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わたしの大切なおとうと  作者: 杏樹まじゅ
【第四章.赤いメガネの少女】
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【三十一.ふすま越しに】

作:アンジュ・まじゅ

絵:越乃かん

 こんこんこん。


「かいちゃん。聞こえる?」


 かいちゃん家の、可愛い小さなかいちゃんのお部屋の前で。すごくかわいい「かいりの部屋」のかいちゃん手作りプレート。かいちゃんは可愛い。昔から、ずっと、ずーっと可愛い。わたしはかいちゃんを守っただけ。だから、わかってくれる。かいちゃんなら、わかってくれる。

 ……わたしは、期(・)待(・)を(・)込(・)め(・)て(・)三回ノックした。


「おねえちゃん。心配で、来ちゃった」

「おねえちゃんっ? 何しに来たのよ、あっちへいってよ、来ないでよ!」


 案の定、かいちゃんは腹を立てている。……まあ、わからないでもない。お姉ちゃんだもの。おとうとの気持ちくらい、きちんと把握してある。きちんと、やさしくしてあげればかいちゃんはわかってくれる。いい子だもの。世界一いい子だもの。


「かいちゃん。かいちゃんはね、誤解してるんだよ」

「なにが誤解だよっ! ひとのもの盗って、奪って、なにが誤解よ!」


 はは。盗っただなんて。心外もいいところ。お姉ちゃんはね、見定めただけなの。大事な大事なおとうとだもの。その相手が相応しいかどうかは、わたしが決める。お姉ちゃんだもの。当然だわ。


「盗ってなんかないよ。あの人はね、かいちゃんに相応しくなかったの。かいちゃんを傷つける、悪い人だったの。だから、これでよかったんだよ」

「なにがよかったのよ、あっちへいってってば!」


 ……これは予想外。思ったより手強いなあ。……ふふふ、大丈夫。それも想定済み。ゆっくりゆっくり、時間をかけるの。お姉ちゃんはこう見えて、気は長い方なの。


 ……


「ひぐっ……ひぐっ……」

「聞いてかいちゃん。おねえちゃんはね、かいちゃんが何より大事なの」

「……ひっく……しつこいよぉ……」

「大事なかいちゃんが、傷ついたら大変でしょ。おねえちゃんがね、守ってあげるの。これからも、ずっと、ずっとね」


 ……


「ね、かいちゃん。かいちゃん? わかってくれたかなー? ねー? かいちゃーん?」

「……もう、いいよ……わかったよ……」


 わ! かいちゃんが心を開いてくれた!

 ふふん、どーだ、おとうとよ。これがお姉ちゃんの器の広さなのだー。

 しゃーっ。ふすまが開いた。

 可哀想に。勘違い屋さんのおとうとは、目を真っ赤に泣き腫らしている。


「よしよし、かいちゃん。可愛いかいちゃん。よしよし、いい子だね」

「……」

「これからも、ずっといっしょだよ。お姉ちゃんが、全部を決めてあげる。うふふふ。だからね、ずっと、ずーっと、いっしょだからね?」


「……」


「ね?」

挿絵(By みてみん)

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