第6話一体私に何が起こったの?
ご覧いただきありがとうございます!第5話のラスト、王子様の全力フェロモンの直撃を受けてしまった主人公。絶体絶命のピンチですが、ここでついに、彼女の内に眠る『ある異変』が巻き起こります――。いつものコメディとは一味違う、ちょっとゾクゾクする展開をお楽しみください!
強烈な匂いのせいで、鼻がおかしく
なってしまったのだと思う。
……でも、違う。 視界がぐにゃりと歪み――私はその場に、カクッと意識を無くしてしまった。
「――っははは! さすがにこの俺様の全力フェロモンには、勝て
なかったか!!」 目の前で、オレ様
王子が勝ち誇ったように高笑いする声が聞こえる。 同時に、彼の興奮しきった本音が脳裏に響いた。
(てめぇの力はそんなものなのかよ! もっと俺を楽しませろよぉっ!)「…………っふふ」 ――その時だった。 意識を失い、床に倒れるはずだった私の身体が、ゆっくりと立ち上がった。 頭はぼんやりとしていて、自分の身体なのに、まるで違う誰かが中に入り込んでいるかのような、奇妙な感覚。 うつむいた私の口元から、自然と冷徹な笑みがこぼれ落ちる。
「なーに? さっきまで威勢が良かったのに、もう終わりなの? そんなに歯をガタガタ言わせて……ふふ、あなたは
これだけでいいわ」
私がフッと細い指先を掲げると、体育館中の空気が激しく震動した。 大気中のエネルギーが巻き取られ、私の手元に
凄まじい密度の巨大魔力が集まって
いく。 集められた凶悪な魔力は、
限界まで超圧縮され、まるでキラキラと輝く『飴玉』のように小さく変化した。「な……んだ、この魔力は……っ!? こ、れ、があの女の真の力
なのかっ……!」 目の前の王子が、
恐怖に顔を青ざめさせながら絶叫する。 彼の脳裏には、本能的な生命の危機
(恐怖)が駆け巡っていた。
(魔力が強すぎるじゃねえか……!! この学園のトップクラス、いや、国中の誰よりも圧倒的な魔力量だ……っ!) 怯える王子をよそに、私は手の中の魔力の飴玉に向かって、静かに呪文を唱え始める。「精霊の名のもとに……この不浄なフェロモンを消し去れ。そして――皆を休ませて……っ」
(これが、今の私にできること。それは『もう一人の私』が願っていることでもある。……だけど、この力を使えば、
私はまた深い眠りにつくことに
なるのね) パチン、と指先で
飴玉を弾く。 その瞬間、体育館中を
包み込んでいたおどろおどろしい熱気とフェロモンが、一瞬にして爽やかな光の粒子となって消滅した。 それと同時に、苦しんでいた生徒たちが、まるで
優しい子守唄を聴かされたかのように、すやすやと穏やかな眠りに落ちていく。「なんだと……!? 俺と戦うんじゃねえのかよ……!?」
攻撃されると覚悟していたオレ様王子は、ぽかんと口を開けた。 しかし次の瞬間、彼は狂ったように笑い声を
上げる。
「ハハッ……! やっぱりお前、おもしれー女だ!!」
(どんな恐ろしい攻撃魔法が来るかと思ったが、まさか全員を救う魔法だったとはな。……だが、もし次にまたこんなことが起きたら、今日みたいに平和に終わることはねえ。お前は俺が、絶対に
手に入れる……!)
光の粒子が消え去ると同時に、私の身体からスウッと力が抜けていく。
カクン、と視界が大きく揺れて――私はハッと我に返った。「……え? あれ? 私、一体何をしてたの……?」 頭を抑えて周囲を見渡すと、体育館の全員が床で気持ちよさそうに眠りこけ
ている。 そして目の前では、名も知らないオレ様王子が、なぜか顔を真っ赤にして私をギラギラとした目で見つめ
ていた。
(わ、わわわっ! なんでみんな寝ちゃってるの!? っていうか、この
王子様、さっきより目が怖くなってるよぉぉーーー!?)
自分のしでかした(?)規格外の奇跡に気付かぬまま、私はただただ恐怖に震えることしかできなかった――。
第6話までお読みいただき、本当にありがとうございました!ついに目覚めてしまった、主人公の圧倒的な『真の力』……!巨大な魔力を飴玉サイズに圧縮するチート能力を発動し、攻撃ではなく全員を救う魔法を放つ姿に、オレ様王子も完全にハートを撃ち抜かれてしまったようです。しかし、元の「天然な私」に戻った主人公は、自分のしでかしたことに全く気づいておらず、さらに恐怖に震えるという温度差……(笑)。次回、第7話では、この光景を壇上から特等席で見つめていた【残り三人の王子様たち】が、ついに本格的に動き出します!圧倒的な魔力を見せつけた主人公を巡り、四人の王子たちによる『奪い合い』がさらに激化していくことに――!?「真の姿がカッコよかった!」「早く続きの奪い合いが見たい!」と思ってくださった方は、ぜひページ下部の【ブックマーク登録】や、評価の【☆☆☆☆☆】を★★★★★にして応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!




