第74話長い戦いが終わりを告げる
お読みいただきありがとうございます!前回、ミキラの容赦ない『急所撃ち抜き光魔法』が炸裂したところで終わりましたが……(笑)。ついに長かったS級魔物との戦いに決着がつきます!激闘の終わりと、その後に待ち受ける王子たちの様子をどうぞお楽しみください!
長かった、本当に長かった魔物たちとの激しい戦いが、いま終わりを告げようとしていた。
「ミキラとオフィ、ミディのお陰で、
もうS級魔物も倒れそうだねぇ」
瀕死の状態で悶絶している化け物を見下ろし、カルトナージュが息一つ乱さずに歩み出る。
その綺麗な瞳には、冷徹な光が宿っていた。
「でも、地味に回復をしてるから面倒だなぁ。……だから、ササッと細胞を分解する魔法を使っちゃうからね?」
カルトナージュは静かに手をかざし、
その唇から絶対的な魔力を秘めた呪文を紡ぎ出す。
「魔法発動──我の願いを聞き届けよ。『グラム・ディスパージョン』」
カルトナージュが冷ややかな言葉とともに魔法を放った、その瞬間。
きらきらと輝く無数の細かい粒子がS級魔物の皮膚に吸い付き、その巨躯がパチパチと音を立てながら、少しずつ消えていく光景が広がっていった。
それは、ただ残酷に消滅するわけではなかった。 細胞を分解された魔物の身体は、まるで美しい祝福の光の粒のように、夜空へと高く舞い上がっていくの
だった。
きらきらと宙を舞う無数の光は、まるで戦いの終わりを祝う満天の星空のようで、思わず息を呑むほどに幻想的
だった。
あれほど凶悪だった気配は嘘のように消え去り、夜のグラウンドにはただ心地よい静けさだけが優しく広がっていく。 そうして、グラウンドから魔物の姿は完全になくなり、綺麗さっぱりと消え去っていった。
張り詰めていた空気が一気に抜け、みんなの顔に極限の疲労が浮かぶ。
その中で、最初に限界を迎えたのは
ミディティだった。
「あ〜〜疲れたぁ……。もう一歩も動けないよぉ。リリィーナちゃん、お姫様抱っこしてぇ……」
(ミディティの心の声:こんなに魔力を使うとは思わなかったなー。でも、リリィーナちゃんの回復のお陰でどうにかなったよ。本当にありがとう、リリィーナちゃん!)
ミディティは芝生の上にペタンとへたり込み、もう歩けないとばかりにリリィーナに全力で甘え始める。
一方、オフィカールはといえば──
なんと、まさかの『立ち寝』をキメていた。 それもそのはず、先ほど一瞬で覚醒したゆえに、体内の魔力を限界まで使い果たしたのだ。
一気に押し寄せた疲労のせいで、立ったまま寝落ちしてしまったのである。
「ぐぅー、がっ……ぐぅ、ぐぅ……」
器用に直立不動で爆睡するオフィカールをスルーして、今度はカルトナージュがリリィーナへと歩み寄ってきた。
その目的は、もちろん「ご褒美」だ。
「ねぇ、リリィーナ、僕頑張ったよ?
だからご褒美にキス──リリィーナからキスしてよ。それなら僕、大満足しちゃうからさ」
(カルトナージュの心の声:ふぅ。一時期はどうなるか不安になって、みんなに迷惑をかけちゃったけど……これだけ頑張ったんだから、特別なご褒美をもらってもいいよね?)
カルトナージュは疲れきった儚げな顔を作っているものの、リリィーナの目には「ただ単にドサクサに紛れてキスがしたいだけ」にしか見えなかった。
(リリィーナの心の声:いやいやいや待って! あれは……カルトが危険だと思ったからピンチを助けただけであって、そういう恋愛的な好意があった訳じゃあないからーーーっ!)
カルトナージュの熱すぎる視線に圧倒され、リリィーナは慌てて後ろに下がる。しかし、運悪く足元がもつれて、
そのまま芝生の上に尻もちをついて
しまった。
完全に逃げ場を失ったリリィーナに、カルトナージュがさらにじりじりと距離を詰めていく。
そんなカオス極まりない戦場跡地を見て、深いため息をついたのはミキラ
だった。
「はぁ……。私はこの状況を報告しに先生を呼んできますので、四人とも大人しくそこにいてくださいね?」
ミキラは状況報告のために先生を呼びに行こうとした──のだが。 残していくメンバーの様子がどうにも心配で堪らなくなり、結局最後は「お前ら大人しくしてろよ!」と言わんばかりに、
猛ダッシュで走って行ってしまうのだった。
最後までお読みいただきありがとうございました!ついにS級魔物討伐完了です!頼りになるけれど、やっぱり心の声が重たくて執着の激しい王子たちでした(笑)。少しでも「面白い」「続きが気になる!」と思っておいただけましたら、モチベーション維持のために【ブックマーク登録】や【評価(星をポチッと!)】で応援していただけると非常に嬉しいです!次回の第75話もどうぞよろしくお願いいたします!




