表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王妃代行、猫曜日  作者: アストロ
王妃代行、猫曜日
29/29

エピローグ 黒猫の微睡

「感謝するって、感謝するって、そう言ったのよ、あの冷血漢が」


 エースターから来た妃が自室で黒猫の脇に手を挟み高く掲げている。黒猫は半目で眠たそうな顔をしているが彼女の興奮は収まらない。


「こうしちゃいられないわ」


 エースターでオノグルの靴を宣伝をしなければ。折角安い靴を作るのなら紳士用だけでは勿体ない。エースターや諸外国で流行っている婦人靴も取り寄せよう。ああそれから。

 とりとめもなくプランを垂れ流していた王妃は突然立ち上がった。


「そうよ、まずは手紙を書かなきゃ。火種とペン、用意してもらいましょう」


 思い立ったが吉日だと、王妃は慌ただしく部屋を出ていく。遠くからドミナ~と侍女の名を呼ぶ声が聞こえる。


「やれやれ、騒々しい女だ」


 静まり返った王妃の私室で、誰かがぽつりと呟いた。

 黒猫は横になり四肢を床に投げ出す。丸くなって眠る野生の猫の仕草ではない。


 あの女の秘密は早い段階で握った。畜生だと油断して女が自ら教えてくれたのだ。翌日すぐに問い詰めて脅迫や戦争に持ち込むこともできた。黙っていたのは何の気まぐれだろう。証拠固めや戦の準備をするためなのか。一人きりで敵国に来た身代わりの女を憐れんだのか。


 けれど、女は決して同情されるような弱さは無かった。一国の王にも正面からぶつかって、敵意だらけの外国人の中に果敢に突っ込んでいく。その様はどんな兵より勇敢で、やがて周囲を変えてしまう。そんな彼女に次第に目が離せなくなっていった。


 いや、それは好意からではない、単に危なっかしいからだと独白する。そんな自分に気づき、これでは弁解しているようではないかと目蓋を肉球で押さえて憮然とする。


 黒猫の中で理由などまだ言葉には出来ない。

 しかし何かが起きる予感がするのだ。


「まあ、あまり期待はしていないがな」


 騒がしい足音を遠くに聞きながら、くわぁと大きな欠伸を一つして、黒猫は目を閉じた。


身代わり+ネコ+呪いと言う自分の好きなものをこれでもかと詰め込んでみました。

そう、作者は『美女と野獣』が好きです。


しり切れとんぼですが、このお話はこれにて一端幕引きです。


続きそうだけど今のところ続きを書く予定はありません。(他にも色々手を出しているので)

楽しみにしてくれた方、本当に申し訳ない。


自宅待機期間の暇潰しになればとお蔵出ししましたが、役に立ったのなら幸いです。











余談ですが、この話の舞台はハンガリーです。ハンガリーの地理にモンゴルの気候を足して2で割った感じです。実際はちゃんと穀物はとれますし、むしろ農業は盛んな方です。


「ケツの青いガキ」って言葉があるけど、朝鮮や中国では通じません。赤ちゃんに青い痣、蒙古斑があるのは日本人、モンゴル人、ハンガリー人だそうです。この三つの民族は祖先が同じなんだって。










追記。

続き書く気がないとか言って、この話をリメイクした物語が賞の末席にひっかかり、出版していただけることになりました。ありがたや~。

タイトルは『女王に婿入りしたカラス』です。

婿入り、つまり主人公は男で、相手役のヒーローはヒロインです。(←自分で言ってて意味不明)

原稿のページ数を減らすために、大事な登場人物が減っていたり、ドリナさんにとんでもないトラウマを植え付けたり、ファンタジー要素が皆無になってたり、リメイクとか言ってだいぶ話が変わっているので、こっちの話を読んだ方でも(その逆も)話が楽しめると思います。

もし良かったら是非読んでみてください!


では、またお会いできることを祈って。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] アストロさんのお話、どれもウィットに富んでいてとても面白いです。 主人公が敵陣の中、彼女本人の魅力で味方を増やしていくのが、とても良かったです。 [気になる点] まさかここで終わるとは! …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ