第18話 知夏_驚きのアナログ文化
しかし、店長や事務スタッフがどんなに頑張っても指名がつかないキャストが出てくる場合がある。そういった場合は、姉妹店で協力し、指名なしのフリーということでお客様をつける。その際の藤本店長がお客様に言う決まり文句は
「最高の女性を向かわせますので、楽しみにお待ちください」
である。しかし、私から言わせれば、最高の女性なら本指名、つまりリピート客を抱えているのだから、客がつかないわけがない、と毎度思ってしまう。
お客様と合流しホテルに入室、もしくはお客様の自宅についたらお店に連絡をする。そこでコース内容の時間と料金の確認をとり、お客様からお代を頂く。
クレジットカード決済をされている場合は、お店に報告するだけで良い。お給料の清算は、事務所で行うか振込のどちらかを選べる。
振込清算の場合は手数料が千円かかるが、事務所が渋谷から絶妙に離れているため、往復の交通費と所要時間を加味して振込清算を希望するキャストは存外多い。
そして、今のお店は風俗店とは思えないほどしっかりした体制のため、領収書管理もキチンと行う。キャストには仕事の報酬が発生するたびに2枚の書類にサインを頂く。
1枚目は1か月分のシフト表。出勤した日、指名が何本ついたか、指名ごとのキャストの取り分を記載したものである。1か月が終わる頃にはそのキャストがいつ出勤し、いくら稼いだのか管理できる。
2枚目は領収書。出勤した日に稼いだ手取りの金額を領収書に記載し、裏に明細を記載する。1枚目のシフト表と金額の齟齬が無いことを確認してもらい、領収書にもサインをもらう。
この時、1枚の領収書は5万以内の金額でないとならないため、5万以上の稼ぎがある場合はコース時間を加味して上手く2枚に分けなければならない。
1か月が終わると、シフト表と領収書に齟齬が無いか全員分の確認作業を行う。渋谷店は在籍キャストが100人を超えているにも関わらず、全て手作業である。
電卓を叩きながら確認を行い、シフト表はコピーをとり、領収書と一緒に在籍キャストごとにホチキスで止める。全員分の確認が終わると、店舗ごとの提出ボックスにまとめて書類を提出して会社で管理をする。
なんて昭和すぎる社内文化なのだろう!信じられないほどのアナログである。
これを翌月5日までに完了させる必要があるため、月初めはとんでもなく忙しい。振込清算をしているキャストも、事務所で領収書にサインをしてもらわなければ退店になるので、なるべくキャスト同士の来訪がかぶらないようにスケジュール調整も必要になってくる。




