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回収任務(1)

Project Homunculus No.003-POLE、それを観察する研究員の計6名を乗せたヘリコプターが今日本を発った。

class1でありながら超戦闘特化の因子を保有した実験体、FORCE。

過去に脱走した実験体の一人だが、とうとうベネズエラにいる関係者からそれらしき人物の目撃報告があった。

元々FORCEの被験体がベネズエラ出身であることから信憑性が高いと判断され、POLEに対して命令が下された。


「ったく、なぜ我々までこんな辺境の地まで出向く必要があるのだ。」


初老の男性は上からの命令に渋々従った様子で、組織から離れて間もなく悪態をつき始めた。


「いくらPOLEと言えど国を跨ぐ際に監視をつけないわけにはいかないでしょう。それに初めてHomunculus同士の実験外での戦闘が行われる可能性があるのにPOLEの報告だけで許されるとでも?」


「それも、そうだが…………。 ぽ、POLE。絶対に我々から離れるなよ。」


「了解した。」


今水を差した女の研究員が初老の男性を睨みつける。


「室長? 本任務の目的は理解していますか? それでは達成できませんよ。 POLE、任務内容はなんだったかしら?」


「本任務はH-014-FORCEの回収。FORCE反抗時は生命に支障のない程度の武力での強制の命令が下っている。そして追加任務としてオレ自身のデータ回収がある。対象の発見、対象の説得、対象の捕獲の制度を調査が目的だ。」


「そうね正解よ。室長、そのためには私達は離れたところから見守る必要があるはずよ。」


「…………チッ、わかった。」


そう言い第三研究室室長はポケットから取り出したスマホでベネズエラの警護会社にスペイン語で会話を始めた。

その後目的地に到着するまで機内で会話はなかった。


そして一行は目的地へと到着する。


「早くここを離れるぞ。 ヘリコプターでアジア人が来たんだ。 目立って仕方がない。」


待ちゆく人々が屋上へ着陸したヘリコプターを見上げているのがわかる。

組織の息がかかった会社の建物の屋上を借りているが階数が低く、多くはないが見物人が集まってしまっている。


「ではPOLE。単独で行動しFORCEを生かしたまま捕獲しなさい。いつも通り因子を使った行為は一般人に悟られないように。理解した?」


「了解した。」


研究員を見下ろしながら何を考えてるのかよくわからない表情で短く言葉を吐き、すぐにPOLEは身を翻して歩き出す。


「我々もすぐにPOLEを追うぞ。」


「「わかりました。」」


「では、予定通り我々はここに残りますね。」


研究員はヘリから機材を取り出すと、会社への挨拶や説明のために二人が残り、三人はその場を後にしGPSを頼りにPOLEを追い始めた。

その頃POLEはすでに人気のない裏路地に迷い込んでいた。


「お前、観光客だよな? 見慣れねぇ服着てるしよぉ。お金くんねぇかな?」


ガラの悪そうな男5人が裏路地の両端を遮るように近づきPOLEにもわかる英語で話しかけてきた。

POLEは状況がわかってないのかリスニングが出来ていないのか唐突に一枚の写真を見せつける。脱走前のFORCEの写真だ。

身長は2メートルに届くのではという巨体に加え、明らかに筋骨隆々なガタイの女、一度見ていたら忘れたくても忘れられない見た目をしている。


「こいつを知ってるか?」


しかし男達は聞く耳を持つ気すらないようで写真を見ることすらなくそれをはたき落とす。


「無視してんじゃねぇよ!!」


声を荒げながらズカズカと距離を詰めてくる。

自分と同等やそれ以上の身長の男5人に怒鳴られるもPOLEに臆する様子はない。

そのPOLEの反応が火に油を注ぎ、男達はさらに激昂しだし、1番ガタイのいい男がポケットから清潔感のない大きめのナイフを取り出した。


「さっさと金を出しやがれ。 さもないとお前の体を金にするぞ。」


だが、POLEはなにも気にしていない様子で男を押し除けて去ろうとする。


「知らないなら用はない。」


「舐めてんじゃねぇぞッ!!」


POLEの背後に立っていた男は隠し持っていた木製のバットをPOLE目掛けて叩きつける。

しかし痛烈な打撃音を鳴らしたはいいものの砕けたのはバットの方だった。

敵と判断したPOLEは瞬時に振り向くと壊れたバットを握りしめた男の顔面を掴んで持ち上げる。


「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」


万力のような力で握りつぶされていく痛みと耳の内側から頭骨にひびが入る音が響き、声にならない声をあげる。


「離しやがれ!!」


POLEの背中にナイフが突き立てられる。

その切先が服を貫通しPOLEの皮膚に傷をつけたその瞬間、突然逆方向に力がかかり手からすっぽ抜ける。そしてそのまま己の腹部へと深く突き刺さった。


「ああ、能力を見せてしまった。」


先ほど言われた命令を失敗してしまったPOLEは失敗を取り返すことに目的がシフトした。

即座に目的のために行動に移る。

掴み上げていた男を空中で離すと落下中に顔面を殴りつける。

瞬間、耳を塞ぎたくなるような破裂音と肉片が散る。

POLEの左腕がその男の頭部を貫いていた。

場の空気が一変した。

他の3人はまるで怪物でも見たかのように怯え出し、1人は縋り、1人は逃げ、1人は腰を抜かし逃げることすらできない。

POLEは即座に逃げ出した男を潰し、縋る男、腰を抜かした男も続けて潰した。

最後にナイフを腹に刺したまま建物の壁に腰かけている男を殺し完全に証拠隠滅をしようと目の前に立つと、男が口を開いた。


「あんたの…………、探してる女…………。 ギャングに聞いてみな…………。」


肩で息をしながらもなんとか言葉を紡いで情報を提供してくれた。

それがこの男にとってどういう意図だったのかはわからない。


「…………助かった、ありがとう。」


また一つ破裂音が響いた。

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