視察から帰ってきた
しとしとと小雨の降る昼下がり、視察から帰ってきた俺は自室にこもっていた。
馬車だと数ヶ月、ドラゴンだと数日。
ドラゴンのスピードハンパねぇ!
ドラゴンの乗り心地もハンパねぇ!
出発前に気の利いた1人の神官が水を入れた革袋と携帯食料を持たしてくれたんだけど、食べられなかった。地上に降りてドラゴンから離れたら、即リバース。川で水を汲んで、顔を洗ってすぐ出発の強行軍だった。
飛んでる間は上下左右に揺られまくりで掴まってるのがやっと。長い時間飛びっぱなしで眠くなると女神様にロープでドラゴンに括りつけられ…どこをどう飛んだとか、どこの土地の渇水がヤバいとか以前に、飛んでるか飛んでないか、吐いていいかどうかしかわからなかった。女神様の安全を守るかとかムリだったけど、あの速度で移動してたら何もできないだろうと今朝になってから思った。
神殿に戻ってきた時には、あまりにげっそりし過ぎてて、出迎えた神官にいきなり回復魔法かけられまくった。
眠くて意識もうろうになりながら、用意してもらったスープを一口二口。その後は記憶にない。
次に気づいたのは自室の寝台の上だった。すっかり夜も明けている。
身体は魔法でかなり回復したけど、精神的疲労で起き上がれない。
神官が一人やってきて国王が女神様に挨拶に来たと言う。先触れが欲しかったが仕方がない。2ヶ月ぶりの本格的な雨。女神様に感謝の意を伝えないといけないと思ったのだろう。
動かない身体に無理やり言うことをきかせ、女神様に伺う。
疲れているので明日にして欲しいとのこと。国王に伝える。
普通なら国王が優先されるであろうが、この国は女神様無しでは成り立たない。何が何でも女神様が一番だ。