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ミンジェ課長の秘密  作者: Furi0804


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11/11

第11話 触れない距離

仮婚約から数週間が経った頃。ジミンは徐々に気づき始めていた。




この「仮の婚約者」という関係は、表向きは何も変わらないどころか、むしろ以前より距離が感じられるようになっていた。




ある夜、残業が終わってタクシーに乗り込んだ時、


ミンジェが珍しく先に口を開いた。




「明日のプレゼン資料、問題ないか」


「……はい。大丈夫です」




短いやり取りだけで会話は終わる。ジミンは窓の外を眺めながら、唇を軽く噛んだ。




(仮婚約者なのに……なんでこんなに事務的?持ちかけてきたのはミンジェ課長なのに……)




タクシーが赤信号で止まった瞬間、ミンジェの指がジミンの膝近くで止まった。


一瞬だけ。




でも結局、何も触れずにまた膝に戻る。


そのわずかな動きに、ジミンの心臓が跳ねた。


ミンジェはまっすぐ前を見ている。




(……今、触れようとした?それとも気のせい?)




家に着いてタクシーを降りる時、ミンジェはいつものように短く言った。




「おやすみ」




ジミンは振り返って小さく頭を下げた。




「……おやすみなさい、課長」




ドアを閉め、ジミンはその場に少しの間立ち尽くした。




(3ヶ月……このまま何もないまま終わるの?それとも……)




その夜も、ジミンは夢を見た。夢の中でミンジェは彼女の前に立ち、今度は正面からそっと抱き寄せて——




目が覚めた瞬間、ジミンは枕を抱きしめて小さく呻いた。




「……もう、ほんとにヤバい」




***************




一方、ミンジェは——自宅のベッドで天井を見つめながら、静かに息を吐いていた。




(ジミン……)




あのタクシーの中で、膝に触れそうになった自分の指を思い出す。


由布院の一件以来、彼女のことを考えるだけで体が熱くなる。




以前から、ジミンのことが目についていた。




何度も資料を直しては、あきらめずに提出してくる姿。


クライアントの前で小さくなっても、決して意見を曲げないところ。


そんな彼女を、ただの部下として見ているつもりだった。




……本当は、ずっと前から気になっていた。


だからあの日、湯気の中で彼女の裸を背中で隠した瞬間、今まで抑え込んでいた感情が、一気に溢れ出した。


しかし、中途半端に手を出して、彼女を傷つけるわけにはいかない。




(もう二度と同じ過ちは繰り返さない。


3ヶ月……ちゃんと確かめないと)




ミンジェは目を閉じた。指先が、シーツを軽く握りしめていた。



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