応援
「ルイン殿下はどこまで知っていてどこまで関わってらっしゃるの?」
「子爵のトリップ、女性の国外売却。伯爵の非合法な賭博。ほぼ全て関わっているし知っている」
「伯爵の軍事機密の売却は?」
私がそういうと、ルイン殿下は驚愕した。
「ぐ、軍事機密の売却?!」
「えぇ、帝国へ定期的に騎士団や魔法師団等々の情報を、それはもう高額な値段で売却しているようですよ?」
私がそういうと、ルイン殿下は固まり、そして後ろによろめきながら木に寄りかかった。
「ほ、本当か?」
「ええ、必要であれば証拠も差し上げますわ。今回のお礼です」
「証拠まで押さえてるのか?!」
「後でお渡ししますわ。ルイン殿下は私達のことをどこまでお知りなのですか?」
「脚力強化に準ずるスキル持ちが2人。郵便配達と義賊の実行者。ウトリルの開発元。孤児の就業支援の出資元。これぐらいだ」
「あら、やってきたことは特定されていてびっくりですわ。でも情報は浅そうですね」
「あぁ、君達がすごすぎるんだよ」
「ありがとうございます。ですが私達は国に恭順するつもりはございません。それが私の見てきたこの国に対する答えです」
私がそう言うとルイン殿下は空を見上げた。
「本当、腐った国だよな。俺も嫌になる。どうしてこんな状況になるまで放ってきたのか、父上含む歴代の王に恨みすら感じるよ」
随分とはっちゃけたことをおっしゃる王子様ですね…。
王子様がそんなこと言ったら、殺されちゃいますわよ。
「それはまた随分な。でもそのようなことはおっしゃらない方がいいのでは?」
「俺の侵入に気付くほどの警備だぞ? そうそう聞かれるやつが近くにいるわけあるまい。聞いていたとしてもそれは君の仲間だ、問題ない」
頭がいいとは思ってましたが随分と回転がいいわ。
こういう人が王になればいいんじゃないからしら…。
私がそんなことを考えているとルイン殿下は話し出した。
「俺は、君が帝国と繋がっているんじゃないかと疑っていた」
「私が?」
「あぁ。郵便で貴族の家の警備と戦力を調べ、義賊で民衆の心を掴み、ウトリルで経済を回収し、就業支援で詳細地図の作成。そんな筋書きを思い浮かべていた」
「まぁ…言われてみれば辻褄はあいますが、それはなんとも残念な考え方ですね」
私が呆れたように言うと、ルイン殿下は苦笑して、
「ははは、そうだよ。随分残念だったね。でも、サシェル義兄様、フィレス公爵に諭され、君の本当の意思が知りたいと思ったんだ」
「まぁフィレス公爵が。そんなこと教えてくれませんでしたわ」
「王子との会話の内容は秘匿事項だからな」
「それはそうなんでしょうね」
「君は守りたいんだね?」
「ええ、よくおわかりになりましたね」
「あぁ、今回自分の行動を振り返って分かったよ。俺は今回私情で動いた。君の瞳の奥にある優しさと悲しさはなんなのか。それが知りたくてね」
「そんなものあるのかしら」
「それでやっとわかったよ。ある側面から見れば、良く見えることだってあるということが。まぁ、子爵や伯爵はどの側面から見ても悪だけどな」
「それはそうですわね」
「改めて、君がその仲間たちを守りたいと思っているという前提で考えると、全て辻褄が合ったよ」
「そうでしたか」
「俺は王になるつもりはない」
「もったいないですわね」
「しかし、守れる力は持っているはずだ。これからも精進する。フィオラ嬢、どうか俺に君もその仲間も守らせてくれないか?」
ルイン殿下はそう言うと、私に手を差し出した。
「ふふ、お気持ちだけで結構ですわ」
「…そうか」
ルイン殿下は、少し残念そうに手を引いた。
「殿下のような方がいらっしゃることがわかっただけでも、発見ですわ。私達は、そんな殿下がこの国をどう正していくのか見守っておりますわ」
「ははは。それは、フィオラ嬢に認めてもらえるようにせねばなるまいな」
「期待しておりますわ」
「何か困ったことがあればいつでも連絡してくれ。君達なら王城だろうと余裕であろう?」
「ふふふ。買いかぶり過ぎですわ。ただ、余裕ですが」
「ははは。夜分にすまなかったね」
「いえ。あ、ルイン殿下」
「なんだい?」
「殿下がこの国を導けるように、応援の意味を込めて一つ教えて差し上げますわ」
「応援?」
私はそう言うと目に魔力を集め出した。
暗視
状態異常耐性
錬成
へぇ。
やっぱりこの人が王になった方がいいんじゃない?
状態異常耐性とか毒殺されないじゃない(笑)
錬成は何かを作り出せるのかしら…。
いいわね…。
私はそんなことを思いながら、魔力を集めるのをやめて、ルイン殿下に言った。
「暗視、状態異常耐性、錬成ですわ」
「は?」
「殿下のスキルです。これが私達の最大の秘密です。スキル3つもあることご存じなかったのでは?」
私がそう言うと、ルイン殿下は沈黙した。
そしてしばらくした後に、
「ま、まさか。スキルを見ることが出来るのか?」
「はい。なぜかはわかりません。私達の仲間は全員スキル持ち。教会の水晶ではわからないスキルも私には見えます。ちなみにライールさんもスキル3つありますよ?」
私がそう言うと、ルイン殿下は固まった。
まぁ最初は皆そうなるよね。
だって教会の水晶でしかわからないはずのものが、教会の水晶以上にわかるのだもの。




