【2話】婚約破棄されたので掲示板に愚痴ったら家族が全員いた件【家族side】
深夜、二時。
侯爵家の五つの部屋で。
同時に、端末が光った。
――
父の書斎。
端末が鳴る設定は一つだけ。
リーナが掲示板に書き込んだとき。
三年前に仕込んだ。
娘には言っていない。
(状況把握が最優先)
すぐに打つ。
2 名無しの魔法使い
どうぞ
――
兄の部屋。
布団の中で端末が光る。
(リーナだ)
飛び起きる。
すでに返信がある。
(父上……?)
負けじと打つ。
3 名無しの魔法使い
聞きます
――
母の部屋。
鏡台の前。
(男共は甘いわね)
スレを読む。
証拠が足りない。
引き出す。
7 名無しの魔法使い
待て
9 名無しの魔法使い
具体的にいつ頃か
鏡の中で、微笑んだ。
――
お祖父様。
暗闇の中。
全部、理解した。
(我が孫娘を泣かすとは)
掲示板には書かない。
別の端末を取る。
一言だけ。
「動け」
――
お祖母様。
編み物をしながら。
(あらあら)
掲示板には書かない。
使いを呼ぶ。
一言だけ伝える。
手は止めない。
――
この家の者たちは、
リーナを信用している。
ただし。
リーナに近づく男たちは、
一切信用していない。
――
翌昼。
元婚約者が来る。
予想通り。
67 名無しの魔法使い
本人が来るとしたら
昼頃か
68 名無しの魔法使い
待機する
――
学園にも広まっている。
51 名無しの魔法使い
自然に広まったな
53 名無しの魔法使い
ふふふ
――
元婚約者は、
全部しゃべった。
自分で。
――
94 名無しの魔法使い
記録完了
95 名無しの魔法使い
後は任せる
96 名無しの魔法使い
承知した
――
夜明け前から動いたものが、
すべて終わらせた。
――
朝。
食堂。
リーナが来る。
全員、
自然に視線を逸らす。
完璧な連携だった。
――
999 名無しの魔法使い
お疲れ様でした
――
お祖母様が打つ。
編み物をしながら。
小さく、呟く。
「次はちゃんと話しなさい、リーナ」




