馬に人参 キツネにお揚げ
あぁ!もうどうにでもなってしまえ!
キツネ星人でも悪霊でもどうでもいい!
意を決して近くに駆け寄り、恐る恐る2匹に触れてみる。
「あの、あの〜。もしもし、聞こえますか?」
さっきまで生き生きとお揚げ漁に勤しんでいたのに、今はなんだか糸の切れた人形みたいだ。
いや、まぁ元から人形というかぬいぐるみなのだけれど。
「困ります〜。大事なお揚げを無断でばくばく食べられては。」
「一日疲れて、好物のお揚げを楽しみに帰ってきたのに。。(シクシク)」
(しーん。。)
ちっ!同情心を煽る作戦は失敗か。。
なんて強情なキツネ達なんだ!
こちとら、穏便に済ませてやろうとしているのに!
こうなればもう手段は選んでいられない。
あ〜、もういいですよ。
そっちがそう出るなら、こっちだって容赦はしませんよ!
こっちが下手に出ているうちにお返事してくれたら良かったのにさ。
わきゃわきゃと指を動かし2匹の脇腹めがけて手を突っ込んだ。
こちょこちょ、こちょこちょと脇腹や首や足の裏あたりをくすぐりまくる。
こちょこちょ、むむむこ奴等中々やるではないか。
こうなればキツネVS人間の根比べだよ!
延々と2匹をくすぐるよく分からない時間。
私なにやってるんだろう、なんて不毛な時間なんだ。。
キツネのぬいぐるみが動いたり喋ったりする訳ないじゃないか。
あなた疲れてるのよ、と脳内の自分が囁いてくる。
そう考えながらも手だけはこちょこちょと動かし続けていると、
小さい方のキツネから小さな小さな
「ククッ」っという声が聞こえた!!
ぱっと手を離すと、また微動だにせずごまかすような2匹のキツネ。
そうかそうか、じゃあもう最終手段の奥の手一丁やったりますか。
箸を手に持つとお揚げを一切れ掴み、小さなキツネの鼻っ面の前に差し出した。
1分経ち、2分経ち、おそらく3分経った頃だろうか。
もう我慢の限界だったのか、めっちゃよだれ垂らしてるじゃんなどと考えている刹那、目にも留まらぬ早業で瞬時に油揚げを奪い取る小さいキツネ。
「あっ、食べた!動いた!」
と言うと同時に、
「お主だけズルい!!」
大きい方のキツネからも聞こえてきた。
もうバレたからいいかと開き直ってモグモグとお揚げを味わう小さいキツネ。
なんて、なんて太々しい態度なんだ。
「あっ!さっきのでお揚げ最後だった涙」
ふと気付き悲しみの海に沈んでいると、
(シクシク。。)
私のその言葉を聞いてさめざめと泣いている大きい方のキツネ。
いやでもあれ私のお揚げだからさ、勘違いしないでよね!(怒)
やっと主人公とおキツネとの触れ合い?が始まりました。
このお話を書いていると、
大切にしているぬいぐるみとお話が出来たら、自分が寝ている間に実は動き回っていたらなど小さい頃にしていた想像を思い出します。




