第4話 知夏_勝てる場所を選んだだけ
人妻専門渋谷店は『人妻と一時の不倫を楽しむ』をお店のコンセプトにしており、20年近く営業している老舗だ。ここまで長く営業してこられたのは、事務スタッフをしているおかげで知ったことだが、在籍しているキャストのほとんどがガチの人妻だからだ。私みたいな結婚歴がない未婚女性キャストは数えるほどしかいない。
清楚な人妻と会えることをウリにしているので、ネットに掲載されているキャストの写真は風俗店にありがちな下着姿ではなく、キレイ系の服装を着ている。写メ日記は、下着姿の写真をアップしている人もいるが、際どくないアングルのものばかり。あまりにも際どい写真は店長が下品、店の品位を下げるとして指導をしている。
ここではではキャストの取り分は70%、オプションは100%と条件が良い。ロングコースを利用する客が驚くほど多く、1日1人客を取れば、十分に稼げるので体力的にも楽だ。
待機室は無いが指定された場所から1時間で移動できる距離なら待機場所はどこでも良く、家庭の事情がある場合は多少家が遠くても自宅待機が可能なことも好条件の一つだ。
写メ日記を見る限り、1年以上更新し続けているキャストが多いことから、長く在籍しやすい、つまり稼ぎやすい、と判断してこのお店で働くことを決意した。
友人からは高級店の方が稼げるのではないか、と言われたことがあるが、高級店は最初から除外している。なぜなら高級店はキャストにハイスペックな容姿を求めるからだ。私は残念ながら自身の容姿が高級店では、決して通用しないレベルであることは良くわかっているので、勝ち目がない土俵には登らない。
しかし、私は自分の容姿を突出して優れているわけではないが、かといって目も当てられないほどのブス、というわけでもない、と評価している。そのため、多少高めの店舗でもおそらくやっていけるはずと考えた。
そして、結果的には私の予想は当たった。今のお店に移ってから私の月給は、会社員時代とは比べ物にならないくらい高給取りになった。




