義賊
ライールさんに今後の計画を話して5日ほど経った。
「さーて今日は何を作ろうかしら」
私は別宅のキッチンにリリアといる。
「そうだねー、私この前のカップケーキが食べたい!」
「あーあれね。もう少し甘さを控えめにして、オレンジとかをいれたら男の子でも好きそうね。そうしましょうか。できたらアリオン達の所に持って行きましょう」
「イエーイ!」
この5日ほどで生活の基本ができた。
朝起きてリリアと朝ごはんを食べて、それが終わったら拠点にいる子達に差し入れを作る。
そして昼食を食べて、拠点に行ってそれをみんなに配り、その後、私はライールさんに令嬢としての基礎を、リリアは使用人としての基礎を教えてもらう。
流石平民から騎士団長にまでなった人で、殆ど全ての貴族の嗜みを実践できる。
ライールさんの貴族っぽい挨拶を見た時には、いつもの気のいいおじさんとの違いにびっくりしたものだ。
そして夕方には別宅に戻り、リリアと夕食を食べて、リリアはそれから諜報活動へ。
私はそれまでに集めた情報から作戦を考える。
リリアと一緒の日常の生活が、こんなにも楽しいとは思ってなかった!!
そして昨日、初めて義賊としての行動を開始した。
まず一つ目は、王都の繁華街にある宿屋の地下での不法な監禁と売春の斡旋。そしてそれを見逃している警備隊長の関与。
リリアとアリオンとオフィールで事前にこの証拠も集めており、準備は万端。
セリスが近くに行る状態で、マントを被ったアリオンがどうどうと宿屋に入り売春のことを大声で話す。
するとアリオンに敵意が向く。
セリスがその役目をやる予定だったのだが、最近、自分が仲間と認めている人間へ向けられる敵意も感知できるようなったので、より安全なアリオンにその役目を変更しても、地下まで感知できる。
そしておおよその人数を把握し、アリオンが身体強化で目の前の敵意を拘束。
すると地下からも人が出てくるので、それらをアリオンがそのまま対処し、その隙にリリアが地下に行き、不当に監禁されている女性を解放。
そして全員捕まえたところで、遠くから音で状況を確認していたオフィールが、今回は警備隊長が関わっているので、城の衛兵の詰め所に証拠を投げ込む。
私達はその隙に、地下にあった資産から10%程を頂き、『活動資金として1割頂きます』と言うメモだけ置いて、退散。
これら全ての工程を約30分で実行した。
そしてそのまま、王都外れに拠点を持つ盗賊団のアジトへ向かう。
この盗賊団は、盗賊と言うよりもう人身売買屋さんで、可愛い子を王国内の色んな小さな村から攫ってきて、王都の貴族に販売している。
こちらは事前の調べで戦闘能力も結構あるようだったので、アリオンとリリアにセリスが火の属性を付与した短剣を渡した。
さっき同様アリオンが堂々とドアを開けると敵意がこちらに向き、セリスが感知。
リリアがそれをアリオンに伝え、二人は脚力強化をして、その場を次々に制圧。
その間に、裏からオフィールが脚力強化でアジトの3階の監禁場所に乗り込み、攫われてきた子供を救出。
そして全員を捕まえ、セリスが土属性を付与した特別なロープで縛るとあら不思議、地面と縄が一体化してしまい、切る以外どう頑張っても逃げれない。
土属性を付与してあるので切るのも一苦労だけど…。
そしてゆっくりと資産を確認し、同様にメモを残して10%程度を頂く。
そして全てが終わったらリリアが騎士団の訓練所に証拠と貴族への献金先名簿とアジトの位置を投げ込んで終了。
活動を終えたアリオンに来てもらい私を連れ出してもらって、拠点に全員が集まった。
「皆、お疲れ様。あっという間だったわね」
「余裕!」
リリアはニヤッと笑いながら言った。
「いやー盗賊団のおっさん変に避けるから、当たり所が悪くなってあんまり遅くなると死んじゃうかもなぁ」
とアリオンは頭をポリポリかきながら言った。
「まぁそれはしょうがないわ。でも、極力人は殺さないでね。やむを得ないときはしょうがないけど、あまりやりすぎると歯止めが利かなくなりそうだから」
「わかってる!」
「そして活動時間2時間ほどで、今日の稼ぎが3000万ゴルド程度…」
「「「「やったー!」」」」
皆、目標金額を一気に達成できて喜んでいる。
本当に1割ぐらいしかとってないのに、こんな金額になるなんて思ってなかった…。
「こんなに孤児や貧民がいるのに、お金があるとこにはびっくりするぐらいあるのね…」
「本当本当!」
「まさかこんな金額になるとは思わなかったわ…」
私が驚いているとライールさんが、
「俺はこんなもんだと思ってたぞ? 今回の盗賊団みたいな、昔から悪事を働いてきたところは、本当金持ってるからな」
「そういうものなのね…。というか昔から悪事を働いてるってわかってるなら取り締まりなさいよ」
「ああ、なんだ、昔は、騎士団員もあの盗賊団から賄賂もらってるやつがいたからな」
「本当腐ってるのね…」
「まぁ今回調べて今は騎士団へはないみたいだが、貴族はもらってるみたいだな」
「本当そんな人達いなくなればいいのに…」
「まぁもらって見逃してるだけだから、悪事かと言われると微妙なところだ…」
「うまいわね…」
私がそう言うと、リリアが、
「でもさ! これで一気に目標金額以上稼げちゃったじゃん?! これで例の計画始めるの?!」
と、ワクワクした目で話しかけてきた。
「えぇ。私の想定より半年ぐらい早いんだけど…私の住むジョルト子爵邸の別宅の地下に、外から入れる作戦拠点を作りましょう!」
と私がいうと皆大盛り上がりだ。
しばらくすると、
「なーフィオラ! この家はどうするんだ?」
とアリオンが思いついたように聞いてきた。
「この家はこのままライールさんに借りていてもらいましょう。皆の住む寮みたいな扱いで」
「その地下に住めるところ作ればいいんじゃねーのか?」
「私、皆には日の当たるところで生活していて欲しいの。私達はいいことではないのかもしれないけど、これまで国が見逃してきた王都の悪いことをしている人たちをやってけているの。皆には堂々としていて欲しい」
「そういうことか。まぁ俺等はどこでもいいんだけどな!」
アリオンはあっけらかんと笑いながら言った。
「んじゃ、秘密を厳守できる建築屋を探すかね」
と言い、皆が「オー!」と右腕をあげた。
こうして義賊活動1日目にして、計画の1つが実現しそうで、皆はそれはもう嬉しそうだった。




