。
そこから、キラキラと光の粒子が十人に降りかかり、十人の体を優しく仄かな光が包み込む。
その光が収まると、そこには、元の十人の姿があった。
誰しもが唖然としている。
自分の体を見て、隣の人の体を見て……そして固まる。
暫く、誰も口を開かなかった。
最初に動き出したのは、双子ドライアドの妹だった。
機械仕掛けのように、ギギギ・・・と首を動かし、右手を上げて自身の片割れに話し掛ける。
「…………ねえ?兄さん?私の右腕があるように見えるんだけど……」
「あ、ああ…………俺にもそう見える」
信じられない目で、兄が妹の右腕を凝視する。
「…………目が……見える」
ヤマトの両瞼の裏には、アメジストのように綺麗な紫の瞳が、しっかりと存在を主張していた。
「あの女に付けられた傷が……治ってやがる」
「アッシの、折られた足も……」
「ぼ、ボク、も……」
人族、ドワーフ、コロボックルと続き、それぞれが自身に付いた傷を確認しては呟く。
魔人が喉を押さえ、驚愕に目を見開き、兎人は自身の股間を押さえ………………って、え?ぇえ?!あ、あれ?もしかして……。
い、いや、本人の名誉の為に、突っ込まない方が良いだろう。
そして、誰よりも激減に変化したのは、当然……
「お、お前……それ……」
「ぅ……ぁ……あぁ……」
彼女を包んでいた包帯が緩み、ハラリと地面に落ちると、その本来の姿が顕になった。
瞬間、先程よりも、大きな歓声が沸き起こった。。
全員がお互いに抱き合い、滂沱の涙を流しながら、喜びを分かち合うのだった。
少しでも面白いと感じて下さったら、ブクマや評価をお願いしますm(_ _)m
更にやる気が上がりますので♪




